お子さまの困りごとや課題に向き合うとき、優先順位を何からつけたらいいの?【LITALICO発達特性検査 監修者・井上雅彦先生インタビュー】

ライター:LITALICO発達特性検査 編集部
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子育てに課題が多いと感じるとき、何から取り組んでいいか迷うことはありませんか?また、一番困っていることや、目立つことから取り組みたいけれど、なかなかうまくいかないこともあるかもしれません。そのような場合、LITALICO発達特性検査が役に立つと語る公認心理師の井上雅彦先生。今回は課題の優先順位のつけ方や、取り組みやすいサポート方法の選び方についても伺いました。(取材・構成/LITALICO発達特性検査編集部)

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

子育ての悩み、何から手をつけたらいいか分からないとき

LITALICO発達特性検査を受検される方は、おそらくなんらかの課題や悩みがあって利用されると思います。以前、検査結果にはその具体的な解決のヒントが紹介されているとお話ししました。
「LITALICO発達特性検査」で解決したい親子の困りごと、3つのハードルとは【監修者・井上雅彦先生インタビュー】のタイトル画像

「LITALICO発達特性検査」で解決したい親子の困りごと、3つのハードルとは【監修者・井上雅彦先生インタビュー】

検査結果を「わが子の特性と支援をまとめた1冊の本」として【LITALICO発達特性検査 監修者・井上雅彦先生インタビュー】のタイトル画像

検査結果を「わが子の特性と支援をまとめた1冊の本」として【LITALICO発達特性検査 監修者・井上雅彦先生インタビュー】

今回は、実際にレポートを読んだ際に、何から取り組むかをテーマにお話しできればと思います。

お子さまの課題や困りごとがいくつかある場合、どれから取り組んでいいのか迷いますよね。あるいは頑張ってあれこれ試してみたけれども、なかなか効果が見えにくく、疲弊するという方もいるのではないでしょうか。

取り組むべき課題の優先順位のつけ方や、どのような対応方法を選び何から試すのか、家庭で考えて選択していくのはなかなか難しいことだと思います。
LITALICO発達特性検査の結果レポートを読む井上雅彦先生
LITALICO発達特性検査の結果レポートを読む井上雅彦先生
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検査結果レポートを、お子さまについての「辞書」だと考えて

家庭で取り組む際にLITALICO発達特性検査をヒントにしていただけるといいなと思っているのですが、その理由の一つが検査結果のレポートにあります。

LITALICO発達特性検査のレポートの量は、検査対象のお子さまによって変わります。困りや特性が強い傾向のある場合や、複数の分類の特性があるお子さまの場合には、それだけ検査結果も多く出力されることになります。

PDFにした場合、40ページくらいの方から、多い方で100ページを超える方もいらっしゃると思います。これは、一般の心理検査に比べると、検査結果のレポートの量としてはかなり多いでしょう。LITALICO発達特性検査のレポートは詳しい内容が広い分類にわたって出力されますし、解決法もできるだけ多くの選択肢が持てるように複数提示されるようになっています。

この量を受け取るとびっくりするかもしれないですね。ちょっと多いな、読むのが大変だな、と思われる方もいるかもしれません。

せっかく検査を受けたのだから、しっかり読みこんで、対応方法を試さないといけないと考える方にとっては、量が多いとプレッシャーに感じるかもしれないですね。

検査結果レポートの量が多いと感じる場合は、辞書のように気になるところを調べ、いくつか載っている選択肢から必要そうなところを選ぶというイメージで使うといいと思います。「お子さまのサポート辞典」、あるいは「優先順位をつけるためのヒント集」というイメージです。

私は、結果が出ても、すぐにすべてを読まなくてもいいのではないかと思います。逆に、検査を受けたときにさっと目を通して終わりではなくて、手元に置いてずっと使ってほしいとも思っています。対応方法もいっぺんに取りかからなくても大丈夫です。そう考えていただくと、ボリュームが多かったとしても、そんなにプレッシャーにならないのではないでしょうか。

何から始めればいいか分からない場合の優先順位

まずは取り組みやすいところからがおすすめ

量が多くて何から始めればいいのか迷う場合の具体的なアドバイスもお伝えします。

課題が多い際には、取捨選択をして優先順位をつけていくことが大事なのですが、どうしても「一番苦手なことや、一番目立っている課題から」と考えがちですね。でも私は、どちらかというと、ちょっと困っていて、ちょっとやり方を変えられそうなことが、まず試してみるにはちょうどいいと思います。

一番困っていることや苦手なことって、なかなかすぐには変えられなかったり、お子さまにとっても負担が大きいことでもありますよね。

苦手なものよりは比較的得意なものから取り組むと、うまくいきやすいですし、成功体験になります。また周りの人もどうしたらできるようになるか、共通理解をしていけるといいですね。そのためにも、手をつけやすい課題がおすすめです。大きな目標に取り組む場合、課題を分解して小さな目標にしていくといいと思います。

うまくいかなかったとしても、それは失敗ではなくて、どうしてうまくいかなかったか、より適切な方法はないか改善点を考えるための材料になります。周りの方と話し合ったり、相談して別の方法を試すための出発点として使っていただくのもいいですね。

どれが試しやすいか悩むなというときや、やはり今一番困っていることから取り組みたいという場合には、ぜひ、専門家に相談して一緒に取り組むといいと思います。
次ページ「年齢や発達段階によっても変わる優先順位の考え方」

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