何を尊重するのか?一か八かで決めた育児方法
当時のコチ丸は「やりたいことしかやりたくない」という、一方だけ見たらワガママなような、でも違う視点から見たら発達障害の特徴のような、判断がつけ難い特性を持っていました。宿題は一切やらなかったし、放っておくとゲームは隠れて何時間もやっていたりするし……。叱るところなのかもしれませんが、宿題をやらない、時間割に従わない、学校へ行かない、わが家は全てOKにしました。もちろん、後々のことを考えたら将来の不安もめちゃくちゃありました。しかし、無理をさせてコチ丸が心を壊してしまうほうがつらいという思いと、好きなことだけやっていったら自分の道を見つけられるかもしれないという願いもありました。
私がこのような考えに至った理由の一つが、コチ丸の記憶力の高さでした。コチ丸は小学校の図書館の本をほぼ全部読み漁るくらいの読書家で、歴史から生物・天体・化学まで、いろんなことに興味がありました。
例えばテレビを見ていて動物が映った時に、私には「鹿か何かの仲間かな?」くらいしか分からないような動物の名前を正しく言え、さらにはその動物の特徴まで全て、テレビの解説よりも先に話してしまうということが多々あり、「頭の中はどうなってるんだ?」と驚かされました。
例えばテレビを見ていて動物が映った時に、私には「鹿か何かの仲間かな?」くらいしか分からないような動物の名前を正しく言え、さらにはその動物の特徴まで全て、テレビの解説よりも先に話してしまうということが多々あり、「頭の中はどうなってるんだ?」と驚かされました。
まるで図鑑を読み上げるように一気に正確に話す様子をみると、親バカですが「この子は何か特別なことができるのでは?」と思ってしまい、思い込みの激しい私の性格が災い(?)して、好きなことだけとことんやらせてみよう!と無謀にも思ったのでした(笑)。
その後、コチ丸は地元を離れ私立中学へ進む道を決め、中学卒業後は馬の勉強をするため北海道の高校を選び、今はいきいきと学校生活を送っています。
中学生になっても「〇〇は……」の「は」と「わ」も区別がつかない、九九もまともに言えないコチ丸に、やはり多少なりとも勉強はさせたほうが良かったのか?と中学を卒業するまではハラハラしていましたが、高校生になった今、自ら勉強をするようになり、成績も上位に入っています。今になって、自分が望む進路には勉強が必要だと悟ったようです。中学受験や趣味のドラムを続ける過程で「自分の好きなことをやるためには、これだけはやらなくてはいけないということが時にはある」と、自然と気づいていったのだと思います。
まだ道は半ばですが、今のところありがたいことに、母が伝えたかったことを自ら学んでくれているのかなと実感しています。
その後、コチ丸は地元を離れ私立中学へ進む道を決め、中学卒業後は馬の勉強をするため北海道の高校を選び、今はいきいきと学校生活を送っています。
中学生になっても「〇〇は……」の「は」と「わ」も区別がつかない、九九もまともに言えないコチ丸に、やはり多少なりとも勉強はさせたほうが良かったのか?と中学を卒業するまではハラハラしていましたが、高校生になった今、自ら勉強をするようになり、成績も上位に入っています。今になって、自分が望む進路には勉強が必要だと悟ったようです。中学受験や趣味のドラムを続ける過程で「自分の好きなことをやるためには、これだけはやらなくてはいけないということが時にはある」と、自然と気づいていったのだと思います。
まだ道は半ばですが、今のところありがたいことに、母が伝えたかったことを自ら学んでくれているのかなと実感しています。
執筆/あき
(監修:井上先生より)
シングルで子育てをされている中で、お子さんが「学校に行きたくない」と言われた時の混乱とショックは大きかったのではないでしょうか。その中で、おじいさんの存在は、お母さまにとってもコチ丸くんにとっても大きかったことと思います。学校の中で障害特性に配慮してもらうことが困難な場合、在宅という選択肢を選ばざるを得ないこともあると思います。子どもが不安定な時期は短期的な視点に陥りがちですが、少し離れた目線から長期的な視野で見守っていくことも大事になります。そういった意味でも、おじいさんのような方が側にいてくださったことは、大きな安心になったのではないでしょうか。同じような状況で悩まれている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、一人で悩まずに、勇気を出して相談できる方をつくっていかれると良いかと思います。
シングルで子育てをされている中で、お子さんが「学校に行きたくない」と言われた時の混乱とショックは大きかったのではないでしょうか。その中で、おじいさんの存在は、お母さまにとってもコチ丸くんにとっても大きかったことと思います。学校の中で障害特性に配慮してもらうことが困難な場合、在宅という選択肢を選ばざるを得ないこともあると思います。子どもが不安定な時期は短期的な視点に陥りがちですが、少し離れた目線から長期的な視野で見守っていくことも大事になります。そういった意味でも、おじいさんのような方が側にいてくださったことは、大きな安心になったのではないでしょうか。同じような状況で悩まれている親御さんもいらっしゃるかと思いますが、一人で悩まずに、勇気を出して相談できる方をつくっていかれると良いかと思います。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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