平日に学校を離れて学習活動ができる「ラーケーションの日」って?子どもと家族の関係を変える「休み方」ーー愛知県政策企画局企画調整部地方創生課/教育委員会を取材【小児科医コメントも】

ライター:発達ナビニュース
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「ラーケーションの日」導入で話題になった2023年度から始まる「愛知県『休み方改革』プロジェクト」。子どもと家族が一緒に過ごせる日が増えることは、子どもたちにどのような影響を与えるのでしょうか。このプロジェクトについて、愛知県地方創生課、愛知県教育委員会ご担当の方にお話を伺いました。また、小児科医の藤井明子先生に「子どもの休息」についてコメントをいただきました。

「休み方」が子どもと家族の関係を変える⁉ 愛知県『休み方改革』プロジェクトとは――愛知県地方創生課、教育委員会インタビュー

登校しなくても欠席にならない日が3日ある――「ラーケーションの日」導入で話題になった2023年度から始まる「愛知県『休み方改革』プロジェクト」。子どもと家族が一緒に過ごせる日が増えることは、子どもたちにどのような影響を与えるのでしょうか。このプロジェクトについて、愛知県地方創生課、愛知県教育委員会ご担当の方にお話を伺いました。

祝休日は多くても「休み方」に課題がある日本

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出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10272005242
LITALICO発達ナビ編集部(以下――)愛知県『休み方改革』プロジェクト」が発足した背景、そして目的を教えていただけますか?

地方創生課:「休み方改革」を通じて、国民全体のワーク・ライフ・バランスの充実と、生産性向上による日本経済の活性化の実現を目指すために、「愛知県『休み方改革』プロジェクト」は発足しました。

従業員の休暇の満足度があがることは、会社などの生産性や従業員の定着率の向上に寄与するものです。ですが、今の日本には祝休日は多くあるものの、国民が一斉に同じ日に休みを取るため、行楽地が混雑するなどの弊害がおこり「質の高い休暇」を楽しむことができないという実態があります。

また、学校は祝休日が休みですが、仕事をしている人のうち、おおよそ2人に1人は土曜日、3人に1人は日曜日に働いています。例えば医療従事者や、百貨店勤務、街の理髪店など、企業の業種・職種や規模によっては、保護者が祝休日に仕事をしていることも多く、家族が一緒に過ごす時間がつくりづらいといったこともあります。
また、日本の産業、特に観光に関連する宿泊業・飲食サービス業などのサービス産業は、繁忙期と閑散期の差が大きいことから、人員配置などの最適化が図りにくく、欧米に比べ労働生産性が低いということが挙げられます。
これら課題を解消するためのプロジェクトです。
――「休み方改革」を実現するために必要なことは、どのようなものでしょうか?

地方創生課:企業や個人単位で休日を柔軟に設定できる環境づくり、有給休暇が取りやすい環境の整備、そして、子どもの休みを契機に家族が一緒に休むことができる、家族の休みに合わせて子どもが活動できる仕組みづくりが必要だと考えられます。

子どもと家族の一緒の休日が増えると、子どもたちに良い影響がでる?

――教育機関が「愛知県『休み方改革』プロジェクト」に期待することを教えてください。

教育委員会:この「休み方改革」では、「県民の日学校ホリデー」(あいちウィーク期間中に設定される学校休業日)と、「ラーケーションの日」(校外での自主的な学習活動の日)という、子どもと家族などが一緒に過ごせる仕組みが創設されることになりました。
愛知県が定める「県民の日学校ホリデー」と「ラーケーションの日」
愛知県が定める「県民の日学校ホリデー」と「ラーケーションの日」
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「県民の日学校ホリデー」は、保護者の休みを促すという側面があります。この休業日は、小・中学校は教育委員会が、高校は各学校の校長が決めます。
また、「ラーケーションの日」は、保護者の休暇に合わせて、子どもが一緒に社会学習を楽しむことができる仕組みです。「ラーケーション」とは、ラーニング(学習)とバケーション(休暇)をあわせた造語になります。「ラーケーションの日」をとったことで受けられなかった学校の授業内容は、事前、あるいは事後に教科書などを用いて、家庭で自習する形になります。

これらによって保護者の有給休暇の取得が促進されて、ワーク・ライフ・バランスの充実につながることや、学びに対する子どもの主体性が育まれることを期待しています。

――近年、不登校の小中学生の数は増加しており、専門家の間では「子どもが心身を休ませる時間の必要性」が叫ばれています。そのような子どもたちにとって「休み方改革」はどのような影響があるとお考えですか。

教育委員会:不登校の小中学生が抱えている事情はさまざまですので、「休み方改革」がどのような影響をもたらすかを申し上げることは難しいのですが、「ラーケーションの日」については、子どもが、家庭や地域などの校外で、保護者などとともに行う体験や探究の学び・活動を、自ら考え、企画し、実行することができる日ですので、すべての子どもにとって良い影響があることを期待しています。

――「休み方改革」は社会に対してどのような変化や影響があると期待していますか。また、プロジェクト発足後の反響などについても教えてください。

地方創生課:2023年3月30日に、県、経済界、労働界、教育界が一体となって「休み方改革」に取り組んでいく「愛知県『休み方改革』イニシアチブに関する同意書」署名式を行いました。多くの問い合わせをいただき、「休み方改革」に対する関心の高さを改めて感じています。
本県知事がリーダーを務める、全国知事会「休み方改革」プロジェクトチームにおいても、「休み方改革」を国民運動として展開していくべく、全国の先行事例の横展開、国などへの提言を行っていく予定です。

――最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。

教育委員会:「県民の日学校ホリデー」や「ラーケーションの日」が学校に導入されましたら、土日などの混雑を避けながら、一緒に過ごしたり体験的な活動を行ったりして、充実した時間を楽しんでいただきたいと思っています。

取材協力:愛知県政策企画局企画調整部地方創生課、愛知県教育委員会

小児科医にきく「子どもの休息」

この愛知県の取り組みは、これからの日本の「休み方」を見直すきっかけとしてさまざまな分野から注目されています。小児科医の藤井明子先生に「子どもの休息」という観点からのこの取り組みについてコメントをいただきました。

(小児科医:藤井明子先生より)
愛知県『休み方改革』プロジェクトは、子どもだけでなく、子どもを取りまく大人にとっても、「休む」ことを考える良い機会になると思います。休むとは、心と体の休息をとって、リフレッシュすること。せっかくの休みだから充実させなければと、「充実した休みをとる」こともタスクのように捉えては、本末転倒です。充実した休みをとると気負わなくてもいいのかもしれません。家族と一緒に外に出かけるもよし、好きな読書をするのもよし、美味しいもの食べるのもよし、誰かにこうすべきと強制されるものではありません。休みをとって、学校では得られない学びを深めたい子どもいれば、自然豊かな環境を訪れてゆっくりしたい子どももいると思います。お子さん個人個人の自分にあった休み方を見つけられたらとても良いと思います。また同時に、親御さん自身も、ご自身の心も体も休ませる方法が見つかると良いと思います。
回答者:さくらキッズくりにっく院長 /小児科専門医 /小児神経専門医/てんかん専門医 藤井明子先生
回答者:さくらキッズくりにっく院長・藤井明子先生
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