鍵は『欲求と信頼関係』

――方法はどれにしろ、「コミュニケーションしたい」という気持ちになる所を目指していくということですね。

三木先生: そうですね。それには、閉じた世界の子どもが「コミュニケーションっていいな」と思える構造をつくっていく必要がありますね。例えば、お腹が空いた・喉が渇いた・かまってほしい…など、ニーズを満たしていくことで、安心してもらいつつ、提供者である我々を信用してもらう。赤ちゃんに対して行うことと近しいかもしれませんね。

―― この人とならコミュニケーション取りたい!という信頼関係ですね。

三木先生:そうそう、カッコ良く言えば『信頼関係』ですね。まぁ子どもには「自分にとって得!」と思ってもらえればいいかな。

――なるほど~、今まで『発語がゴール』みたいに目指してましたが、そうじゃないって思えてきました。

三木先生:コミュニケーションしたくなるのって『ニーズ』とか『伝えたい』もそうですが、『誰かが喜ぶ』というのも大切な動機なんですよね。ただそれは、「自分のアクションに対して発せられた、相手のリアクションを受け止められる」という態勢ができているかもポイントなので、もしかしたらせっかく親が「わー、すごーい!」とやったとしても反応が薄いこともあるかもしれません。

でも、反応が薄くても、「周りが喜んでくれた和やかで穏やかな空気を浴びる」という経験の積み重ねは良いことだと思います。お子さんのアウトプットに対してこちらが反応したとき、期待するほど沁み込んでいないときもあるかもしれませんが、お子さんにどんなインパクトがあったのか観察してみると良いですね。
コミュニケーションの動機は、「必要性」「伝えたい」「誰かが喜ぶ」
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感想

いつか芽が出る日のために、「お母さんとやりとりすると楽しい」と思ってもらいたいと願う母
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私は今まで「ほぺろうにとにかく喋ってほしい」「発語が無理ならツールでコミュニケーションしてほしい」と思っていましたが、三木先生のお話を聞いているうちに、「そうか~、ほぺろうは『まだ今は』その段階じゃないかも」と思い、焦っていた自分に気づくことができました(たしかに、ほぺろうは発達年齢が2歳ですし)。

でも、いつか出る芽を育てるために「お母さんとやりとりすると楽しい」とほぺろうに思ってもらいたい。そしてそれには私自身がほぺろうとの関わりを楽しむことが鍵という気がしました。

対談の中で三木先生が要所要所で、「お母さんが無理しない程度に」と仰っていたのが印象的でした。発達ゆっくりのほぺろうの育児は焦燥感との戦い…なんてこともありますが、力を抜いてユル~く接していく方が、案外コミュニケーション欲求を育てる近道なのかもしれません。
三木先生「お母さんが無理しない程度にね」ぼさ子さん「ドーンと信じましょ!」
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執筆/ぼさ子
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