舞台で知的障害息子ギャン泣き!先生は汗だく!親は毎年冷や汗…保育園最後の発表会は

ライター:星きのこ
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こんにちは。漫画家の星きのこです。ダウン症の息子きいちゃんは小学2年生。地域の小学校の特別支援学級に通っています。

2023年も残りわずか! 子どもたちもクリスマス会や発表会など、行事やイベントで賑わう時期でもありますよね。
そこで今回は、きいちゃんの園行事について保育園時代から振り返ってみたいと思います。

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監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。 1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。

知的障害がある息子、園の行事は無事に乗り切れる!?

幼稚園、保育園、小学校、放課後等デイサービスなど、子どもたちが集団に属する生活を送ると、発表会や運動会、クリスマス会……といった行事やイベントに参加することが増えますよね(ちなみに私はイベントに疎いほうなので、そういった行事を園や学校側が開催してくださることがとてもありがたく、いつも感謝しています)。

いっぽうで、わが子に障害があると「わが子がちゃんと行事に参加できるのか」というよりも、「乗り切れるのか!?」ととても不安になるのが実情だったりします。

もちろん、わが家もそうです。
発達の遅いわが子。発表会では、わが子の成長を楽しみに鑑賞するなんて余裕はなく、発表会で他の子の足を引っ張らないか内心とてもヒヤヒヤでした。

息子1歳、忘れもしない初めての発表会

きいちゃんは0歳から保育園に通っていたので、園の発表会などには小さい頃から参加してきました(が、0歳の時は体調を崩して発表会も運動会もお休みしました。なので1歳児からの参加です)。

忘れもしない、初めて参加した発表会。ありがたいことに加配の先生がきいちゃんについて下さったので、練習の時から、「きいちゃん、とても頑張ってますよ」「今日はこんな踊りをしました。お母さん、楽しみにしてて下さいね!」などと教えてもらっていました。

そして、いざ発表会が始まると……。
全く動こうとしないわが子。みんなと一緒に踊れるようにと、一生懸命きいちゃんを抱っこしながら二人羽織状態で頑張る加配の先生。しかし嫌がってギャン泣きするきいちゃん。
(た、大変や……)と青ざめる私。
頑張る先生と、ギャン泣きのわが子。そして、青ざめる私。
頑張る先生と、ギャン泣きのわが子。そして、青ざめる私。
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なんとか会が終わると先生が私たち親のほうに駆け寄って来てくださって、「きいちゃん、頑張りましたー!」と汗だくになりながら話しかけてくれました。「いや!! 頑張ったのは先生ですよね!?」と思わず心の中で突っ込み、先生を菩薩のように拝ませていただいたことを忘れません。
菩薩のような保育園の先生。ありがたや!
菩薩のような保育園の先生。ありがたや!
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本領発揮は年長さん!?

しかし、当時きいちゃんは1歳児。そりゃまだまだ踊ったり、指示通りに動くのは無理があります。
きいちゃんが2歳、3歳、いや年長さんくらいになったら成長も見られるだろうと気長に考えることにしました(他のダウン症のあるお子さんが、年長さんの発表会や運動会で、すごく成長が見られた! という報告をSNSなどで見ていたというのもあります)。

なので、2歳、3歳、4歳……と、きいちゃんが発表会や運動会でも泣きっぱなしで先生に抱っこされて全く動かずの状態でも、それがきいちゃんのペースだから……と先生に申し訳ないと思いながら、見守ることができました。

だって!
きいちゃんの本領発揮は!!
年長さんになってからだからっ!!!
年長さんに期待!
年長さんに期待!
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年長さんの発表会がやってきました!

そしてきいちゃんが年長さんになった年の発表会。
劇でクラスメイトたちがさまざまな野菜や果物に扮するなか、きいちゃんはレモンの役でした。
さあ!! 年長さんになったレモン役のきいちゃん!
5年待ったけど、今だ! 成長した姿をママとパパに見せてくれ……!!!

……と思い固唾を飲んで見守っていましたが、相変わらず全く動く素振りはありません。というか、観客席の大勢の保護者に圧倒されて微動だにせず固まっています。
そして両目をギュッととじて口もすぼまり、まるでそれは酸っぱいレモンを食べたかのような顔。
(ある意味、誰よりもレモンを表現しているといえばしている……)とは思いましたが、その年はさすがに先生に抱っこはされなくなったものの、全く何もできなかったきいちゃん……。
酸っぱい顔! ある意味、誰よりもレモンらしい……。
酸っぱい顔! ある意味、誰よりもレモンらしい……。
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気長にゆっくりと、わが子の成長を楽しみたい

きいちゃんと同じようにダウン症のある同い年のお子さんが、「運動会ですごく頑張った!」「発表会ではダンスを上手に踊れるようになってわが子の成長に泣いてしまった」という報告を見るたびに、正直、うう……うちはそんなことなかった……と、少し悲しい気持ちになってしまったりしました。

そんなきいちゃんが、初めて人前で少しだけ踊ったりできるようになったのは今年、つまり小学2年生です。
とにかく大勢の人に圧倒されるタイプのきいちゃん。
もちろん、演目通りにはできなかったけど、やっときいちゃんが本番で踊る姿がすこーしだけ見られました(ちなみに、練習の時は保育園の年中さんくらいから完璧にできていたらしいです。本番に弱い男……それがきいちゃん……)。

何が言いたいかというと、
ダウン症のあるお子さんを育てているお母さーん! お父さーん!
もし年長さんになっても本番で何もできないお子さんがいても、うちもそうでしたから!! 何だったら今もそうです(笑)。

園の行事などは「上手くいった」「成長が見れた」といういい情報のほうが発信しやすいし、目についたりもしますが、そうではない子もいることも知ってほしいなと思いました。
本当に同じ障害があっても、もちろん障害が違っても、人それぞれ。何かが上手くできても、できなくても、それでその子の価値が決まるわけではないと私は思っています。

わが家では、できなかったことに凹むのではなく笑い飛ばすようにしていました(レモン役なんて誰よりも酸っぱそうだったじゃん!  って)。その子のいいところを見て子育てを楽しんでいけば、忘れた頃に思いがけず成長が見れるかもしれませんよ。うちはいつもそのパターンです。
気長にゆっくり、成長を楽しむことができたらいいですね。
執筆/星きのこ

(監修:鈴木先生より)
その子に「何ができないか」ではなく「何ができるか」に着目することが重要だと私は考えます。
例えば、車いすのお子さんに向かって「頑張って歩きなさい」とは誰も言わないはずですよね。同様にダウン症やASDのお子さんのなかには言葉の理解が乏しく話が通じにくい子もいます。
そういうお子さんの発表会には、自分の立ち位置をビニールテープなどで示す視覚的な指示が有効です。視覚的物理的構造化を駆使して対応する必要があります。

発表会に参加できないお子さんもいる中、レモン役で参加できたこと自体が素晴らしいことです。できたことを褒めてあげればいいのではないでしょうか。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029708
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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