不登校の中学生、家庭でできる支援は?一歩を踏み出すきっかけは意外なもので…4つのポイントを臨床心理士が解説【マンガ専門家体験談】

ライター:専門家体験談
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自閉スペクトラム症があり、不登校が続いていた中学生のエピソードをお届けします。

専門家の先生がみてきた発達が気になる子どものエピソードをもとに、分かりやすくマンガ化してお届けするシリーズ企画です。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

中学校の勉強が苦手、不安が大きい…自閉スペクトラム症のある中学生

発達障害の専門家が出会った発達が気になる子どもたちや、その保護者の抱えていたリアルな「困った!」をもとに、対応策などをドキュメントタッチで解説します。

今回は、自閉スペクトラム症がある中学生のエピソードです。勉強の遅れや友達付き合いの苦手さがあり、だんだんと不登校に。英会話の個別レッスンだけは楽しそうに通っていて…。
自閉スペクトラム症がある中学生。友達もいない、勉強もできない…ひきこもりがちになり不登校に
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子どもの意思を尊重して、ホームステイにチャレンジすることに
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相談をすることで支援体制をつくることが大切
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解説:不登校のお子さんの見守り方ーー臨床心理士

今回は、自閉スペクトラム症のある中学2年生のエピソードをもとにお届けしました。お子さんの不登校が続いている場合、保護者の方は学力の低下や受験の見通しが立たないことから、大きな不安を感じることと思います。お子さんへの関わりや周りとの連携のポイントは下記のとおりです。

1.勉強以外の部分で価値を見出してあげる
勉強が苦手・学校に行けないというのがセットになり、自己肯定感が下がってしまうことが多くあります。「きょうだいに優しく接している」「年下の子どもやお年寄りと関わることができる」「アクセサリーづくりが上手」「お菓子づくりがうまい」など、勉強以外で子どもが興味を持ったり取り組めそうなところに価値を見出してあげるのも大切です。自己肯定感が上がり、対人関係に自信が持てたり、家庭科やボランティアといった活動への参加につながるなど積極性が高まりやすくなります。そして結果的に学習にも取り組みやすくなるでしょう。

2.相談をすることで支援体制をつくる
カウンセリングルームで専門家には相談できるけれど、学校や習い事の先生には「ちゃんと説明できるだろうか」「分かってくれるだろうか」「何を言われるだろうか」…と相談を躊躇してしまうことがあるかもしれません。
保護者の方が相談できないと、お子さんも相談できないことが考えられます。障害についてどこまで伝えるのか、困っているシーンをどのように説明するのか、どのような合理的配慮を求めるのかなど、事前にかかりつけの医師や専門家と話し合うことで、安心して相談することができます。

3.家庭、学校以外の第3の居場所を見つける
今回のお子さんのように、家庭や学校以外の居場所を見つけることは、人間関係を育むきっかけになったり、新しい一歩を踏み出せたりすることにつながります。また、好きなことに取り組むことで、学習や進路への興味が芽生えることもあるでしょう。「習い事に行けるなら、学校に行けるのでは」という思いが過ることもあるかもしれませんが、まずはお子さんの興味関心から広げていくことを大切にしてみてください。

4.あくまでも決めるのはお子さんにする
選択肢を提示することは大切ですが、最後はお子さんに決めさせるようにしましょう。また、保護者の方はそのあとに起こるかもしれないさまざまな可能性を想定し、選択肢を用意しておくことが大切になります。もしも、お子さんが選択してうまくいかなかった場合、「だから言ったでしょう」といった指摘を控えて、受容し、次につなげていきましょう。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

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