指導されないまま半年以上放置されていた? 顧問の先生に不信感が爆発

入部して半年ほどたった10月のことです。たまたま部活の様子を見ていたほかの保護者の方から、「息子君、もしかして打ち方を知らないんじゃないの?」と心配そうに声をかけられました。まさかと思い私も様子を見て見ると、本当に息子が打ち方を知らないままテニスをしていたことが分かりました。

入部して半年以上、もうすぐにシーズンオフなのになぜ打ち方を知らないの? 大会や練習試合も打ち方を知らないまま出ていたの? 誰も打ち方が違うって教えてくれなかったの? 疑問が頭に浮かびました。私はあくまでも冷静に、責めるような言い方はせず先生に聞いてみました。すると、「打ち方のおかしい子が何人かいます。シーズンオフにきちんと指導するので、それまで待ってください」とのこと。
息子以外にも打ち方を知らない子がいるかもしれないということにびっくりしました。下手な子どもの指導は後回しだったのかと、先生に対してかなり不信感を覚えてしまいました。

息子は、誰にも打ち方が違うと言われたことがなかったそうで、事実を知ってショックを受けていました。その影響か、ようやく学校に慣れて落ち着いてきたのに、また学校を休むことが増えました。部活も出られずに帰ってきて、うつむきながら「打ち方が違うって教えてもらえなかったのは、やっぱ違うと思う……」と呟いていました。

その後、副顧問の先生が打ち方を知らなかった子どもたちを集めて指導してくれ、何とか部活に出られていたのですが、ある日、お便りをもらってきました。
「努力の仕方を間違えると、どんなに頑張っても上達しません。正しい努力ができるよう、自分で考える力をつけて下さい」
というような内容でした。
先生にそんなつもりはなかっただろうとは思いますが、なんだか「打ち方を知らないのは、考える力がない本人が悪い」と言われているように感じました。
息子はお便りを読んで、「部活では『努力が足りない』って言われるし、どうしたらいいか分かからない……」と悩んでしまい、とうとう「部活がつらい」と言い出しました。私もこれ以上は無理だと思い、しばらく部活を休ませることにしました。
「部活では『努力が足りない』って言われるし、どうしたらいいか分かからない……」と悩み、休部することになった息子
「部活では『努力が足りない』って言われるし、どうしたらいいか分かからない……」と悩み、休部することになった息子
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休部から自分の意志で復帰した息子の成長に感動

息子には「3月いっぱいくらいまで休んでみる? 先のことはまた考えよう」と伝え、息子もしばらくのんびりしていましたが、2月頃、突然「部活出てきた」と復帰しました。私や事情を知っているスクールカウンセラーの先生などは驚いて、部活に復帰したことをかなり心配しましたが、本人は戻れたことが嬉しかったようです。

復帰したいということを顧問の先生に伝えたら、先生は息子に謝罪してくれて、息子も「やっと顧問の先生にちゃんと教えてもらえるようになった」と嬉しそうでした。部活で配られていたお便りは、復帰した頃にはなくなっていました。
自分の意志で部活に復帰した息子。私より息子の方がしっかりしていたようです
自分の意志で部活に復帰した息子。私より息子の方がしっかりしていたようです
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数ヶ月休んでいたので、復帰するには勇気が必要だったと思いますが、自分の意志で復帰して本当に偉かったと思います。以前の息子なら、そのまま辞めていたかもしれません。どうやら「辞めてもいい」と思っていた私より息子のほうがしっかりしていたようです。その後、異動のために顧問の先生が変わりました。息子は今、楽しく部活に参加しています。

中学校に入ると今までなかったようなトラブルがあり、問題も複雑になり対応に苦労しましたが、その分息子も大きく成長したように感じます。これからも、困ったことがあったらSOSを出せ、みんなと気持ち良く助け合える関係をつくれるような力を、身につけていってほしいと思います。
イラスト/星河ばよ
エピソード参考/こぺはは

(監修:鈴木先生より)
本人は努力していても「努力が足りない」と言われると自尊心が下がります。少しでも努力した分を褒めてあげればよかったのです。できないことよりもできることを褒めてスモールステップでできたことを伸ばしてあげるということは、学習面でも同じです。たとえテストで30点だったとしても「よく30点取れたね、次回は40点を目指そうね」でいいのです。またASDには発達性協調運動症という不器用さが併存していることも多々あり、球技が苦手なお子さんも多くいます。無理せず少しずつ伸ばしていけばいいのです。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

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