「こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった」「俺のことなんだからほっとけよ!」と叫ぶ息子

このようなトラブルがありましたが、1、2年の時は先生の対応も手厚く、だいたいは登校できていたと思います。ですが3年生になると「学校なんて行かない!」と本格的に不登校になってしまいました。

本人が落ちついているときに改めて「学校に行きたくない理由は?」と聞いてみたところ、「クラスメイトに注意されるのが嫌なのが1番の理由。それがなければ学校は案外楽しいので行けるよ。勉強嫌いだけど。好きな教科もあるし」と言う息子。でもその後興奮して、「俺はもう一万回はクラスの子から『遅い!』とか『早くしろ』とか、『どうしようもないな!』って言われてきた!もう生きるのが嫌だし、こんな特性持って生まれてきたくなんてなかった!俺のことなんだからほっとけよ!」と爆発していました。
小3で本格的に不登校になった息子。訳を聞くと「俺のことなんだからほっとけよ!」と爆発
「俺のことなんだからほっとけよ!」と爆発
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さらに、「お母さんやお父さんだって、特性がなければもっと俺のことを自慢できたし、俺だって、特性がなければ●●君みたいなしっかりした子みたいにやれたし。お母さんもそんな子どもが欲しかったでしょう?」とも……。

息子には少しでも生きやすい方法を身につけてほしい……、親ができることは何でもしたい……そんな思いの中、私は再度学校に相談をすることにしました。

中学まで引き継げる支援を。息子を支えるチーム体制ができ、母の負担が減りました

私は担任の先生に面談をお願いし、「通常学級が合ってないのかもしれません」と伝えました。すると先生は「注意されることが苦痛であるならば、環境調整で原因を取り除くことによって改善できるはずです。授業そのものは本人にも楽しんでいる様子がありますし、発言も見られます。もっと頑張れる子だと思います」と言われました。
そして先生方は以下の対応をしてくれることになりました。

・なるべく叱らない
・おおげさなくらいに応援して、課題ができたらほめる
・不注意があったら先回りして配慮をしておく
担任の先生に「もっと頑張れる子だと思います」と言われ…
担任の先生に「もっと頑張れる子だと思います」と言われ…
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また、教育支援センターに相談したところ、巡回相談をしてくれることになりました。
そして、心理士さん、言語聴覚士さん、作業療法士さんの中で1名(日によってどなたがが参加されます)、学校に配属されている発達障害のある子どもと保護者をつなぐベテランコーディネーターの方、担任の先生と私の4人で、どうして息子が学校に行けないのか、行けるようになるためにどのような支援が必要かを話す場が設けられました。

「学校でできる工夫」
「家でできる工夫」
「それをもとに変わってきたこと」
小さな目標をたて、それができているか確認、見直しをしています。
息子の行動の説明やアドバイスをまとめた資料をくれることもあります。感覚鈍麻がある息子は、高いところからジャンプすることで、自分の体の感覚をつかむ訓練になるのでそういった遊びをするといい、などです。

一緒に考えていただけるようになって私の負担が少し減りました。小学生のうちに息子の困りごとを減らすとともに、中学校生活での必要な支援をまとめておくことで、息子の助けになればと思っています。

特性を抱えて生きるつらさを感じている息子に寄り添っていきたい

息子は明るく根は素直で、悪いことをしたら謝れる子どもです。ユーモアもあるので、最初の友達作りに問題はありません。ただ、頑固さや切り替えの悪さなどから、その後の継続した関係が難しいようでなかなか仲の良いクラスメイトができません。

息子が特性を抱えて生きるつらさを感じている現在、息子の気持ちに寄り添うことが私のつとめだと思っています。ですので、不登校を許容したい気持ちもあるのですが、それよりも今は周りの助けを借りて本人の困りごとを取り除き、環境調整をしていくことが最優先です。

100人いれば子育ても100通りですよね。他の子どもと比べてしまったり、今も何かあるたびに落ち込んだり、疲れてしまうこともありますが、「息子には息子にあった子育てをしよう!」と思っています。
エピソード参考/翠ママ

(監修:藤井先生より)
100人いれば子育ても100通り、息子さんには息子さんにあった子育てを、との言葉に強く共感いたしました。この言葉の意味を頭では分かっていても、どうしても実行できないことが親子だからこそあると思います。

見守る、寄り添う、その子のペースを大切に、と言われてもできません、と話される親御さんは多くいます。私自身も子育て中なので、そのお気持ちはよくわかります。それでも、100人いれば100通りの子育てというのはとても大切だと思います。そこにたどり着くまでに時間はかかるかもしれませんが、一人で子育てを抱え込まず、いろいろな人に相談することで、視野が広がり、お子さんのペースを大切にする視点に立つことができるようになります。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如・多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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