6歳、自閉症、まだ言葉は話せないけれど。絵本の読み聞かせで確かに育まれる、息子の豊かな世界
ライター:ぼさ子
わが家の息子ほぺろうは絵本が大大大好き!隙あらばいつでも絵本を持ってきては「読んで」とアピール。何度も何度も読み聞かせをおねだりしてきます。ふと、『絵本が好きな子は言葉の表出が早い』と知人が言っていたことを思い出しました。確かに『絵本は子どもにとって良い』というのは周知の一般論。でもそれは本当なのか? ほぺろうは6歳になったのにひとつも発語がありませんけど??
監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
『絵本は良い』と言うけれど、ほぺろうに効果はあるのか?
自閉症と中度知的障害のある、わが家の息子ほぺろうは現在保育園の年長さん。でも発語はいまだにありません。
ほぺろうが絵本好きになったのは年中さんころから。年少時代までは乗り物図鑑くらいしか興味を示さず、絵本を読んであげても集中して見てくれることはありませんでした。そのころは癇癪が激しかったので、何かを楽しむという余裕はなく絵本に手を伸ばすこともほぼ皆無。ほぺろうにとって絵本は読むものではなく破るものでした。
ほぺろうが絵本好きになったのは年中さんころから。年少時代までは乗り物図鑑くらいしか興味を示さず、絵本を読んであげても集中して見てくれることはありませんでした。そのころは癇癪が激しかったので、何かを楽しむという余裕はなく絵本に手を伸ばすこともほぼ皆無。ほぺろうにとって絵本は読むものではなく破るものでした。
でも年中さんになって少しずつ情緒が落ち着いてきたので、それを機に日中だけでなく夜の寝かしつけのときも絵本を読む習慣を開始。おそらく最初は、ほぺろうにとって『絵本が面白い』というよりも『絵本のときに親とイチャイチャする』のが楽しかったのかもしれないです。
そうしているうちに どんどん絵本に抵抗がなくなり、乗り物しか興味がなかったほぺろうがジャンルを問わずいろんな絵本を「読んでくれ」と持ってくるようになりました。
…とは言え、毎日たくさん読んであげているつもりだったけど、ほぺろうの発語に関しては全く変化なし。世間一般的にも『絵本は子どもにとって良い』と言われているけど、本当にそうなのか考えたりもします。ほぺろうに発語がない分、ストーリーを楽しんでいるのか? 絵が面白いのか? など本人から感想が聞けず理解度も分からないままです。
そうしているうちに どんどん絵本に抵抗がなくなり、乗り物しか興味がなかったほぺろうがジャンルを問わずいろんな絵本を「読んでくれ」と持ってくるようになりました。
…とは言え、毎日たくさん読んであげているつもりだったけど、ほぺろうの発語に関しては全く変化なし。世間一般的にも『絵本は子どもにとって良い』と言われているけど、本当にそうなのか考えたりもします。ほぺろうに発語がない分、ストーリーを楽しんでいるのか? 絵が面白いのか? など本人から感想が聞けず理解度も分からないままです。
絵本が育ててくれているのは言葉だけではなかった
言葉の理解度については未知数のほぺろうですが、絵本に関して私が個人的に好きなほぺろうの行動があります。それは『さも当たり前のように膝の上に乗ってくる』こと。
この「ボク当然、愛されてますけど?」みたいなチョット図々しい行動から、保育園や発達サポートの先生などなど…ほぺろうに関わる大人たちが快くほぺろうを膝に乗せて絵本を読んでくれている姿が目に浮かびます。ほぺろうが絵本大好きになったのは、大人たちへの安心感や信頼感が育まれている証拠なのだと思います。(親バカな私は、ほぺろうの体温や重みを感じながら絵本を読むのが大好きなので、そんな母の幸せ感も伝わっているのだろう…と考えることにしています)
この「ボク当然、愛されてますけど?」みたいなチョット図々しい行動から、保育園や発達サポートの先生などなど…ほぺろうに関わる大人たちが快くほぺろうを膝に乗せて絵本を読んでくれている姿が目に浮かびます。ほぺろうが絵本大好きになったのは、大人たちへの安心感や信頼感が育まれている証拠なのだと思います。(親バカな私は、ほぺろうの体温や重みを感じながら絵本を読むのが大好きなので、そんな母の幸せ感も伝わっているのだろう…と考えることにしています)
そういった経験が積み重なっているおかげか、年長さんになった現在、癇癪を起こしても自分自身で泣き止もうと持ってくるのが絵本! ほぺろうも、絵本は自分にとって精神安定剤なんだと認識しているようです。
言葉は出ないまま。しかし新たな才能が開花⁉︎
最近のほぺろうは普通に読み聞かせするのでは飽き足らず、自分なりにアレンジしてくるようになりました。
ひとつは『ミックス読み』。複数の絵本やオモチャを持ってきて、指差したものを読ませてきます。私はほぺろうを「絵本DJ」と呼んでいます。
ひとつは『ミックス読み』。複数の絵本やオモチャを持ってきて、指差したものを読ませてきます。私はほぺろうを「絵本DJ」と呼んでいます。
もうひとつは『パフォーマンス読み』。語りに合わせて自分で考えたパフォーマンスを披露してくれます。私はほぺろうを「演出家」と呼んでいます。
発語だけに焦点を持っていくとほぺろうの成長は分かりにくいですが、絵本によって興味の世界が広がったり想像力が養われたりしているように思えます。そして何よりも楽しそう!!
効果の検証は私には分かりませんが、せっかく大好きなものに出会えたほぺろうのために、『絵本は子どもにとって良い』という大義名分を利用して、ついつい絵本をたくさん買ってしまうわが家です。
効果の検証は私には分かりませんが、せっかく大好きなものに出会えたほぺろうのために、『絵本は子どもにとって良い』という大義名分を利用して、ついつい絵本をたくさん買ってしまうわが家です。
執筆/ぼさ子
(監修:井上先生より)
親として発語のことは、大変気になると思いますが、絵本の読み聞かせによって集中力や何より言葉の理解力が育ってきているように思います。また、自分のアクションにセリフをつけてもらったり、セリフを先行させてアクションしたりという楽しい遊びになっているのは、言葉やコミュニケーションの発達にとっては重要な活動です。いずれは、一人でアクションをしたり、絵本とおもちゃを並べて遊んだりといった余暇としてのレパートリーも広がってくるといいですね。
親として発語のことは、大変気になると思いますが、絵本の読み聞かせによって集中力や何より言葉の理解力が育ってきているように思います。また、自分のアクションにセリフをつけてもらったり、セリフを先行させてアクションしたりという楽しい遊びになっているのは、言葉やコミュニケーションの発達にとっては重要な活動です。いずれは、一人でアクションをしたり、絵本とおもちゃを並べて遊んだりといった余暇としてのレパートリーも広がってくるといいですね。
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