マンガで『発達障害』を改めて考える!知っておきたい「親なきあと対策」「インクルーシブ教育」など、この秋読みたい5冊を紹介

ライター:発達ナビBOOKガイド
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11月の新刊コラムは、「発達障害」について考える人気web漫画の書籍化、インクルーシブ教育について考える野口晃菜さんの新刊、親なきあと対策、マンガで学ぶAPD/LiDなど計5冊をご紹介します。

「発達障害とは何か」を改めて考えるーー『ヒトはそれを「発達障害」と名づけました』

ヒトはそれを『発達障害』と名づけました
筑波大学DACセンター (監修), 佐々木銀河 (編集), ダックス (著)
金子書房
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ヒトはそれを『発達障害』と名づけました
筑波大学DACセンター (監修), 佐々木銀河 (編集), ダックス (著)
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人の気持ちを考えるのが苦手、忘れ物が多い、本の文字を読むのが苦手…この本に登場する、ダックスさん、ネコくん、トリさん、サカナちゃんたちは、それぞれ苦手なこと、得意なことがあります。これらの特性をヒトは「発達障害」と名づけました。ダックスさんたちは、自分の特性とうまく付き合いながら生活しつつも、気づかないうちに人を傷つけてしまったり、人間関係をうまく築けないことに悩み苦しんでもいます。

この本には、発達障害の診断はないけれど、日常生活でさまざまな困難に直面し悩んでいるグレーさんというキャラクターも登場します。グレーさんは、ダックスさんたちのアドバイスのもと、過ごしやすい環境を作っていくための方法を考えます。「発達障害」があるダックスさんたちと、診断がないグレーさんの対比を通じて、「発達障害」と名づけられたことで変わること、変わらないことをそれぞれ考えられる一冊となっています。

この本は、筑波大学DACセンターで働く発達障害当事者のダックスさんから見た「発達障害」について、筑波大学准教授の佐々木銀河先生の解説やDACセンターの監修のもと、分かりやすくマンガでまとめられています。
発達障害という言葉は近年急速に認知されるようになってきましたが、言葉だけが独り歩きしてしまい正しい理解がされていない場面もまだまだ多いように感じます。そんなときだからこそ、この本に登場するキャラクターとともに、「発達障害とはなにか」について改めて考え直してみてはいかがでしょうか。

多様な子どもを大切にする「インクルーシブな教室」をつくるためにーー「差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある」

差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある
野口 晃菜 (著, 編集), 喜多 一馬 (著, 編集)
学事出版
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差別のない社会をつくるインクルーシブ教育 誰のことばにも同じだけ価値がある
野口 晃菜 (著, 編集), 喜多 一馬 (著, 編集)
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「インクルーシブ教育」とはなにか、多様な子どもたちが安心して生活できる学級づくりのために何が必要か、考えたことがありますか。この本は、野口晃菜さんを筆頭に、マイノリティ当事者、研究者、教員、専門職、会社員などさまざまな立場の人が集まるインクルージョン研究会「あぜみ」のメンバーが中心となり執筆されました。障害、貧困、ジェンダー、セクシュアリティなど子どもたちが抱えるさまざまな背景について学んだ上で、「インクルーシブな教室」を作るためにはどうしたらいいのかを考えられる一冊となっています。

各章の最初と最後に、おすすめの関連書籍リストとリフレクションワークシートが添えられているため、必要な知識をインプットし、それを受けて自分の意見や考えをアウトプットできるような構成になっています。また、「教師の負担を減らすにはどうしたらいいか」など、インクルーシブ教育を行う上で、考えなくてはならないさまざまな課題をテーマとした座談会、インクルーシブな社会づくりに関心のある学生の声なども掲載されています。

冒頭で野口さんが述べられているように、インクルーシブ教育の「正解」を誰かが持っているわけではありません。葛藤やモヤモヤを共有しながら、今できることを考えていくことが重要です。この本は、インクルーシブな社会づくりを考えるための一つの材料になるのではないでしょうか。
「普通」ってなんだろう?子どもと関わるときに大切にしたい「インクルーシブ教育」という考え方のタイトル画像

「普通」ってなんだろう?子どもと関わるときに大切にしたい「インクルーシブ教育」という考え方

「親なきあと」を考える上で知っておきたいことーー『障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策』

障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策
鹿野 佐代子 (著)
翔泳社
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障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策
鹿野 佐代子 (著)
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子どもの老後をどう考えたらいいのか、今から準備できることはあるのか、「親なきあと」について悩みは尽きないのではないでしょうか。お金のこと、住居のこと、就労のこと、葬儀や相続のこと、これらはわが子の将来を考える上で避けては通れない課題でもあります。

この本では、障害者の支援や相談に30年以上携わり、現在は「親なきあと」問題について情報発信を行っている鹿野佐代子さんが、法律や制度、福祉サービスに加え、意思決定、金銭管理を行うためのトレーニングなど、幅広い話題について、詳しく説明しています。

法律のことや制度のことは、なんとなく堅苦しく、理解しがたい印象を抱いている方も多いかもしれません。この本では「親なきあと」を考える上で必要な情報がわかりやすく整理されているため、導入としても分かりやすい一冊となっています。まだまだ先のことだと思っていても、いつ何がおこるか分かりません。子どもを守るため、家族を守るため、まずは必要な情報、制度を知っておくことが大事なのではないでしょうか。
次ページ「聞き取りづらさへの対処法を知るーー「マンガAPD/LiDって何!?」」

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