今は友人に恵まれている

今は、数は少ないものの、深く理解しあい、互いに高めあえる友人に恵まれています。やはりこの実現に最も大きく寄与したのはASD(自閉スペクトラム症)の診断で、次につらい環境からの脱出とトラウマ治療です。

さらにここ1年ほどは言語学や発達心理学を学んだことで、定型発達の人のコミュニケーションのしかたについても深く網羅的に学ぶことができ、定型発達の人たちとも広く浅く、楽しくつきあえる場面も増えてきました。

よい友人関係を作り、維持するには、何よりも自己理解、そして仕上げとして他者理解が不可欠だと感じます。長い道のりでしたが、これは歩むに値する道だったと、今は思っています。

文/宇樹義子
(監修・鈴木先生より)

特に成績が優秀な高機能のASDの方は人間関係や感覚過敏で悩むことが多いようです。テストの成績が良いため、何か問題があっても見過ごされてしまうことも多く、周囲からは何ら病的には感じられていないのです。

私のクリニックでは社会人になって初めて神経発達症を疑って相談してくるケースが増えています。SNSなどを見て自分でそうではないかと疑って来院してきます。親御さんも同じASD系統のこともあるため、今まで誰にも相談してこなかったり、その後精神科で相談しても成績が良くて大学を出ているから問題ないと言われたりといった「大人になってしまったASD」の患者さんたちなのです。その裏には実はADHDもあり、受診することでようやく治療にこぎつけられています。

小児科に通っている時期に早期介入していればその後の人生が少しは良くなったのかもしれません。ただ、小児科も神経発達症専門でなければ気づかれないことも多いのです。高校生になるとどこに相談したらいいかもわからなくなります。日本では思春期外来という看板はほぼ見当たりません。

人生のどこかで気づき、診断されることで初めて過去のさまざまな問題が自分の中で解決できればいいのではないでしょうか。
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https://h-navi.jp/column/article/35030249
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。


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