息子の多動や緘黙、情緒不安定は働く私のせい?パートに切り替えて関わる時間を増やして分かったこと

ライター:まゆん
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太郎が保育園の頃、私は悩んでいた。私との関わりが足りないことが太郎の多動や緘黙に繋がってるのでは、とそんなことを考える時期があった。働いている事に後ろめたさがあった。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

太郎の特性は自分のせい?

看護師の仕事のほうは育休明けから時短勤務にしていた。1日7時間勤務とは言えど私はヘトヘトだった。

私が疲れ果てて家で全力で太郎の相手をできていない事や、一緒に過ごす時間が短い事が、太郎の保育園で多動、緘黙に影響しているのかな、働いている私のせいかな……。自分を責めるような思考にもなった。
私が疲れ果てて家で全力で太郎の相手をできていないことや、一緒に過ごす時間が短いことが、太郎の保育園で多動、緘黙に影響しているのかな、働いている私のせいかな……。自分を責めるような思考になっている母
自分を責めるような思考に
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主治医の先生からはそうではないと説明を受けていたし、それだけではないと頭では分かってはいた。それでも、私が太郎と関わる時間を増やすことで太郎が落ち着くなら……。
主治医の先生からはそうではないと説明を受けていたし、それだけではないと頭では分かってはいた。
主治医の先生からは「お母さんのせいではない」と説明を受けていた
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そう思い一大決心、さらに勤務時間を短くしパートに切り替えようと考えた。職場の上司からは「もったいない、時短勤務・正社員のままでいいのでは?」とアドバイスがあった。

私も、職場の立ち位置が主要メンバーではなくなるという疎外感を多少なり感じるだろうと予想していた。

だが、私が仕事をしている事で愛情が足りていないせいで太郎の情緒が不安定になっているという可能性が少しでもあるならば、太郎と関わる時間を増やそう!と決めた。
私が仕事をしていることで愛情が足りていないせいで太郎の情緒が不安定になっているという可能性があるとすれば私との時間を増やそう!そういう決断に至った
太郎と過ごす時間を増やそう!
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私の勤務時間が短くなり、太郎はどうなったかというと……。

結論、なにも変わらなかった。

むしろ、保育園に早めに迎えに行っても太郎は園庭を駆け回っており「帰りたくない!」と汗を流して言われるほどだった。太郎の言葉で気持ちが楽になった。

楽しそうにしている太郎を見ていて気づいたことがあった。私との時間も大事だけど、保育園で過ごす時間も太郎にとって同じくらい大事なものなんだと。
「帰りたくない!」と園庭を駆け回って楽しそうにしている太郎を見ていて気づいたことがあった。私との時間も大事だけど、保育園で過ごす時間も太郎にとって同じくらい大事なものなんだと。
保育園で過ごす時間も太郎にとって大事だと気づいた
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保育園の先生たちに対して、悪いなという思いは残った(加配が必要と告げられているため)。それでも、太郎の遊び回る姿を見ていて、親子それぞれの時間も大切にしようと思えるようになった。

パート期間を終えて

パートの期間はおよそ1年間で終わりにした。その後は正社員に戻り夜勤も週に1回入るようになった。

特に両立が大変だった時期は、小学校4年生の音楽発表会前。行き渋りもなく普通に登校していた太郎が連日急な嘔吐で呼び出しがあった。たまたま私が日勤だったため、上司に事情を話して太郎を迎えに行くということがあった。夜勤ではなく本当に良かった……。

現在の職場でも、面接の際に自閉スペクトラム症のある太郎の特性について話をした。療育センターに通っていることや中学生だけれども社会的な部分は小学生の低学年か年長さんほどということ。情緒面で不安定さが多いことも伝えた。また、私の母がほぼ同居状態ではあるが、太郎の体調不良時はなるべく私が傍にいて様子を見たいため休みをいただくことも伝えた。

私の家庭環境や太郎の特性を理解してもらうためには、自ら行動して納得してもらう必要がある。直接的ではないが、こういう執筆活動もその一つだと思っている。

あとがき

中学生になった今、夜勤業務をセーブしています。社会的な面で、太郎と周りとの成長の差が気になることがあり、学校から帰宅したあとの太郎の様子を見ていたい気持ちがあるからです。

学校からの呼び出しは劇的に減ったけれど、「吐きました」「固まりました」「急に泣きだしました」といった情報共有の電話は何回もあります。

いまでも働き方は悩むところがあります。ずっとずっと太郎との関わり方については考え続けています。結構しんどいときもありますが、太郎ファーストで進んでいる私です。

執筆/まゆん
(監修:鈴木先生より)
私の外来でも母親への告知のあとに必ず「お母さんの育て方のせいではありませんよ」と優しく伝えます。さらに、「ここのスタッフはみんなお母さんの味方で応援団ですから困ったことがあったら遠慮なくおっしゃってくださいね」とも伝えます。ほとんどの母親がここで涙を流します。今まで一人で抱え込んでいたからです。

母子家庭でない場合も父親の関わりが薄く、実家でさえ相談に乗ってくれない事情を抱え、ずっと一人で悩んでいる母親が多く見られます。父親ではなく母親がお子さんと向き合うために仕事をパートへ切り替えているケースも多く見かけます。身近では地域の保健師や園と学校の先生が相談に乗ってくれる場合もありますが、向き合い方は人それぞれです。時には同じ障害があるお子さんの保護者が集まる親の会を紹介して仲間をつくることも提案します。悩みを一人で抱え込まずに地域のみなさんと一緒になって子育てに関わっていくことが大切なのです。
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