体育座りが苦手でフラフラ…健診で低緊張を指摘された自閉症息子。理学療法士の具体的な支援で変化が?【マンガ専門家体験談】
ライター:専門家体験談
みなさんは、理学療法士の支援を受けたことはありますか。今回は、健診で低緊張を指摘されたことがある園児の理学療法エピソードです。
専門家の先生がみてきた発達が気になる子どものエピソードをもとに、分かりやすくマンガ化してお届けするシリーズ企画です。
監修: 井上和広
理学療法士
北海道立子ども総合医療・療育センター リハビリテーション課 理学療法士。北海道で障害のある子どもたちや家族の支援に従事して31年目になります。日頃より子どもたちの健康や幸福を目標にしていますが、何よりも大切なのが、子どもたちや家族が「誰に出会うか、何に出会うか」だと感じています。今後もいい「出会い」が生まれるよう、リハビリテーションを通じて支援を続けていきます。
体育座りが苦手、じっとしていられない自閉スペクトラム症の園児
発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。
今回は、自閉スペクトラム症の園児のエピソードです。体育座りが苦手で、じっとしていられない。友達と一緒に遊ぶことが難しい。園の先生からわが子が困っている様子を聞いた保護者は、健診で「体幹が弱い」と言われたことを思い出して……。
今回は、自閉スペクトラム症の園児のエピソードです。体育座りが苦手で、じっとしていられない。友達と一緒に遊ぶことが難しい。園の先生からわが子が困っている様子を聞いた保護者は、健診で「体幹が弱い」と言われたことを思い出して……。
解説:マンツーマンの理学療法だからできることーー理学療法士
今回は、自閉スペクトラム症の園児のエピソードをもとにお届けしました。幼稚園・保育園などの大きな集団の中では見過ごされてしまったり対応が難しいことも多くあります。マンツーマンの理学療法を通して、お子さんの持っている良い部分をたくさん引き出すことができ、お子さんに満足感や達成感を与え、自信をつけさせてあげることができたように思います。
保護者の方に伝えたこと
お子さんの身体の特性として、基本的には低緊張で筋肉や関節が柔らかいため、筋力が発揮しにくかったり、姿勢保持、応用的な活動が難しいと考えられること。そして、自信がない、注意や集中力が続かない、対人社会性、コミュニケーションなどの課題にも影響している可能性があることを説明しました。そして、まずは身体を使って遊ぶ楽しさを知り自信をつけていくこと、人とのやり取りを楽しんでできることを目標にしていきましょうとお話ししました。
プログラムについて
お子さんが安心して、見通しが持てるような流れでプログラムを組み立て、毎回、同じ流れ・順番になるように心がけました。また、マンガでも描かれているように、プログラムの順番を絵カードや写真カードでホワイトボードに提示し、本人に開始時に説明、一緒に順番を確認しました。一つ終わるごとにマグネットシートを貼りつけてある絵カードや写真カードをひっくり返し、残りのプログラムの見通しをつけました。
具体的なプログラムは、バランスボード立位、バランスボードに立ちながらキャッチボール、トランポリン、自転車補助なし(後方バーつきで介助しながら)、スポーツリハビリ(バスケットシュート、風船バトミントン、野球バッティングなど)が主な内容でした。どれも低緊張での姿勢保持困難さを改善するための、姿勢保持練習や、身体への意識を高めること、足元への注意、両手動作による体幹安定性の向上などを目的としたプログラムです。そして最後に、ご褒美のような形でお子さんにやりたい課題を選んでもらい、一つだけ行いました。
保護者の方に伝えたこと
お子さんの身体の特性として、基本的には低緊張で筋肉や関節が柔らかいため、筋力が発揮しにくかったり、姿勢保持、応用的な活動が難しいと考えられること。そして、自信がない、注意や集中力が続かない、対人社会性、コミュニケーションなどの課題にも影響している可能性があることを説明しました。そして、まずは身体を使って遊ぶ楽しさを知り自信をつけていくこと、人とのやり取りを楽しんでできることを目標にしていきましょうとお話ししました。
プログラムについて
お子さんが安心して、見通しが持てるような流れでプログラムを組み立て、毎回、同じ流れ・順番になるように心がけました。また、マンガでも描かれているように、プログラムの順番を絵カードや写真カードでホワイトボードに提示し、本人に開始時に説明、一緒に順番を確認しました。一つ終わるごとにマグネットシートを貼りつけてある絵カードや写真カードをひっくり返し、残りのプログラムの見通しをつけました。
具体的なプログラムは、バランスボード立位、バランスボードに立ちながらキャッチボール、トランポリン、自転車補助なし(後方バーつきで介助しながら)、スポーツリハビリ(バスケットシュート、風船バトミントン、野球バッティングなど)が主な内容でした。どれも低緊張での姿勢保持困難さを改善するための、姿勢保持練習や、身体への意識を高めること、足元への注意、両手動作による体幹安定性の向上などを目的としたプログラムです。そして最後に、ご褒美のような形でお子さんにやりたい課題を選んでもらい、一つだけ行いました。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。