不登校の中学生、高校受験はどうする?進路の考え方、保護者ができること【公認心理師・井上雅彦先生にきく】

ライター:発達障害のキホン
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子どもが不登校のとき、進路について悩むご家庭も多いのではないでしょうか。学校に行きたがらない場合や、本人の志望校が保護者の思いと食い違うときの対応について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。
(取材/LITALICO発達ナビ編集部)

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監修: 井上雅彦
鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授
LITALICO研究所 スペシャルアドバイザー
ABA(応用行動分析学)をベースにエビデンスに基づく臨床心理学を目指し活動。対象は主に自閉スペクトラム症や発達障害のある人たちとその家族で、支援のためのさまざまなプログラムを開発している。

不登校の中学生、高校受験はどうする?

中学生のわが子が不登校だという場合、高校受験について「高校に入学したら毎日通えるのか」「勉強は間に合うのか」「学校に行きたがらない子どもが行きたい学校は見つかるのか」など、ご家庭によってさまざまなお悩みがあるのではないでしょうか。

発達ナビのQ&Aコーナーでも、以下のような声が寄せられています。
中学校を不登校だったが、途中から登校できるようになった人いますか?
高校はどのようなところ(全日制普通科・定時制・通信制等)に行けましたか?
出典:https://h-navi.jp/qa/questions/119864
今回はそのような中学校で不登校のときの高校受験について、鳥取大学大学院教授で発達障害を専門とする井上雅彦先生にお伺いしました。

学校に行きたくない中学生。通学や進学はどうすればいい?

Q:中学2年生の娘は、「学校に行く目的が分からない」と言って現在不登校です。不登校のときの通学や高校受験は、どのように考えていけばいいでしょうか。

A:本人の好きなことや関心があることから、本人にとっての「通う目的」を一緒に探していくことも大事です。

「学校に行く意味が分からない」「なんで勉強しなきゃいけないの?」とお話するお子さんには、“学校に行くことが、自分の人生にとってどんな価値があるのか分からない”という思いもあるかもしれませんね。そうすると、大人から「義務教育だから行くものだよ」などと言われても、なかなか納得できないこともあるでしょう。

登校渋りのある子どもたちの中には、自分にとっての目的が明確になると、学校に行くモチベーションに大きくつながることもあります。大人でも、大きな目的があるほうが、目の前の課題に立ち向かいやすい部分もありますよね。

例えば、以前フィギュアを集めることが大好きなお子さんがいました。そのお子さんは、お小遣いを使って次々にフィギュアを集めようとしますが、お小遣いには限りがありますよね。そこでフィギュアを集めるだけでなく、そのフィギュアを写真に撮ってみることにしました。

お子さんは大人と一緒に、フィギュアをカッコよく撮影するためのシーンを作って、照明を工夫したり背景を設定したりして、まるで映画のワンシーンのように撮影する楽しさを体験しました。そのうちに「写真部のある高校に行きたい」という気持ちが湧いてきて、高校の受験や通学につながったという例もあります。

「写真部に入りたい」という目的ができたことで、本人にとっての「学校に通う意味」が見えてきたのかもしれません。

このように本人の好きなことや関心があることから、本人にとっての「通う目的」を一緒に探していくことも大事になるかもしれません。
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回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
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中学で不登校。高校は全日制に行けるの?

Q:現在中学3年生の息子。この1年ほとんど登校できていません。本人は高校は全日制に行きたいと言っていますが、親としては受験も入学後の登校も難しいように感じています。本人の希望通りに受験していいのか悩んでいます。

A:不登校のお子さんの進路選びで大切なことが2つあります。それは「実際に学校を見てみる」ことと「複数の選択肢を用意しておく」ことです。

中学校でほとんど登校していなかったお子さんが、高校入学後に毎日通えるのだろうかというご心配もあるかと思います。

高校入学という大きな環境の変化を機に、毎日通えるようになったお子さんもおられます。しかし実際に入学してみないと分からない部分はあり、入学後も登校が難しい可能性は考慮しておいたほうがいいでしょう。

ご相談いただいたように、お子さん本人が行きたい高校と、保護者の思いが食い違うこともありますよね。

こういった場合、お子さんを説得して保護者が勧める高校を受験することもできるかもしれませんが、やはり本人の気持ちや納得が大切です。「本当は違う高校を受けたかった」「受験すれば受かったかもしれないのに」という気持ちがいつまでも残ってしまうかもしれません。

進路選びのポイントの一つは、オープンスクールや学校説明会に行ってみることです。オープンスクールは、授業の様子や生徒たちの活動、校舎や施設などを、お子さんが直接見ることができます。学校の雰囲気や特色、通学方法や通学時間などが、自分に合うものか、通い続けることができそうかをお子さま自身が改めて考えるきっかけにもなるでしょう。

もう一つのポイントとしては、複数の選択肢を想定しておくなど、うまくいかなかったときに軌道修正をする心づもりをしておくことです。誰であっても受験の第一志望が叶わないこともありますし、合格したけれど通い続けられないこともあるかもしれません。

そんなときに、より本人に合う環境に切り替えていくことは大切です。お子さんも保護者も1つの道だけに固執してしまうと苦しくなってしまうこともあるでしょう。うまくいかなかったときの別プランを想定しておくことも、保護者の心構えの1つと言えるかもしれません。
回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
回答:井上 雅彦先生(鳥取大学 大学院 医学系研究科 臨床心理学講座 教授)
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