発達障害息子、2歳イヤイヤ期から小5反抗期まで切れ目なし!別人のように落ち着いた!?中2の今

ライター:丸山さとこ
発達障害息子、2歳イヤイヤ期から小5反抗期まで切れ目なし!別人のように落ち着いた!?中2の今のタイトル画像

子どもが2歳頃になると、自我が芽生えることで始まるというイヤイヤ期ですが、コウの場合は2歳頃から小学校を卒業するまで『イヤイヤ期』と『反抗期』の切れ目がないような状態でした。現在中学生になったコウと一緒に、これまでを振り返りました。

監修者室伏佑香のアイコン
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。 現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。

小学校卒業まで、イヤイヤ期から反抗期まで切れ目なし!?

子どもが2歳頃になると、自我が芽生えることで始まるという『イヤイヤ期』。コウの場合は、自己主張が強くなりだした2才頃から小学校を卒業するまで『イヤイヤ期』と『反抗期』の切れ目がないような状態だった。 
2歳頃から小学校を卒業するまで『イヤイヤ期』と『反抗期』の切れ目がなく、母ゲッソリ……。
Upload By 丸山さとこ

激しくはないものの、ずーっと続くイヤイヤ期&反抗期

子どもが2歳頃になると、自我が芽生えることで『イヤイヤ期』が始まると言われています。「あれをしたい、これはイヤ」などの自己主張が強くなり、強い抵抗や癇癪も始まるイヤイヤ期。赤ちゃんの頃とは違った形で手がかかるようになり、大変な思いをされる保護者の方もたくさんいらっしゃると思います。

そんなイヤイヤ期は一般的に3歳から4歳にかけて落ち着いていくそうですが、コウは自己主張が強くなりだした2歳頃から小学校を卒業するまで『イヤイヤ期』と『反抗期』の切れ目がないような状態でした。

現在中学生のコウ本人がこれまでを振り返って「僕は小さな頃からずっと反抗期みたいなものだからね」と言うほど長く続いた彼の反抗は、地味に大変なものでした。

見た目の派手さはないものの、地味にキツい「説得千本ノック」

コウのイヤイヤ期&反抗期は、怒って暴れたり駄々をこねてひっくり返ったりするような見た目の派手さはありませんでした。基本的に泣いたり反論し続けたりするような感じで、激しいときでも癇癪を起こして床を叩く程度だったので、反抗の程度としては大人しいほうだったかもしれません。

ただ、その『泣いたり反論し続けたり』がすごいのです。息が吸えずに顔色が真っ青になるまで泣きますし、「何で? 〇〇は□□のハズなのに!」と混乱からパニックになっていくこともしばしばでした。
プリントを握りしめて泣きながら怒っているコウ。「何で? 〇〇は□□のハズなのに! ゼッタイ□□なのに! おかしいよ!!」と言っている。それを見て「まだワーワー言ってる……長いな……!」と驚く私。 
「ゼッタイに□□なハズなのに!」言い出したら、長い長い……。
Upload By 丸山さとこ
それに加えて、反論はコウが納得するまで長時間に渡り続くこともありました。対応している私としては、精神的につらいのはもちろんのこと、長く時間がとられることにも負担を感じることがありました(私はグッタリと疲れ果てながら「説得の千本ノックみたいだな……」と思っていました)。

今のコウは、当時を振り返って「あの頃はねぇ、あらゆることに『納得いかない!』って思ってた」と言っています。その『納得いかない!』の暴風雨にコウ本人も周囲の人も振り回された、嵐のような時期だったと思います。

小学校6年生から少しずつ現在のコウに近くなってきました

思春期に入ったことで周りが見えるようになり……

そうしてイヤイヤ期から反抗期までを過ごしてきたコウは、小学校6年生から少しずつ落ち着き始めました。周囲の様子や事情が見えるようになり始めたことで、「理不尽だ! おかしい!!」と思うことが減っていったのだそうです。

また、クラスメイト同士の関わりを落ち着いて見るようになったことで、「自分の感情表現は周りに比べて激しすぎるのかな?」と気づいたのも大きかったと言います。それにより、コウは感情表現の仕方を意識的に調整するようになったそうです。
「うぇーい」「やめーや!」と言いながらじゃれ合うクラスメイトを見て「あれ? もしかして僕の感情表現は激し過ぎるのかな?」と思うコウ。
小6になり、周りが落ち着いて見られるようになってきて。
Upload By 丸山さとこ
周りを見ることにより0-100思考も少しずつ和らぎ、「まぁいいか」と言えるようになったことで、パニックも減っていったようです。

その流れは中学校に入ってからも続き、今では滅多にイライラすることはなくなりました。コウ本人も「思春期に入って自分や周りを見るようになってきたことで、イライラが減って情緒が安定してきた」と言っていました。

「当時、反抗する気持ちはなかった」と振り返る現在のコウです

幼児の頃から今までを『反抗期みたいなものだった』として振り返りつつ、コウは「自分としては反抗期だとは思っていないところもある」と言います。詳しく聞いていくと、以下のように話してくれました。

・保育園や小学校の頃は特に反論しまくっていたと今なら分かるんだけど、疑問や納得できない点をそのまま言っているだけで、自分としては反論しているつもりはなかった。

・納得できない! おかしい! と思うことはよくあったけど、反抗的な気分ではなかった。人に対してではなく、『納得できないこと』に向かってイライラしている感じ。

先生や親に対して反抗しようと思うほど、人のことを見たり考えたりしていなかったと思う。自分のことだけって感じ。でも、結果的に反抗的と取られる言動をしていたってことも今は分かる。
腕を組んで考えながら小学生の頃を振り返るコウ。「人のことを見たり考えたりしていなかったと思う。自分のことだけって感じだったよ。反抗的と取られるのも今は分かるよー」と言うのを聞いて「あー。それは何となく分かるかも」と言う私。
中学2年生になったコウ。小学生の頃を振り返って。
Upload By 丸山さとこ
このように思っていたことを話してくれたコウは、今では別人のように落ち着いたと言われることもあります。ですが、私は「実は内面はそれほど大きく変わってはいないのではないかな?」と思ったりします。

コウのこれまでを振り返ると、今のコウも言葉や態度がマイルドになっただけで、納得を求めて疑問を投げ続けるようなところは変わっていないと感じるからです。
「『おかしいよ! 何で!?』ってワーッとなったり、イライラしたりはしなくなったかも?」と言うコウ。それを聞いて「それは本当にそう! 言い方も全体的に穏やかになったと思うよ」と同意する私。
中学生になり、ワーッとなったり、イライラしたりはしなくなったそう!
Upload By 丸山さとこ
それでも、納得できない気持ちを「おかしいよ!」ではなく「それはなぜ? 自分はこう考えたんだけど」と表現できるようになったコウは、確かに変化しているのだと思います。

コウの調子の悪い日は納得するまで『説得千本ノック』が始まることもありますが、私に対して疑問を飲み込まずに投げてもらえる内が華なのかもしれません。「今日はコウのボールを受け止められそうかな?」と、心身の余力と相談しながら可能な範囲で対応していきたいです。
執筆/丸山さとこ

(監修:室伏先生より)
コウくんの幼児期から小学生までのご様子を、コウくん自身の言葉も交えて共有くださり、ありがとうございます。
疑問や納得できないことをとことんまで納得しようとする姿勢、ご本人もご家族も本当におつらかった時期があったことと思いますが、ついつい自分を甘やかしてしまう私からすると、尊敬の気持ちでいっぱいです。

また、それを客観視して表現の仕方を自ら変えていかれたことも素晴らしいと思いました。その姿勢ゆえにストレスや苦悩を抱えてしまうこともあるかもしれませんが、誰にでも真似できることではありません。

また、コウくんのその疑問やイライラに向き合ってこられた、さとこさんの忍耐強さも決して簡単に真似できることではありません。さとこさんのその大きな愛情の中で、コウくんは安心して疑問、そして感情をぶつけることができ、少しずつ自身を客観視できたのかなと思います。
次の記事も楽しみにしております、時々コウくんのお言葉も聞かせてくださいね。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35029938
生まれた時からイヤイヤ期!?寝ない!食べない!癇癪が激しかった自閉症娘、9歳の今はのタイトル画像

生まれた時からイヤイヤ期!?寝ない!食べない!癇癪が激しかった自閉症娘、9歳の今は

分かりきっている質問を何度もしてくるのタイトル画像

質問に答えても、会話が広がっていかない場合は…

ADHD?落ち着きがないだけ?4歳、5歳で表れる特徴、症状など【医師監修】のタイトル画像

ADHD?落ち着きがないだけ?4歳、5歳で表れる特徴、症状など【医師監修】

2歳で発語、指さしなし。激しい癇癪、ベビーカー拒否で母も涙…自閉症娘の子育て奮闘記【新連載】のタイトル画像

2歳で発語、指さしなし。激しい癇癪、ベビーカー拒否で母も涙…自閉症娘の子育て奮闘記【新連載】

自閉症息子の先生から突然の電話。音楽の授業でのハプニングを聞いて母は…のタイトル画像

自閉症息子の先生から突然の電話。音楽の授業でのハプニングを聞いて母は…

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

追加する

バナー画像 バナー画像

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。