機能的アセスメントとは?家庭でもできる?機能に着目した分析やサポートのヒントを紹介します【LITALICO発達特性検査】

ライター:LITALICO発達特性検査 活用サポート
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オンライン検査ツール「LITALICO発達特性検査」で大事にしているのが、「個と環境の相互作用」という考え方です。その考え方を実践する際に、重要になってくるものの一つが、お子さまの行動の機能に着目する「機能的アセスメント」という考え方です。お子さまの行動の意味や機能を観察し、理解することで支援や対処法のヒントが得られるかもしれません。

この記事では「機能的アセスメント」について、また具体的な方法やポイントについて、分かりやすく解説します。

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

機能的アセスメントとは?

機能的アセスメントは、環境と行動との関係性に着目し、本人の視点からその行動の機能を理解するために使用されるアセスメントの総称です。

具体的な手法や考え方については、専門家や研究者の立場によってさまざまなものがあり、特定の決まった方法はありません。

この記事では、「機能的アセスメント」という考え方を用いて、「特定の行動がどんな環境要因によって生じているのか」「その行動がどのような意味があるのか」ということに着目することで、本人への理解や、具体的な支援を考える方法について、家庭でも実践できるヒントをご紹介します。

機能的アセスメントの基本的な考え方

行動の前にはきっかけがあり、行動のあとには結果があります。このような行動の前後の環境から本人視点でその行動の意味を考えることを「機能的アセスメント」といいます。行動の機能はそれが生じる環境によって複数考えられます。それに着目することで、その行動を変えたり、よりよくするための効果的な工夫がしやすくなります。

例えば、次のように考えます。

おもちゃ売り場(きっかけとなる環境)

癇癪を起こす(行動)

おもちゃを買ってもらえた(結果)


癇癪を起こすとおもちゃを買ってもらえるというメリットがあるために、お子さまが癇癪を繰り返すようになる、と考えます。この場合の癇癪は、「おもちゃが欲しい」という要求の機能を果たしていると考えられます。
機能的アセスメントの考え方:要求・行動・結果(「LITALICO発達特性検査」検査結果レポートより)
機能的アセスメントの考え方:要求・行動・結果(「LITALICO発達特性検査」検査結果レポートより)
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お子さまにとって課題のある行動や、望ましくない行動がある場合、その行動のきっかけや結果を知ることで、「癇癪を起こす」という望ましくない行動が起きにくい環境を整備したり、代わりになるコミュニーケーションやより適応的な別の行動に置き換えていく具体的なアイデアを考えやすくなります。

LITALICO発達特性検査と機能的アセスメント

お子さまの特性と環境の相互作用で行動をとらえる

LITALICO発達特性検査では、お子さま本人(個)と周囲の態勢・設備(環境)の相互作用の中で、お子さまの困難が生じると考えています。
「いつも同じような状況で困りごとが起きる」「お菓子売り場で騒ぐのをなだめたくて一度買ったら、毎回騒ぐようになった」など、繰り返す行動がある場合や、解決したい課題がある場合にも、この考え方をもとにすることができます。また、観察や分析をするうちに、「同じような場面で起きていた」「きっかけがあると起きやすい」ということに気づくこともあるかもしれません。

そうすることで、困りごとだけにフォーカスしてお子さまを「困った子」としてとらえるのではなく、お子さまの特性と、なんらかのきっかけや状況といった環境が相互に影響しあってその困りごとが生じると考えることができます。

さらに「お子さまの行動にはどんな意味があるのか?」「その行動がどういう機能・目的を果たしているか」という機能的アセスメントによって把握することで、その状況や行動を変えたり、困りごとが軽減できるよう、対応方法のヒントが得られる場合があります。
お子さま本人(個)と周囲の態勢・設備(環境)の相互作用の中で、困難が生じる(LITALICO発達特性検査より)
お子さま本人(個)と周囲の態勢・設備(環境)の相互作用の中で、困難が生じる(LITALICO発達特性検査より)
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「いつも同じような状況で困りごとが起きてしまう」「お菓子売り場で騒ぐのをなだめたくて買ってあげたら、毎回騒ぐようになった」など、繰り返す行動がある場合や、解決したい課題がある場合にも、この考え方をもとにすることができます。また、観察や分析をするうちに、「同じような場面で起きていた」「きっかけがあると起きやすい」ということに気づくこともあるかもしれません。

そうすることで、困りごとだけにフォーカスしてお子さまを「困った子」としてとらえるのではなく、お子さまの特性と、なんらかのきっかけや状況といった環境が相互に影響しあってその困りごとが生じると考えることができます。

さらに「お子さまの行動にはどんな意味があるのか?」「その行動がどういう機能・目的を果たしているか」という機能的アセスメントによって把握することで、その状況や行動を変えたり、困りごとが軽減できるよう、対応方法のヒントが得られる場合があります。

お子さまの困りごとに合わせて、機能に着目した対応方法の提案も

また、LITALICO発達特性検査では、お子さまの特性や困っていることの傾向と、その対応方法が「検査結果レポート」として表示されます。特に機能に着目したサポートが合うお子さまの場合、検査結果レポートでも、サポート方法として「機能」に着目した対応方法を提示している場合があります。その場合は、検査結果レポートを参考にすることで、課題や困りごとに即したサポートに取り組みやすくなります。

このように、LITALICO発達特性検査で得られた情報と合わせて機能的アセスメントを行うことで、より適切な支援や、家庭での環境調整につながっていきます。
次ページ「行動の理由を4つの「機能」(=原因)から考える」

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