年長さんの発表会がやってきました!

そしてきいちゃんが年長さんになった年の発表会。
劇でクラスメイトたちがさまざまな野菜や果物に扮するなか、きいちゃんはレモンの役でした。
さあ!! 年長さんになったレモン役のきいちゃん!
5年待ったけど、今だ! 成長した姿をママとパパに見せてくれ……!!!

……と思い固唾を飲んで見守っていましたが、相変わらず全く動く素振りはありません。というか、観客席の大勢の保護者に圧倒されて微動だにせず固まっています。
そして両目をギュッととじて口もすぼまり、まるでそれは酸っぱいレモンを食べたかのような顔。
(ある意味、誰よりもレモンを表現しているといえばしている……)とは思いましたが、その年はさすがに先生に抱っこはされなくなったものの、全く何もできなかったきいちゃん……。
酸っぱい顔! ある意味、誰よりもレモンらしい……。
酸っぱい顔! ある意味、誰よりもレモンらしい……。
Upload By 星きのこ

気長にゆっくりと、わが子の成長を楽しみたい

きいちゃんと同じようにダウン症のある同い年のお子さんが、「運動会ですごく頑張った!」「発表会ではダンスを上手に踊れるようになってわが子の成長に泣いてしまった」という報告を見るたびに、正直、うう……うちはそんなことなかった……と、少し悲しい気持ちになってしまったりしました。

そんなきいちゃんが、初めて人前で少しだけ踊ったりできるようになったのは今年、つまり小学2年生です。
とにかく大勢の人に圧倒されるタイプのきいちゃん。
もちろん、演目通りにはできなかったけど、やっときいちゃんが本番で踊る姿がすこーしだけ見られました(ちなみに、練習の時は保育園の年中さんくらいから完璧にできていたらしいです。本番に弱い男……それがきいちゃん……)。

何が言いたいかというと、
ダウン症のあるお子さんを育てているお母さーん! お父さーん!
もし年長さんになっても本番で何もできないお子さんがいても、うちもそうでしたから!! 何だったら今もそうです(笑)。

園の行事などは「上手くいった」「成長が見れた」といういい情報のほうが発信しやすいし、目についたりもしますが、そうではない子もいることも知ってほしいなと思いました。
本当に同じ障害があっても、もちろん障害が違っても、人それぞれ。何かが上手くできても、できなくても、それでその子の価値が決まるわけではないと私は思っています。

わが家では、できなかったことに凹むのではなく笑い飛ばすようにしていました(レモン役なんて誰よりも酸っぱそうだったじゃん!  って)。その子のいいところを見て子育てを楽しんでいけば、忘れた頃に思いがけず成長が見れるかもしれませんよ。うちはいつもそのパターンです。
気長にゆっくり、成長を楽しむことができたらいいですね。
執筆/星きのこ

(監修:鈴木先生より)
その子に「何ができないか」ではなく「何ができるか」に着目することが重要だと私は考えます。
例えば、車いすのお子さんに向かって「頑張って歩きなさい」とは誰も言わないはずですよね。同様にダウン症やASDのお子さんのなかには言葉の理解が乏しく話が通じにくい子もいます。
そういうお子さんの発表会には、自分の立ち位置をビニールテープなどで示す視覚的な指示が有効です。視覚的物理的構造化を駆使して対応する必要があります。

発表会に参加できないお子さんもいる中、レモン役で参加できたこと自体が素晴らしいことです。できたことを褒めてあげればいいのではないでしょうか。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029708
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。


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