「言われていないことはやらない」中1自閉症娘、気遣いを覚えてほしい!母の11年

ライター:SAKURA
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広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。
空気を読む、察する、ということが苦手です。
また、相手の気持ちを想像することも難しいため、「言われてないけど、やったほうがいい」というような部分が理解できなくて…。

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監修: 森 しほ
ゆうメンタル・スキンクリニック理事
ゆうメンタルクリニック・ゆうスキンクリニックにて勤務。産業医として一般企業のケアも行っている。 ・ゆうメンタルクリニック(上野/池袋/新宿/渋谷/秋葉原/品川/横浜/大宮/大阪/千葉/神戸三宮):https://yuik.net/ ・ゆうスキンクリニック(上野/池袋/新宿/横浜):https://yubt.net/

空気を読む、察する、ということが苦手な広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘

広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。空気を読む、察する、ということが苦手です。

また、相手の気持ちを想像することも難しいため、「言われてないけど、やったほうがいい」というような部分が理解できません。
例えば……
カップ麺を作るように頼むと、自分の分だけを作り、食べ始めてしまう娘
カップ麺を作るように頼むと、自分の分だけを作り、食べ始めてしまう娘
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カップ麺を作るように頼むと、自分の分だけを作り、食べ始めてしまいました。
その行動が周りが求めていた行動と違うことが理解できず……
その行動が周りが求めていた行動と違うことが理解できず……
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娘には、それが周りが求めていた行動と違うことが理解できません。
なぜなら……
「みんなの分を作ってとは言われていない。だから、私は自分の分だけ作った」と言う娘
「みんなの分を作ってとは言われていない。だから、私は自分の分だけ作った」と言う娘
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「みんなどれがいいかは、ちゃんと聞いた。みんなの分を作ってとは言われていない。だから、私は自分の分だけ作った」

娘の言い分は、分かります。
言われていないことは、やらなくていいはず。そっちがちゃんと言わないから、分からない。確かにそうかもしれませんが、親としては……ちょっと周りを見渡し、みんな大変だから私が作ろう! と思ってほしいところ。

こういう時の、察する力が弱いのが娘の特性ではありますが、暗黙の了解的なことはこれから社会に出たら、山ほどあります。絶対できるようになって! とは言いませんが、今やれることをやる! が私たちの考え方。今、苦手レベルが10だとしたら、7か……8ぐらいになってほしい。

察する事が苦手な娘には、こういう経験を通して、パターンを教えています。
察する事が苦手な娘には、こういう経験を通してパターンを教えています
察する事が苦手な娘には、こういう経験を通してパターンを教えています
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パターンを教えても、ちょっとでも状況が変わると……

次回からはどうするかを伝え、次に同じ事があった時、対応できるようにします。しかし、ちょっとでも状況が変わると……
パターンを教えてもちょっとでも状況が変わると……
パターンを教えてもちょっとでも状況が変わると……
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言葉通りに行動します。
パターンの応用が利かない娘
パターンの応用が利かない娘
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パターンの応用が利かない娘。

カップ麺の時の状況は、パターンとして覚えているだけなので、本質を理解できていない娘は、物が変わると当てはめることが難しくなります。今度は新しいパターンとして、どうしたらよかったかを教えます。

「人の気持ちを想像して、その人が助かったり、ありがとうと思う行動をとる」と考え方を教えてはいますが娘には難しいようでした。
「人の気持ちを想像して、その人が助かったり、ありがとうと思う行動をとる」と言うことはまだまだ難しく……
「人の気持ちを想像して、その人が助かったり、ありがとうと思う行動をとる」と言うことはまだまだ難しく……
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娘の場合、人の気持ちを考えることの必要性を感じていないので、この気持ちの部分は、何度説明しても、娘の中で納得できていないからか、なかなか浸透していきません。それでも、やらない、教えない選択はない。

教え続けて……早11年。しっくりきていない娘に私は、毎日のように相手の気持ちと、最適な行動パターンを繰り返し教えています。いつか……どこかで娘の中で、理解できればいいと思い、続けています。
執筆/SAKURA

(監修:森先生より)
「自分がされてイヤなことは他人にしてはいけません」というフレーズは、幼稚園や学校などでよく耳にしますよね。
まず、「相手の立場に立って考える」こと自体は、「この人の立場ならこう感じるだろう」という「心の理論」が育ってはじめてできるようになります。定型発達の方ですと4歳くらいからできるようになると言われています。ただ、実はこの考え方には限界があります。人によって、喜ぶこと、イヤがることが違うからです。

お子さんが「別に私は気にならないよ」と思ってしまうのであれば、この伝え方は意味をなさないのです。「こうしてくれると私は嬉しい。ほかの人もそうかもしれないよ」という伝え方をして、場面場面のパターンを覚えてもらうほうが、お子さんにとっては混乱も少なく、結果的に近道となるケースが多いのです。

「私はこう思う」という伝え方を、アイメッセージといいます。「I=私は(が)」を主語にして、自分の意思や要望を伝える方法です。そのように伝えると、言われたほうもすんなりと聞き入れやすくなるのです。反対に、「あなたは自分勝手だ」というように「あなた」を主語にすると、言われた側も受け入れにくくなります。「こんな場合はこうしてほしい」と、シンプルに自分の気持ちとして伝えるといいのではないでしょうか。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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