ずっと息子に寄り添ってくれたスタッフや参加者の方々

息子がほかのスタッフの方と明るい別室で待っていることになり、娘と私、4人の参加者の方と暗闇でのプログラムを再開しました。娘はどんどん暗闇に慣れていき、ほかの参加者の方と会話をしたり、楽しそうな声が聞こえました。息子の件で申し訳ないという気持ちを抱えつつも、娘だけでも参加できてよかったなぁと心の中で思っていました。

プログラム終了まで残り15分になったころ、アテンドの方が「息子くんが、戻って来れるみたい」と教えてくれました。どうやら、ほかのスタッフの方と過ごすうちに元気を取り戻し「もう一回行ってみる」と自分から言ったようでした。

ほかのスタッフの方と、また真っ暗な部屋に戻ってきた息子は「ただいま!もう、怖くなくなった!」とはじめに入室する前くらいに元気な声で言いました。一緒に参加していた方々も「待ってたよ」「よく戻ってきたね」と迎え入れてくれました。最後の15分は、息子も楽しそうに参加することができました。

息子のパニックを見極めて、対応してくださったアテンドの方、スタッフの方、あたたかく息子の気持ちに寄り添ってくださった参加者の方々に感謝の気持ちでいっぱいでした。
真っ暗な部屋に戻ってきて「ただいま!もう、怖くなくなった!」と元気な声で言う息子
Upload By ユーザー体験談

不安になりがちな子どもに新しい世界を見せる勇気

息子はもともと、怖がりで、いつもと違う状況が苦手です。幼稚園のときは、避難訓練などのいつもと違う雰囲気と大きな音が苦手で、その度にパニックを起こしていました。加えて多動なところがあったりするので、周りに迷惑をかけてしまう心配や、本人の負担も考えてこれまでなにかを「体験する」というプログラムを極力避けてきました。

新しいことを知ってほしいという思いもありつつも、親の私自身がその勇気が出なかったのです。

でも、そんな息子も小学生になり、見通しが立たない状況でのパニックが起こりにくくなっており、本人も「行きたい」と言ったので今回の「暗闇体験」は、きっと息子の第一歩になる!と信じて、私は申し込んだのでした。

そんな中での息子の体験中のパニック。あのときに私も娘も途中で参加を止め、帰ることになっていたら「やっぱり息子には、このような体験は無理だったんだ。新しいことに挑戦するのはまだ難しいのかもしれない」といろいろなことに対してもまた消極的な気持ちになってしまっていたかもしれません。しかし、今回、そんな息子に対してあたたかく対応してくださったアテンドはじめスタッフの方々と参加者の方々のお陰で、体験に参加することができ、息子にも乗り越える力があると知ることができました。

人によって、できることできないことや、できるようになるペースは違うと思いますが、息子の気持ちを聞きながら、周りの方にも協力していただきながら、少しずつ新しいことにも挑戦してみようと思えるような経験になりました。
イラスト/にれ
エピソード参考/カワカワ

(監修:初川先生より)
息子さんにとっては、想像していた暗闇よりも、もっともっと暗闇だったために混乱してしまったのかもしれませんね。混乱し怖さに打ちのめされそうになっていても、スタッフの方と外に出て待つと言えたのは、怖がりで新しいことが苦手な息子さんからするとおそらくかなりの成長だったのではないでしょうか。

さて、お子さんがパニックのような保護者の方からしても予期せぬ展開を見せたとき。親子でその場を撤退するのも1つの対処法ではありますが、今回のように、スタッフの方々のお申し出やご対応に少し委ねてみる、というのも1つですね。お子さんに日頃接しているスタッフの方(こうしたイベントのスタッフのみならず、学校や地域のイベントでも同様に)ですと、さまざまな予期せぬ展開に慣れていたりうまいことご対応くださったりする場合もあります。お子さんによき体験をしてほしいという思いで運営されていると、今回のように息子さんが“よき体験”と思えるよう計らってくれる(最後、また中に戻ってこられるように安心を取り戻し、そう向けてくださる)こともあります。

いつもそうなるとは限らないかもしれませんが、そうした大人は結構いらっしゃるんじゃないかなと思います。お子さんの様子によって、また周りの状況によっても変わってきますが、体験者さんが勇気をもってスタッフさんに少し委ねてみたことそれ自体も、よき体験となられたのではと思います。
あなたのエピソードもコラムになるかも?ユーザー体験談募集中!のタイトル画像

あなたのエピソードもコラムになるかも?ユーザー体験談募集中!

「本当の自分」に戻り暗闇を旅する90分「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。代表・志村真介さんと考える多様性、コロナ禍における気づきも――発達ナビ編集長インタビューのタイトル画像

「本当の自分」に戻り暗闇を旅する90分「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。代表・志村真介さんと考える多様性、コロナ禍における気づきも――発達ナビ編集長インタビュー

ウェクスラー式知能検査(WISC・WAIS)の内容や費用など【専門家監修】のタイトル画像

ウェクスラー式知能検査(WISC・WAIS)の内容や費用など【専門家監修】

「誕生日に警察に通報されちゃった…」娘4歳の大癇癪・パニックに涙した日ーー発達ナビユーザー体験談のタイトル画像

「誕生日に警察に通報されちゃった…」娘4歳の大癇癪・パニックに涙した日ーー発達ナビユーザー体験談

見通しが立たないと癇癪、パニック!理由は「暗い夜道を歩くよう」だから?発達障害のある小2息子が、将来自分で道を照らせるようになるためにのタイトル画像

見通しが立たないと癇癪、パニック!理由は「暗い夜道を歩くよう」だから?発達障害のある小2息子が、将来自分で道を照らせるようになるために


追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。