『追い出されてしまった』癇癪を起こさず静かに涙を流す息子の姿

そんな時、担任の先生から面談をしないかと提案され承諾すると、校長も同席すると言われました。当日は最近の様子や問題行動などの報告を受けたあと、ほかの保護者の方からのご意見もあるなどと言われながら、最終的に特別支援学級を見学に行ったらどうかと提案されました。

息子は「転校する」ということにとてもショックを受けていました。学校でみんなと一緒に授業を受けることが楽しみだったので、『適応できなかった』『追い出されてしまった』『先生に嫌われてしまった』というような気持ちがあったと思います。本当に嫌なことは態度や口に出さない息子。転校を告げた時は癇癪を起こすこともなく、騒ぐこともなく、ただ静かに話を聞いて涙を流していました。

私が「ごめんね」と言うと、「大丈夫だよ。泣いてないよ」と言われました。その姿が忘れられません。
転校を告げた時、癇癪を起こすこともなく、騒ぐこともなく、ただ静かに涙を流していた息子。その姿が忘れられません
転校を告げた時、癇癪を起こすこともなく、騒ぐこともなく、ただ静かに涙を流していた息子。その姿が忘れられません
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就学時の選択に後悔。わが家の場合は「先」よりもまず「現在」に目を向けたい

転校し所属するようになった知的障害特別支援学級では、受け入れてもらえているという感覚が息子にも感じられるようで、先生にたっぷり甘えさせてもらいながら通学しています。宿題を嫌がったり、できなかったことや勝敗などで騒いでしまうことは多々ありますが、ひどい癇癪はなくなりました。行き渋りも全くなくなり、楽しく通学しています。

先生方も不適切な言動はしっかり指導してくれますが、その行動は愛情たっぷりです。息子にはとても合っている環境だと思うので転校してよかったと思っています。
ひどい癇癪もなくなり、楽しく通学できるようになった息子。転校してよかったと思っています
ひどい癇癪もなくなり、楽しく通学できるようになった息子。転校してよかったと思っています
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ただ、今の私は後悔しかありません。最初から特別支援学級を選んでいれば、息子をたくさん傷つけることはありませんでした。通常学級に在籍することが息子にとってどのくらい負担になるか考えが及ばず、特別支援学級に行ったら選べる進路が少なくなるのではないかと先々への心配を優先した結果、息子につらい思いをさせてしまいました。もっとよく考えて入学先を考えてあげていれば、今抱えている問題ももう少し良い方向に進んでいたかもと思うことばかりです。

今は先のことよりも息子の「現在」のことを考えていきたいと思っています。
イラスト/志士ノまる
エピソード参考/わかめ

(監修:森先生より)
わかめさん、お子さんの支援につながるまでの体験談を聞かせてくださってありがとうございます。 発達の偏りでお悩みの方の中には、高IQのために障害に気づきにくかったり、困っていても支援につながりにくかったという方が少なくありません。

「IQが高いのだから配慮はいらない」と思われて必要な支援を受けられないと、問題が起きた際に周囲から頭ごなしに怒られてしまい、学校そのものに苦手意識を持ってしまう、ということにもなりかねません。 また、学校内での支援を受けられても、担任の先生との連携がうまくいかなかったり周囲の理解が得られないと、つらい思いをすることもありますよね……。理解のない環境で生きづらさを感じ続けて、二次障害につながってしまうケースもあります。 ただ、学校に入学して生活を送るまでは、担任の先生やクラスメイトの雰囲気などの環境によるところが大きく、実際のところどうなるかわからない部分は大きいのではないでしょうか。

わかめさんがお子さんの様子をしっかりと見て、学校や支援機関に相談を続けていたからこそ、今の支援につながることができたのです。素晴らしいことではないでしょうか。 保護者の方が、自分のつらい気持ちを受け入れてくれる、ベストな道を手探りでも探してくれるということはお子さんに伝わります。それはお子さんの自己肯定感につながるでしょう。 これからもお子さんの「現在」に目を向けて、その都度その都度最善の選択肢を探していけるように願っております。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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