「いつもと違う」「大きな音」でパニック、失神!もしものとき、息子は無事でいられる?避難訓練が不安な息子が幼稚園で身につけたことーー読者エピソード
ライター:ユーザー体験談
【発達ナビでは読者からのエピソードを募集中!今回は「見通し不安」についてのエピソードです】息子はこの春で小学2年生になります。診断はありませんが、日々の急な予定変更や、幼稚園で毎年あったクラス替え、小学校入学、時間割の書き忘れで次の日の予定が分からない…など見通しが立たなくて不安になったり、癇癪やパニックにつながってしまうことが多々ありました。
監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
見通し不安のある息子、苦手な「避難訓練で」大パニック!ひきつけを起こしてしまい…
息子はこの春で小学2年生になります。診断はありませんが、日々の急な予定変更や、幼稚園で毎年あったクラス替え、小学校入学、時間割の書き忘れで次の日の予定が分からない…など見通しが立たなくて不安になったり、癇癪やパニックにつながってしまうことが多々ありました。
これまでで一番印象に残っているのは、幼稚園のときの避難訓練です。息子の通っている幼稚園では、毎月1回避難訓練がありました。息子は、サイレンの大きな音が苦手で、毎回涙目になりながら参加していました。
避難訓練は、夏休み前までは先生が事前に予告してくれるのですが、子どもたちが園生活に慣れてくる9月からは、いざというときのために予告なしで行うようになりました。
年少のころ、初めて予告なしの避難訓練が行われた日、突然の大きな音と状況に息子は大パニックになってしまい、ひきつけを起こして倒れてしまいました。「本当の火事じゃないから大丈夫だよ」など先生が何度も伝えてくれたそうなのですが、なかなか落ち着くことができず、次の日から「避難訓練はある?」と毎日聞いてくるようになりました。
これまでで一番印象に残っているのは、幼稚園のときの避難訓練です。息子の通っている幼稚園では、毎月1回避難訓練がありました。息子は、サイレンの大きな音が苦手で、毎回涙目になりながら参加していました。
避難訓練は、夏休み前までは先生が事前に予告してくれるのですが、子どもたちが園生活に慣れてくる9月からは、いざというときのために予告なしで行うようになりました。
年少のころ、初めて予告なしの避難訓練が行われた日、突然の大きな音と状況に息子は大パニックになってしまい、ひきつけを起こして倒れてしまいました。「本当の火事じゃないから大丈夫だよ」など先生が何度も伝えてくれたそうなのですが、なかなか落ち着くことができず、次の日から「避難訓練はある?」と毎日聞いてくるようになりました。
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園としては引き続き子どもに予告しないという方針だったようなのですが、担任の先生と相談し、息子には避難訓練の日を事前にこっそり教えることになりました。
年長になっても避難訓練が怖い!息子が見つけたまさかの「法則」とは?
息子の「避難訓練が怖い」は、年長の秋ごろまで続きましたが、徐々に理解できるようになったのか、避難訓練の度に泣くことはなくなりました。
そのころに先生と相談して、ほかのお子さんたちと同じように避難訓練があることを事前に伝えないことにしました。年長になり、ひきつけを起こして以来2年ぶりに予告なしの避難訓練が行われた日、息子はパニックになることなく過ごせました。
「避難訓練はもう怖くないの?」と聞いたら、先生からは予告していないはずなのに「今日避難訓練やるって分かった」というのです。詳しく聞いてみると「先生が朝の遊び時間を短くする日に避難訓練をする」という法則を見つけ出し、先に心構えをしていたようなのです。
そのころに先生と相談して、ほかのお子さんたちと同じように避難訓練があることを事前に伝えないことにしました。年長になり、ひきつけを起こして以来2年ぶりに予告なしの避難訓練が行われた日、息子はパニックになることなく過ごせました。
「避難訓練はもう怖くないの?」と聞いたら、先生からは予告していないはずなのに「今日避難訓練やるって分かった」というのです。詳しく聞いてみると「先生が朝の遊び時間を短くする日に避難訓練をする」という法則を見つけ出し、先に心構えをしていたようなのです。
実際に避難が必要になったとき、息子は大丈夫?
自分なりに解決策を見つけて大パニックを起こさなくなった息子の様子に成長を感じたものの、これは避難訓練慣れしただけなのでは?実際の避難が必要な状況になったときに果たして息子は大丈夫なのか…?と、私は逆に不安になりました。
私がそんなことを考えていると、避難訓練を克服した息子は、いろいろ説明してくれました。
「サイレンがなったら、おしゃべりをやめて先生の話を聞くんだよ」
「地震だったら、〇〇に避難するんだよ」
「〇〇が火事になったら、〇〇に避難するんだよ」
「逃げる場所が変わることもあるから、そのときは先生の話を聞かなきゃだめ」
私がそんなことを考えていると、避難訓練を克服した息子は、いろいろ説明してくれました。
「サイレンがなったら、おしゃべりをやめて先生の話を聞くんだよ」
「地震だったら、〇〇に避難するんだよ」
「〇〇が火事になったら、〇〇に避難するんだよ」
「逃げる場所が変わることもあるから、そのときは先生の話を聞かなきゃだめ」
実際に避難が必要になったとき、見通しは立ちにくく、大人でも冷静でいられるかは分かりません。息子は、パニックを起こすかもしれません。でもこうして長い時間をかけて先生がていねいに伝え続けてくれたことは、いざというとき、息子が落ち着くためのヒントになってくれるのではないかと思います。
イラスト/カタバミ
エピソード参考/カワカワ
イラスト/カタバミ
エピソード参考/カワカワ
(監修:鈴木先生より)
誰でも非常ベルの音はうるさくて嫌なものです。ASDと診断されたお子さんは感覚過敏があり、特に音過敏が多くみられます。運動会のピストル音、打ち上げ花火の音、車のクラクション音など突発的な音が嫌いです。あらかじめ分かっていても、いつ音が鳴るか不安で仕方がない場合は耳栓やヘッドホンをするなどの対処が必要です。実際に避難が必要になったときは自分で耳を抑えながら逃げるしかありません。一般のお子さんは徐々に慣れていきますが、ASDのお子さんは「慣れる」ということが難しい場合が多いということを理解する必要があります。初めに怖いと思ったらずっと怖いが続いてしまうのです。
誰でも非常ベルの音はうるさくて嫌なものです。ASDと診断されたお子さんは感覚過敏があり、特に音過敏が多くみられます。運動会のピストル音、打ち上げ花火の音、車のクラクション音など突発的な音が嫌いです。あらかじめ分かっていても、いつ音が鳴るか不安で仕方がない場合は耳栓やヘッドホンをするなどの対処が必要です。実際に避難が必要になったときは自分で耳を抑えながら逃げるしかありません。一般のお子さんは徐々に慣れていきますが、ASDのお子さんは「慣れる」ということが難しい場合が多いということを理解する必要があります。初めに怖いと思ったらずっと怖いが続いてしまうのです。
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コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
SLD(限局性学習症)
LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。