よく転ぶ、頭ばかり怪我して心配…原因や予防法は?【作業療法士・野田遥先生にきく】

ライター:発達障害のキホン
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「体幹が弱いのかすぐ転んだりぶつかったりしてしまう」「転んだはずみで頭に怪我することが多く、心配」「頭の怪我、どうやって防いだらいい?」──そんな悩みや疑問について、専門の先生のアドバイスあると心強いですね。ここでは「体幹の弱さ」「頭の怪我」などについて、作業療法士の野田 遥先生が分かりやすく教えてくれます。(取材/LITALICO発達ナビ編集部)

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監修: 野田遥
作業療法士
LITALICO研究所 研究員
作業療法士として教育センターや障害児入所施設等で勤務したのち、現在は自閉スペクトラム症者の感覚処理に関する研究や、発達障害に関連したプロダクトの研究・開発に取り組んでいる。

Q:体幹が弱いのか、子どもがすぐ転んだりぶつかったりして頭をケガしてばかりで心配でます。予防法などありますか

A:年齢の低い子どもはバランスを取ることが難しい時期になります。3歳以上になっても何もない場所で転ぶ場合には何らかの疾患が原因の場合もあるので、困りが強い場合などは専門機関に相談しましょう。
回答:野田遥先生(作業療法士/LITALICO研究所 研究員)
回答:野田遥先生(作業療法士/LITALICO研究所 研究員)
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お子さまがよく転ぶのを見ていると、心配になると思います。

前提として、年齢の低い子どもは身体に対して頭が大きく、揺れや動きの感覚を上手に捉えてバランスを取ることが難しい時期です。発達が進むにつれて身体が大きくなり、感覚を捉える力も高まるため、転びにくくなることも多いです。

ただし、3歳以上になっても何もない場所で転ぶ、頻度が非常に高いなどの場合、以下のような原因が背景にある場合があります。何らかの疾患が原因の場合もあるので、困りが強い場合や突然転びやすくなった場合には、専門機関に相談しましょう。

転びやすさの原因を解説

不器用さ:身体の使い方が不器用だったり、揺れや動きの感覚を捉えることが苦手だったりするために、ものにぶつかったり、つまづいたりしやすい場合があります。

注意や衝動性の問題:注意がそれやすく障害物に気づきにくかったり、衝動的に動く傾向が強かったりするために、転びやすくなっている場合があります。

筋緊張:筋肉の張りが弱いと、姿勢をうまく保つことが難しいため、転びやすい場合があります。

靴のサイズ:靴のサイズが合っていない場合、転びやすくなる場合があります。子どもの足の大きさは変化しやすいので、定期的に確認してみてください。

見えにくさ(弱視):視力が低い場合、周りがよく見えていないために転びやすくなっている可能性があります。目を細める、こするなどの行動が多く見られたり、見えにくそうな様子がないか観察してみましょう。気になる場合は眼科にご相談ください。

脳や神経の疾患:脳や神経の異常が原因で、運動機能に影響が出ている場合があります。周りの子どもと比べても転ぶ頻度が非常に高かったり、今までは問題なかったのに突然転びやすくなるなど、いつもと違う様子が見られたりする場合には、医療機関にご相談ください。

転びやすさの原因にはこのようにさまざまな要因が考えられます。また上記以外の要因がある場合も考えられます。
発達的なゆっくりさであれば、さまざまな運動体験の積み重ねや身体の発達によって転びにくくなる場合があります。適切な遊びや運動については、理学療法士や作業療法士に評価・対応を相談できるとよいでしょう。

また、一般的な環境調整としては、つまづきやすい障害物を動線から減らしたり、よく過ごす部屋の床に柔らかいマットを敷いたりすることで、転びにくく怪我しにくい空間を作る対応を取ることがあります。特に低年齢の子どもに対しては、気をつけるよう注意を促すよりも環境を整えることが重要な場面が多いです。

頻度が高い場合や医学的な原因によって転倒が増える場合には、先述のように専門機関と相談して原因を明らかにすることが何より重要です。安全に生活するためにヘッドギアを身につけるなどの対応をする場合もありますが、専門家の指示に従って行いましょう。
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