「困り→背景要因→サポート」で、なぜ困りが起きているかにアプローチ
(野田さん)「『この困りにはコレ!』という一直線の考え方ではなく、『背景を知る』ということを間にはさむと、根本的な原因に即した適切なサポートを選びやすくなります。
では、実際にどのように考えていけばよいのでしょうか?以下のフレームワークで見ていきましょう」
では、実際にどのように考えていけばよいのでしょうか?以下のフレームワークで見ていきましょう」
まず、どのような場面で起きるか? ということを観察し、仮説を立てていきます。
(野田さん)「小学校1年生の男児で「学校で耳をふさいでパニックになることがある」というお子さまの例を取り上げてみましょう。どのような場面で困りごとが出るのか?困りごとの現れ方が異なる場面はないか?など、複数の場面を比較して背景を深掘りしていくと、より『なぜ?』が見つけやすくなるかもしれません」
野田さんからは、具体的な仮説の例として
・大きい音は大丈夫だけど、反響する音が苦手なのかな?
・いつもと違う状況が苦手なのかな? などが挙げられました。
ただ「音が苦手」と捉えるだけでなく、背景は何かという仮説を立て、さらに深掘りして考えていくことで、具体的な方法や取る手段が変わっていくのが印象的でした。野田さんの解説から、こうした小さな違いが、サポート方法が合うか合わないかということにつながっているのではないかという気づきが得られました。
(野田さん)「小学校1年生の男児で「学校で耳をふさいでパニックになることがある」というお子さまの例を取り上げてみましょう。どのような場面で困りごとが出るのか?困りごとの現れ方が異なる場面はないか?など、複数の場面を比較して背景を深掘りしていくと、より『なぜ?』が見つけやすくなるかもしれません」
野田さんからは、具体的な仮説の例として
・大きい音は大丈夫だけど、反響する音が苦手なのかな?
・いつもと違う状況が苦手なのかな? などが挙げられました。
ただ「音が苦手」と捉えるだけでなく、背景は何かという仮説を立て、さらに深掘りして考えていくことで、具体的な方法や取る手段が変わっていくのが印象的でした。野田さんの解説から、こうした小さな違いが、サポート方法が合うか合わないかということにつながっているのではないかという気づきが得られました。
背景にあったサポート方法を選ぶこと、試すことの重要性
とはいえ、実際に試してみないと分からないということもあるといいます。
(野田さん)「例えば、聴覚過敏のある方がノイズキャンセリングを使うことで、全体的に音量が下がることで逆に苦手な音が気になることもあります。こういったことは、実際に試してみないと分からない場合もあります」
野田さんの方法を試す際には、仮説を立てて、実際に試して検証していくという試行錯誤のサイクルを繰り返していくことが必要で重要だということです。
だからこそ、できるだけ確度の高そうな仮説を立て、合いそうな方法を選び、試していくことがうまくいく方法が見つかりやすくなるポイントになってくるのではないでしょうか?
(野田さん)「例えば、聴覚過敏のある方がノイズキャンセリングを使うことで、全体的に音量が下がることで逆に苦手な音が気になることもあります。こういったことは、実際に試してみないと分からない場合もあります」
野田さんの方法を試す際には、仮説を立てて、実際に試して検証していくという試行錯誤のサイクルを繰り返していくことが必要で重要だということです。
だからこそ、できるだけ確度の高そうな仮説を立て、合いそうな方法を選び、試していくことがうまくいく方法が見つかりやすくなるポイントになってくるのではないでしょうか?
困り・背景・サポートは「多 対 多」対応
背景に合った個別的なサポート方法を考えていく上で、もう一つのポイントとなるのが、「困り→背景→サポート」は一対一でつながっているというよりは、「多 対 多」の構造になっているということだと言います。
(野田さん)「一つの困りにもいろいろな背景があるし、背景はいくつかの困りに関係している、そしてそのサポートもいくつか考えられる。すごく複雑なんですよね。困りだけみて決め打ちしないのがとても大事なんだな、というのが分かっていただけるといいなと思います」
複数が関係している可能性があることを前提に、困りだけを見るのではなく、また背景やサポートも一つだけに絞らず、さまざまな角度からアセスメントをし、サポート方法も複数試すことが重要であるそうです。
また、以下もアセスメントのポイントとして挙げられました。
・複数の困りに共通して存在する背景もある
・複数の背景に共通のサポートが適切な場合もある
・一つの背景に複数のサポートが考えられる など
とはいえ、実際にはこのような複雑な要因や方法を家庭でアセスメントをしてサポートしていくのは、かなりハードルが高いのではないでしょうか?
(野田さん)「ご家庭で取り組むのが難しい場合は、アセスメントに役立つツールや専門家への相談なども活用していただくことをおすすめします。
例えば、私が開発に携わったLITALICO発達特性検査は、『困り→背景→サポート』という今日使った考え方に沿って作られています。お子さまの困りや背景要因の分析をし、お子さまにあったサポートを考えるのはすごく大変だと思うのですが、オンラインの検査を受けるだけで結構な情報量のレポートが出るサービスです。受検することで思考の整理ができるので、専門家に相談する際の材料としても使っていただけると思います」
(野田さん)「一つの困りにもいろいろな背景があるし、背景はいくつかの困りに関係している、そしてそのサポートもいくつか考えられる。すごく複雑なんですよね。困りだけみて決め打ちしないのがとても大事なんだな、というのが分かっていただけるといいなと思います」
複数が関係している可能性があることを前提に、困りだけを見るのではなく、また背景やサポートも一つだけに絞らず、さまざまな角度からアセスメントをし、サポート方法も複数試すことが重要であるそうです。
また、以下もアセスメントのポイントとして挙げられました。
・複数の困りに共通して存在する背景もある
・複数の背景に共通のサポートが適切な場合もある
・一つの背景に複数のサポートが考えられる など
とはいえ、実際にはこのような複雑な要因や方法を家庭でアセスメントをしてサポートしていくのは、かなりハードルが高いのではないでしょうか?
(野田さん)「ご家庭で取り組むのが難しい場合は、アセスメントに役立つツールや専門家への相談なども活用していただくことをおすすめします。
例えば、私が開発に携わったLITALICO発達特性検査は、『困り→背景→サポート』という今日使った考え方に沿って作られています。お子さまの困りや背景要因の分析をし、お子さまにあったサポートを考えるのはすごく大変だと思うのですが、オンラインの検査を受けるだけで結構な情報量のレポートが出るサービスです。受検することで思考の整理ができるので、専門家に相談する際の材料としても使っていただけると思います」
質疑応答と参加者の方の感想
オンラインセミナーでは、「逆上がりが苦手」、「靴紐が結べない」、「癇癪」、「きょうだいに対して手が出てしまう」など、保護者の方から具体的な困りごとについてさまざまな質問が寄せられました。野田さんからはそれぞれのケースについて、時間いっぱいまで解決方法の提案がありました。
イベント後、参加者の方からは分析や実際の対応方法についての感想が多く寄せられました。
イベント後、参加者の方からは分析や実際の対応方法についての感想が多く寄せられました。
参加者のアンケートより
「行動の前後をみて、どうして困り感があるのかを考えることが大切だと分かりました」
「1つの行動に対するアプローチは1つではなく、多くの選択肢を挙げられると、本人の思考や行動の幅も広がっていくのではないかと思いました。できることからやってみようと思います」
「癇癪やパニックの行動のみに着目するのではなく、その前後の関わりや言動をよく観察し、柔軟に支援していくことが大切だと感じました。パニックになったときに注意などはせずにクールダウンする場所をつくるなど、具体的な関わりについて学ぶ方ができてよかったです」
「1つの行動に対するアプローチは1つではなく、多くの選択肢を挙げられると、本人の思考や行動の幅も広がっていくのではないかと思いました。できることからやってみようと思います」
「癇癪やパニックの行動のみに着目するのではなく、その前後の関わりや言動をよく観察し、柔軟に支援していくことが大切だと感じました。パニックになったときに注意などはせずにクールダウンする場所をつくるなど、具体的な関わりについて学ぶ方ができてよかったです」
「なぜ」に注目して、困りごと解決への道を見つけよう
野田さんのレクチャーを聞いて、一見同じような困りごとも、背景が違えば対応方法も変わる場合があることが分かりました。だからこそ、今回の野田さんによるレクチャーのように、背景に着目し、よりお子さまの困りごととその根本に向き合えるサポート方法を探すことがポイントになって来るのではないでしょうか。
「困り→背景要因→サポート」は、LITALICO発達特性検査でも用いているフレームワークです。この方法は、「今、困っている」という保護者の方にとっては、一見遠回りに見えるかもしれませんが、困りごとを軽減していくために必要なステップだともいえます。課題ができたとき、「では、なぜ困っているのか?」と振り返る機会を持つことが、困りの解決に向かう糸口につながるかもしれません。
その際、背景やサポート方法を適切に判断・選択するには、より詳しい知識や観察の手法が必要になるかもしれません。一方で、参加者の中には、実践は難しいと感じる方もいらっしゃるようです。参加者アンケートでも「実践が難しい、保護者だけでは解決しきれない」と回答された方もいらっしゃいました。
そのような場合には、セミナーでも紹介があったように、ツールや周りの方の力を借りることも、保護者の方が実践される際にはポイントになってきます。
・支援者や周りの人に相談する
・発達ナビのコラムで同じような特性・ケースの事例を読む
・発達ナビPLUSなどのオンライン相談ツールを活用する
・LITALICO発達特性検査で背景要因とサポートの方向性を知る など
ぜひ、さまざまなツールや機会を活用し、困りごと解決に向けて、取り組んでいただければ幸いです。
「困り→背景要因→サポート」は、LITALICO発達特性検査でも用いているフレームワークです。この方法は、「今、困っている」という保護者の方にとっては、一見遠回りに見えるかもしれませんが、困りごとを軽減していくために必要なステップだともいえます。課題ができたとき、「では、なぜ困っているのか?」と振り返る機会を持つことが、困りの解決に向かう糸口につながるかもしれません。
その際、背景やサポート方法を適切に判断・選択するには、より詳しい知識や観察の手法が必要になるかもしれません。一方で、参加者の中には、実践は難しいと感じる方もいらっしゃるようです。参加者アンケートでも「実践が難しい、保護者だけでは解決しきれない」と回答された方もいらっしゃいました。
そのような場合には、セミナーでも紹介があったように、ツールや周りの方の力を借りることも、保護者の方が実践される際にはポイントになってきます。
・支援者や周りの人に相談する
・発達ナビのコラムで同じような特性・ケースの事例を読む
・発達ナビPLUSなどのオンライン相談ツールを活用する
・LITALICO発達特性検査で背景要因とサポートの方向性を知る など
ぜひ、さまざまなツールや機会を活用し、困りごと解決に向けて、取り組んでいただければ幸いです。
検査結果を「わが子の特性と支援をまとめた1冊の本」として【LITALICO発達特性検査 監修者・井上雅彦先生インタビュー】
相談機関との連携、相談での情報共有のポイントを紹介します【LITALICO発達特性検査】
LITALICO発達特性検査の結果レポート。どうサポートに使えばいい? こんなときどうしたらいい?皆さんの疑問にお答えします!
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
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