学習障害の子どもの接し方は?子育てにおける困難さと対処法まとめ 

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子どもが学習障害の場合、どのように接するべきでしょうか?子育ての困難への対処法、個性を伸ばすための最良の手段をご存知ですか?学習障害に関する情報が少なく、困ることもあるかと思います。今回は学習障害の子どもへの接し方や、様々な困難への対処法を紹介します。

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学習障害の子どもの生活における困難と対処法

学習障害は決して珍しい障害ではありません。文部科学省の調査委の調査によると、小中学校に通う普通学級の生徒のおよそ4.5%は学習障害の症状があるとされています。

そんな学習障害の子どもたちが生活においてどのような困難を抱えているのかに目を向けてみましょう。それぞれの困難には多くの場合対処法が存在します。親や学校が子どもの特性を理解し、その子が感じている困難さを乗り越えれるようサポートしましょう。

読むこと・書くことが苦手

障害のない子と同じように流暢に話せるにも関わらず、文字に起こされたものは読めない場合があります。私たちが文章を読む場合、文字を音に置き換える作業とそれを意味としてとらえる作業を無意識に行っています。例えば「空が青い」という文章があった場合、障害のない人だと「そら が あおい」といったようにまとまりを作り、意味を把握することができます。しかしながら学習障害の子の多くはこのようにまとまりを作ることに困難を抱え、読むことを苦手とします。

また文字を書くことを苦手と感じる子もいます。文字を書く時には、脳内に文字情報を想起し、脳がその情報を手に伝え、命令を受けた手が文字を書くというプロセスが取られています。しかしながら学習障害で書くことを苦手とする子の場合、このプロセスがうまくいっていない場合があり、文字が書けなくなってしまいます。

【対処法】
読むのを苦手とする場合、できるだけ文字でなく音声で伝えてあげるといいでしょう。また、脳内の情報処理の問題ではなく、視覚過敏が原因となっている場合もあります。視覚過敏を持っている子の場合、教科書の字の黒と背景の白のコントラストを感じすぎてしまい、文字を読めなくなってしまうのです。このような場合は蛍光ペンを重要なところのみに引き、文章のポイントをつかみやすくしてあげたり、色つきクリアファイルを教科書の上に重ね、文字と背景のコントラストを減らすという対処法も有効です。

書くのを苦手とする子の場合、教室でICTの利用を許可してもらい、書かずにしてもノートを取るといった手法を取るのが有効です。中には文字を書くことはできるが、空間把握が苦手なために、適切な大きさの文字を書けなかったり、手先が不器用でうまく鉛筆を使いこなせない子もいます。大きい文字であれば書ける場合、周囲が配慮し回答欄の大きさを大きくしてあげたり工夫をしてあげましょう。また鉛筆が使いこなせない子の場合は、指先をつかって背中に文字を書いてもらったり、体をつかって文字を書くようにトレーニングしましょう。

聞きとること・話すことが苦手

物事を聞きとる際には注意力を働かせ、そこで得た情報を記憶にとどめることを私たちは無意識のうちにしています。また同じ発音の単語を聞いた場合、文脈から意味を考えるというのも無意識にしています。脳内になんらかの障害があるために、学習障害の子の中には話を聞きとったり、話したりすることが苦手な子がいます。

学習障害の中には、話したい内容がうまくまとめられず話題が飛んでしまうなど、会話のキャッチボールが困難な子どもが多いです。話の筋道をうまく構成できていないことが考えられます。そのため悩みごとなども自分の中にため込みがちです。

【対処法】
話したい内容を紙にまとめて整理することを教えてあげましょう。頭で考えるのではなく順序を立てることで話しやすくなります。また発言の文法が正しくなかった場合は、お子さんの発言を言い換えてあげるようにしましょう。例えば、「花がね、水がね、あげたらね…」と発言した場合、「花に水をあげたのね」の言い換え、話し方のルールのお手本を見せ覚えてもらえるようにしましょう。

計算・推論が苦手

学習障害の子の中には、計算をしたり推論をすることを苦手と感じる子がいます。図形を頭の中で想像することを苦手に感じたり、一桁の計算ならできるけど、繰り上がりの計算になると解けない場合があります。算数を学ぶのを困難とする子の多くは、順序良く情報を処理することに困難を抱えていたり、複数の情報を全体的に処理することに困難を抱えている場合があります。

【対処法】
上で述べたように聞いたり読んだりすることが苦手な子の場合、問題の伝え方によって解き方を考えることができる場合があります。空間把握が苦手なことが影響している場合、マス目がしっかりとわかれているノートを使い繰り上がりの計算をしたり、使う教材を変えてみるといいでしょう。1人1人苦手分野は変わってきますが、その子に合う教材を使い工夫することで、勉強の困難さが薄れる場合があります。

やる気があるのに授業についていけない

学習障害の子の多くは、人一倍勉強をがんばろうとします。しかし、障害の特徴からなかなか成績が伸びないことが多いです。やる気があるのにも関わらず、授業についていけず、辛い思いをしてしまうことがあります。

なによりも大切なのは、周囲が本人の特性を理解し、苦手な部分に気付いてあげるということです。学校の先生にも相談をし、特殊な教材を使うことの許可をとったり、本人がどうすれば勉強しやすいかを周囲の人と一緒に考えてあげましょう。

学習障害の子どもへの接し方は?子育てにおける10のコツ

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学習障害の子どもは知的発達に遅れはないものの、様々な特徴を持ち合わせています。その特徴はときに不得意を、ときに得意を生み出します。忘れてはいけないのはやる気がないからできないわけではないということです。繊細な心を傷つけないためにもお子さんへの接し方はとても大切となります。

1.子どもの「個性」を理解する

能力の偏りは人それぞれです。学習障害では読字障害、書字障害、算数障害の中でも特定の部分だけに苦手が存在します。子どもの特性を理解し、ひとつひとつの困難に対処していくことが大切です。特徴によって必要なサポートがかわってくるので、それに合わせた教材を利用することで、勉強をサポートすることができます。

2.不得意ばかりを気にせず、得意な分野に目を向ける

学習障害の子どもには不得意な分野もありますが、代わりに得意な分野もあります。子どもの不得意は目につきやすいですが、得意な分野を大切にしてあげましょう。「得意」は「楽しい!」につながり、子どもの学習意欲を湧かせます。得意な部分は特に褒めてあげて、どんどん才能を伸ばしてあげましょう。また苦手な部分に関しては早くに気付いてあげることが重要です。苦手とする要素は何なのかをみきわめ、学びやすい学習方法を提案してあげましょう。

3.叱らずに一緒に考える

本人にやる気があるのにもかかわらず、勉強に支障が出ていることが学習障害の子の場合は多いです。問題が解けなかったときに「なんでできないの」「もっと勉強しなさい」と言って子どもを責めるのはやめましょう。本人も悩んでいるはずです。きつくしかるのではなく、子どもの気持ちによりそい、一緒にどうすれば学びやすいかを考えましょう。

またそれによって問題が解けた時には、思いっきり褒めてあげましょう。褒めるときは「○○が良かったよ」と具体的に褒めると、達成感・褒められる喜びとやる気につながります。また、褒めるのはその場ですぐに行うように心がけましょう。時間が経ってから説明されるより断然伝わりやすいからです。

4.年齢に応じて接し方を変える

基本の接し方は変わりませんが、年齢に応じて細かな接し方を変えていきましょう。たとえば、親を必要とする幼少期には子どもとの時間を大切にし、親が導きながら物事を一緒に教えていきます。逆に大きくなるにつれて、ある程度見守り意思を尊重するなど、年齢に応じた適切な接し方を行いましょう。

5.他の子と比べない

学習障害の子どもは能力に偏りがあることが多いです。「他の子はできているのに」「どうしてできないの」といらだちや不安をぶつけるのではなく、子どものできることは伸ばし、困難なことは対処法を考えましょう。

6.お手伝いは順序を作成しやらせてみる

子どもの家でのお手伝いは社会性を育てるために大切なことです。頭で処理する能力が弱い子も多いので、順序を作成して分かりやすく説明してあげましょう。初めのうちは付き添いながらお手本をみせて、あとは本人に任せてみるのも大切です。責任感、自尊心を養うためにもある程度自分でやらせるのに意味があるのです。

7.子どもの気持ちを大切にする

学習障害の子に対しては、療育法や教育法など様々なサポートが行われます。最善の方法を行いたいのは親なら誰でも同じ気持ちですが、子どもの気持ちを忘れてはいけません。たとえ学習障害の子に良い方法であってもお子さんはどうしたいのかを確認してあげましょう。気持ちを確かめるのも親子で信頼関係を築くためには大切なことです。苦手なことに取り組んでいる時は、あれこれ指示を出さずに、近くでそっと見守っておいてあげましょう。

8.自分で選ぶ力を養わせる

子どもに障害があると、親が子どものお世話をどんどんしてしまいがちです。しかし、何でも親が決めてしまうと子どもの行動力と決断力が半減してしまいます。そのため、子どもに選ばせるという行為はとても重要なのです。行きたい場所や学びたいものなど、なるべく自分から選ぶ習慣をつけさせてあげましょう。自分の決断に責任を持てるようになり、失敗しても「次からはこうしよう!」という意欲につながります。

9.他人との交流を大切にし、常に新しい知識に目を向ける

新しい情報は日々生まれてきます。同じ学習障害の子どもを持った親との関わりの中で情報を得たり、専門機関に相談するなどして、療育等に役立つ知識を得ましょう。

専門機関は、児童の場合、各市区町村の保健センター、子育て支援センター、児童発達支援事業所等をさします。大人の場合は発達障害者支援センター、障害者・生活支援センター、相談支援事業所へ行ってみましょう。

10. ICTを活用する

学習障害の子は聞く・話す・読む・書く・計算するなどを苦手とする傾向があります。それらを克服するために、ただ単にひたすら書かせたり、計算練習をさせたりするのでは、本人が苦手意識をさらに持つようになってしまい、勉強そのものに対して悪いイメージを持ってしまうことがあります。

そういう状態を避けるためにおすすめしたいのがICTの活用です。パソコンやタブレットを使い、学習上の困難を減らすことができます。例えば、活字を読むのが苦手な子の場合は、パソコンなどに教科書の音声を読み上げてもらうことが可能です。また字を書くのが苦手な子のばあいでも、キーボードを利用すれば文字を発信しやすくなります。このように、本人の苦手意識を減らしながら学習を進めていくようにしましょう。

学習障害の子どもに接する際に注意するべきこと

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学習障害の子どもの多くは「できるようになりたい」と思いながらも不安を抱えています。ちょっとした言葉や行動で大きくやる気を失ったり、傷ついたりもしてしまいます。やる気や向上心を削がないためにも注意してほしいポイントをまとめてみました。

1.「頑張れ!」「できる!」を多用しない

学習障害の子どもは、通常のやり方で頑張るだけではできない事も存在します。見方を変えればできる物事も、その見方が分からないうちは途方もない不安を感じているのです。「頑張れ!」「できる!」と応援のつもりで発した言葉も、本人にとってはできない自分を責めてしまう可能性もあります。

2.厳しすぎず、甘すぎず

子どものためを思って厳しくしつけたり、障害だからしょうがないと甘やかしすぎるという極端なしつけは避けましょう。厳しすぎるしつけは自尊心を損なわせ、甘やかしすぎるしつけは自立心を失わせる原因になってしまいます。ちょうどいいバランスを見極め、お子さんがどうすれば良い方向へ成長するかを意識して、生活していくようにしましょう。

3.「いつかできる」でまとめない

学習障害の子どもは不得意な分野を習得するスピードは速くありません。ゆっくりできるようになっている時期に「いつかはしっかりできるようになるよ」という先延ばしの言葉をつかってしまうのは逆効果。優しさのつもりで発した言葉は本人に不信感を与えてしまうかもしれません。ちゃんとした目標を設定して、それを達成するための工夫や努力を行いましょう。

もちろん、他の子どもと同じようにできることが目標ではありません。ただ、「見守って行けばいつかどうにかなる」という姿勢は、子どもの可能性を潰してしまう原因となるかもしれません。

4.できない現状を責めない

気持ちではわかっていても、子どもが何かをできない現状にイライラしたり、不安に思ったりする気持ちはどうしても生れてしまいます。しかし、「もうできないのかな」とあきらめる心は子どもに伝わってしまいます。できない現状にストレスを感じるのではなく、できるようになる未来を一緒に考えてあげましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか?

今回は学習障害の子どもに対する接し方と注意点について触れてきました。一言に学習障害といっても、苦手なところや得意なところ、その子に適した学び方は様々です。最近ではICTの利用が盛んになったので、より勉強しやすい環境が整ったのではないかとおもいます。周りがサポートしながら、その子の気持ちと特性を理解して、最善の方法を見つけていきましょう。
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