「外ではいい子なのに、家では激しい癇癪のわが子」子どもの心理や対応は?【専門家に聞いてみました】

ライター:発達ナビPLUS
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「学校では優等生と言われるが、家ではイライラすると一気に爆発する」「外では大人しいけど家ではわがままし放題」
発達ナビPLUSや発達ナビのQ&Aコーナーにも、このようなご相談が多く寄せられています。
今回は、「外ではいい子なのに家では大変……」というお子さんの心理と対応について、公認心理師の菅佐原洋先生にお伺いしました。

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監修: 菅佐原洋
公認心理師
臨床心理士
臨床発達心理士
LITALICOジュニア チーフスーパーバイザー
慶應義塾大学先導研究センター、常磐大学助教を経て、現在LITALICOジュニアとLITALICO発達ナビのチーフスーパーバイザーに。 発達障害のあるお子さまへの直接支援、幼・小・中学校での特別支援アドバイザー、大学・教育センター・医療機関でのスーパーバイズなど発達臨床歴25年超。
目次

「外ではいい子」だと悩みを理解されにくい?よくあるご相談を紹介

子育てをオンラインでサポートするサービス「発達ナビPLUS」でも、
・学校では問題ないと言われるが、自宅では些細なことでイライラして一気に爆発する
・園では静かに過ごしているが、保護者の前ではこだわりが強く出て、少しでも自分の思い通りにいかないすぐに泣きわめく
・友達とは仲良く遊ぶのに、家では下のきょうだいに八つ当たりして、いつも喧嘩になっている
といった相談が多く寄せられています。

また、子育てに関する悩みごとなどを相談できる発達ナビのQ&Aコーナーでは、以下のような相談がありました。
4月になり保育園に通い出した頃から、毎週末、大なり小なりの癇癪を1時間〜15分起こすようになりました。(略)外では癇癪を起こすことはなく、周りからは「ママの気にしすぎだ」「お前も小さい頃はそうだった」「おかしいと思う方がおかしい」と言われ、1人で悶々としています。(2歳7か月のお子さんの保護者)
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/183645
3学期になり、家では怒りやすく行き渋りが酷くなり癇癪も再発しています。(略)先生や保護者の方が声をかけてくれると人が変わったように平穏になります。
園で頑張って家で発散していると思い耐えていましたが、最近は私と兄に対して暴力もあります。(4歳のお子さんの保護者)
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/181455
外ではいい子なのに自宅では癇癪……
外ではいい子なのに自宅では癇癪……
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特に、園や学校で問題なく過ごせている場合、先生方や他の保護者に相談しても「問題ないですよ」「考えすぎでは?」など、悩みを理解してもらえないことも。このように理解されにくいことが、保護者の困りをより強める要因になることもあります。
今回は、「園や学校では問題なく過ごせているのに、お家では激しい癇癪で困っている」というご相談について、公認心理師の菅佐原洋先生にお話を伺っていきます。

外ではいい子・家では大変……!子どもの心理と対応ポイントを心理師が解説!

なぜ「外ではいい子なのにお家では癇癪」?

ーー「外ではいい子なのにお家では大変」この背景は何でしょうか?

菅佐原:まず、大前提として「外ではいい子。家では大変……」というのは、決して特殊なことではありません。
例えば、大人でも「外ではうまく振る舞おう、頑張ろう」と思って仕事などを頑張り、その分お家ではリラックスして緩めていると思います。
外と家とで立ち居振る舞いを使い分けるのは、特性の有無や大人・子どもにかかわらず、どんな人にも見られることです。

ただ、外(園や学校など)と自宅とで落差が大きいという場合は、外で“頑張りすぎている”可能性があります。
自宅での癇癪の頻度が増えた、こだわりが強くなった、などが見られる場合は、お子さんの「家以外の場所の負荷が高まりすぎている」ことが背景にあるかもしれません。

「外で頑張っている分、ゆっくりできるお家でくらいは自分らしくいたい」「家族に甘えたい」ということで、疲れの発散やエネルギー切れの充電をしている、と捉えることができます。
消費と充電のバランスが崩れている状態
消費と充電のバランスが崩れている状態
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注意したい「過剰適応」

菅佐原:ただ、1点気を付けないといけないのは「過剰適応」というケースです。

「過剰適応」というのは、外での頑張りを続けるのが難しいくらい負担が大きい状態です。
お子さんによっては「いい子に振る舞わなければならない」と思い込んでいたり、「怒られるのが怖い」といった不安から頑張りすぎてしまうケースもあります。

先ほどお話ししたように、外と内とを使い分けるのは、ある意味「社会性」として必要なものです。
しかし、過剰適応の場合は「そうしなければ」という強い不安に突き動かされ、過度な負担が長く続いている状態になります。

いずれにしても、お子さんにとって過度な負担が続いている状況で、エネルギーの「充電」と「消費」のバランスが大きく「消費」に傾いてしまっていることになります。

そのため、「お家で大変」というのは、お子さんの「外の環境がとても大変」というサインとして受け止めることが大切です。

発達特性の凸凹の大きい子どもならではの難しさ

ーー発達特性の凸凹の大きいお子さんの場合、学習や集団行動の苦手さがあると、より外で頑張るポイントが多いかと思いますがいかがでしょうか。

菅佐原:お子さんによっては、学習のペースやお友達とのやり取り、一斉指示への理解、持ち物の管理など、一つひとつのことに大変さがあることが予想されます。
また、お子さん自身が自分の大変さに気付いていない場合もあります。
逆に、気付いていても、それを周囲に訴えることが難しかったり、自分でどうにかする手立てを持っていなかったりすることもあります。

自分の大変さに気付いていなかったり対処法を知らなかったりすると、より外での大変さは高まりますし、その結果自宅での発散(癇癪など)も強くなります。
そして、自宅で発散した分、また学校である意味頑張れてしまって、自宅でまた発散(癇癪)という悪循環になることもありますね。
気を付けたい過剰適応
気を付けたい過剰適応
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保護者がすぐにできる基本的な対応は?

ーーどのようなサポートが考えられますか?

菅佐原:基本的には、
・なぜそんなに頑張らざるをえないのか?(何が不安なのかなど)
・子どもの負担になっていることはなにか?

を確認することが大切です。

もちろん自宅の中でのサポートもあると思いますが、お子さんにとって負担が高い「外」の環境を変えないと、結局お子さんの大変さは減らないことになります。

また、外で頑張っていると先生からは「問題なく過ごせている」という評価になり、「特に困っていることはない」と思われている可能性があるため、先生とお話してみることも必要なサポートになります。

学校とのコミュニケーションのポイントは?

ーー学校とのコミュニケーションでの注意点はありますか?

菅佐原:保護者の方がいきなり先生に相談した場合、お子さんによっては「園や学校でせっかく一生懸命頑張っているのに、家でのことを勝手に言われた」となる可能性もあります。

そのため、いきなり先生に相談するというよりは、まずはスクールカウンセラーの先生に相談するのもいいでしょう。スクールカウンセラーの先生からお子さんの様子を確認してもらい、必要に応じて担任の先生に相談するというように、少しずつ検討できるといいと思います。

癇癪が起きた時のNG対応は?

ーー学校生活を整えている間も、お家で癇癪が起きることはあると思いますが、癇癪が起きた時のNG対応はありますか?

菅佐原:親であれ人間ですから何でも受け止めきれるかというと、決してそうではないと思います。

ただ、最も重要なことは「癇癪が起きているということは大変さを発散しているんだ」と捉えることです。
もちろん、癇癪以外で発散することが望ましいですが、発散していることに対して怒るなどしてしまうと、お子さんは発散しきれずにより負担が高まってしまいますよね。

そのため、癇癪が起きているということは「それだけ今大変なんだ」というサインとして受け止める視点も大切です。

そして大事なことは、大人の側がお子さんの癇癪に巻き込まれない、ということになります。
全てを許容したり受け止める必要はないですが、巻き込まれてしまうとお互いにイライラしてしまい、発散がうまくできなくなります。
癇癪が起きている時は、トイレや別室に行くなど物理的に距離を置くなどして、巻き込まれないようにすることが大切です。
癇癪が起きた時のNG対応
癇癪が起きた時のNG対応
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時にはガツンと叱ることも。この対応は大丈夫?

ーーわが子が疲れていると分かっても、宿題をしていなかったりゲームの時間を守れなかったりすると、時にガツンと叱る場合もあると思います。この対応はいかがでしょうか?

菅佐原:多くのご家庭で悩まれるポイントだと思います。
大事なことは、「叱ることで今の状況が良くなるか?」という考え方です。

毎日学校で頑張ってきて、お家ではゲームに没頭することで発散して、疲れているからなかなか切り替えも難しくて宿題にも取り掛かれない……という状況かと思います。
そのようなお子さんに「早く宿題やりなさい!」と叱ったとして、その日はしぶしぶ宿題をするかもしれません。
でもおそらくまた次の日、同じようなことが起こるのではないでしょうか?

そうして、怒る(怒られる)ことが繰り返されていくかと思いますが、「叱られる」というのは慣れが生じるものなので、より強くお子さんを叱らないといけなくなり、「大人の負担が高まるだけで改善しない」ということもありえます。

そのように考えますと「叱る」という対応はあまりいい手段とは言えないかもしれません。

もちろん、ついイライラして口調が強くなることはあるかと思います。
ただ、ここでも「巻き込まれない」ことが大切で、イラっとしたお気持ちはありつつも、「学校での負担が高まりすぎていないか?」「宿題の量や内容はどうか?」などに目を向ける方が、改善に繋がるかもしれません。
「叱る」ことは良い手段でないことも
「叱る」ことは良い手段でないことも
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子育ての不安は誰に相談すればいい?

ーー子育てをしていると、自分の関わり方で大丈夫なのかな?と不安になる時もあると思います。このような場合、どこに相談するといいでしょうか?


菅佐原:学校のことであればスクールカウンセラーの先生や担任の先生に相談することもあるかと思います。
ただ、やはりお子さんのことがメインになってくるので、保護者自身のお気持ちなどをお話しづらい部分はあるかもしれません。

保護者自身もしっかり発散していく、つらい気持ちやストレスを吐き出していくことが大切なので、ご自身のことを話せる(相談できる)場所があることは重要です。
信頼できる友人やご家族に話すことも選択肢の1つですが、自分のことをよく知っている相手だとついよく見られたい・本音は言いづらいこともあるかと思います(これもまさに、「外ではいい子」の例ですね)。

その場合は、自治体の女性相談や心理学部等のある大学に付属する心理相談室といった機関もあります。
アクセスや相談のしやすさなど、心理的なハードルの低さから選んでいただくのがいいと思います。

今は電話相談やオンライン相談もありますので、利用しやすいかもしれませんね。

私も監修しているオンラインサービスの「発達ナビPLUS」でも、テキストで直接専門家に相談することができます。
オンラインで顔や氏名を知られることなく相談できるので、多くの保護者の方がご自身のストレスやお気持ちもご記載くださっています。

「この関わり方で合っているのかな?」や「子育てがしんどい」といったお悩みを抱え込まないよう、ぜひご自身にとって利用しやすいものを見つけていただきたいなと思います。

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外側からはなかなか見えづらい子育ての大変さやつらさがあり、周囲には相談しづらい、理解してもらえない、といったご家庭の声が多く寄せられます。

オンラインサービスの「発達ナビPLUS」では、子育てに関する悩みをテキストで直接専門家に相談でき、
・お子さんの困りごとの背景の仮説
・その背景に基づいたお子さんに合ったサポート方法や関わり方
を知ることができます。

また、癇癪や暴言・他害、子どもの不安の高さ、親のアンガーマネジメントなど、子育てに関するさまざまな解説動画は、オンラインでいつでもどこでも見ることができます。

子どもにあった関わり方を知りたいといった人は、ぜひこの機会に「発達ナビPLUS」のWebサイトを覗いてみてください。

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