発達障害次男を「乱暴な子」ではなく「正直な子」と信じてくれた――「先生がいなくなったら…」特別支援教室の先生との別れに思うこと

ライター:スガカズ

発達に凸凹のある次男は、小1から小4まで、とある先生のお世話になっていました。
学校での困りごとに遭遇したとき、多くの場面でその先生が近くで見守ってくれていました。
ですが、小5で先生が他校に異動することになりました。
私たち親子にとって喪失感は大きかったのですが、別れを通じてさまざまな気づきを得られました。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 客員研究員
応用行動分析学をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のための様々なプログラムを開発している。

常に次男を信じ、寄り添ってくれた特別支援教室の先生

発達に凸凹のあるわが家の次男は、小1から小6の現在も通常学級に在籍しており、週1日、特別支援教室(※1)に通っています。

次男が学校生活を送る中で、常に寄り添ってくださっていた先生がいます。それは、特別支援教室専門員(※2)のA先生です。

※1 特別支援教室…通級指導教室のように障害による学習上または、生活上の困難を改善・克服する指導を児童・生徒が在籍校で受けられる東京都の仕組み
※2 特別支援教室専門員…臨床発達心理士などの発達障害の支援に関する専門資格を持つ人(教員免許は必須ではない)
発達障害のある次男は小学校に入学してから頻繁に学校で癇癪を起こしていました。そんな次男にいつも寄り添ってくれたのは特別支援教室専門員のA先生でした。
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いわゆる「普通」とされる環境の中で次男は、聴覚過敏、見通し不安、「0か100か」の白黒思考、叱られることへの苦手さなどから、入学当初から頻繁に癇癪を起こしていました。

小1のころは、壁を蹴ったり大声での暴言が多かった次男。大人が本人の話に耳を傾けることなく、強く叱るなどすると本人は取り乱して周りが余計に見えなくなってしまうことがあり、そのような関わり方をしてしまうと万が一他害につながる恐れもあります。そのため、次男にとって家庭での関わり方や、学校での本人に寄り添った関わりがとても重要でした。

A先生は次男のことを、「乱暴な子」「言うことを聞かない子」ではなく、「嘘をつかない自分に正直な子」「心の優しい子」「たくさんの可能性を秘めた子」として関わってくれました。

また、私が次男との関わりで悩んでいるときにも、A先生は傾聴して、決して自分の意見を押しつけず私と次男の気もちを言語化してくれ、最後には励ましてくれました。

私は、次男が学校生活での困難にぶち当たるたびに、どうしても周りの人と比べてしまったり、落胆してしまうこともあり、次男の行動に対して受け止めきれない状態に陥ることが度々ありました。

トラブルを経験するたびに、私の気もちが落ちて浮上して、また落ちて持ち堪えて…。目の前の状況に対して、まずはその日を無事に終わらせることに注力します。そのためには、感情をできるだけ抑えて、次男と話し合うことが重要でした。

そんなときは特にA先生の存在が大きく感じました。A先生はいつでも私と次男の味方をしてくださいました。
お陰で次男との関係は良好なまま日々を過ごすことができましたし、少しずつ…少しずつ…時間をかけて、次男も学校生活に適応するようになってきたと思います。

次男が小5になり、大好きなA先生が異動することに…。

私にとっても次男にとっても、A先生は心の拠り所になっていました。しかし、A先生は次男が小5になる年度に、他校に異動することになりました。
異動の知らせを聞いたときにも挨拶に行きましたが、離任式の際にも学校にお伺いし、感謝の気もちを直接伝えることにしました。
特別支援教室のA先生が他校に異動することになり挨拶に行った母。お世話になっていた次男も先生のところに駆け寄り、泣いていたという話をしてくださいました。
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4年間お世話になった特別支援教室専門員のA先生と分かれることになり寂しいと話す次男
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先生との別れを経験して、支え合うことの大切さ、人への感謝を学びました

4年間お世話になった特別支援教室専門員のA先生が異動してしまい、学校に物足りなさを感じる次男でしたが少しずつ気もちを切り替えていきました。書字障害がある次男ですが、先日A先生に手紙を書いていました。A先生との別れから人に感謝すること、支え合うことの大切さを学べた次男。
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現在は次男は小6になり、A先生との別れを経験してから1年が経過しました。

最初のころは、「オレが知っている△教室(特別支援教室)じゃない…」と、浮かない様子でしたし、心にポッカリと穴が空いているようでした。「A先生がここにいてくれればいいのに」と泣くこともありました。それでも、次男なりに少しずつ現状を受けとめながら、現在も学校生活を送っています。

今でも私がA先生の話をすると、次男の表情はパッと明るくなります。

先日、A先生に手紙を書きました。次男は書字障害があり、文字を書くことは大の苦手ですが、A先生への思い入れが強く、苦手な中頑張って手紙を書いていました。何度も「この文章変じゃないよね?」と、うれしそうに私に聞いてきました。

人生の中で人との別れは何度か繰り返していきます。その中でも、大好きな人との別れは、本人にとって大きな衝撃で、情緒が乱れてしまう場合も多いのではないかと思います。悲しい経験をすることになりますが、そういった経験から、支え合うことの大切さ、人に感謝するこころを学び、今後の人間関係の構築のあり方について考えるきっかけになっていくのではないかと思いました。

執筆/スガカズ
(監修:井上先生より)
すばらしい先生に出会えた経験は子どもさんにとっても親御さんにとっても大きな成長や心の支えになったと思います。子どもが大人に相談できるようになるためには、その大人が子どもにとって「自分を分かってくれる存在」になることです。A先生はまさにそんな人だったのだと思います。このお話は、多くの現場の先生たちにとって、元気を与えるように思います。
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