通常学級に入った小1発達グレー息子。友だちの名前や学校のルーティンが覚えられない、授業中も上の空…焦った母は
ライター:keiko
しのくんは発達障害グレーゾーンの男の子。今年の4月から小学1年生になり、通常学級に通っています。
今回は、小学校に入学してからの困りごとについてのお話です。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
お友だちの名前が覚えられない!
しのくんは発達障害グレーゾーン、6歳の男の子です。現在小学1年生で、通常学級に籍を置いています。
しのくんは1歳から保育園に通っていましたが、言葉が出るのが遅かったこともあり、しのくんからお友だちの名前を聞くことはほとんどありませんでした。しかし年中ぐらいから少しずつお友だちの名前が出てくるようになり、卒園する頃にはほとんどのお友だちの名前を言えるようになっていました。
同じ保育園から小学校に上がる子が何人かいたので心強く思っていたのですが、入学からしばらく経っても、しのくんは新しくクラスメイトになった子の名前がなかなか覚えられませんでした。
学校ではみんな名札をつけているのですが、1学期の時点ではまだひらがなが読めなかったしのくんは、名札を見てもお友だちの名前が分からず……。相手に話しかける時には「ねえねえ」と声をかけたり、お友だちの肩をトントン叩いたりするしかありませんでした。
しのくんは1歳から保育園に通っていましたが、言葉が出るのが遅かったこともあり、しのくんからお友だちの名前を聞くことはほとんどありませんでした。しかし年中ぐらいから少しずつお友だちの名前が出てくるようになり、卒園する頃にはほとんどのお友だちの名前を言えるようになっていました。
同じ保育園から小学校に上がる子が何人かいたので心強く思っていたのですが、入学からしばらく経っても、しのくんは新しくクラスメイトになった子の名前がなかなか覚えられませんでした。
学校ではみんな名札をつけているのですが、1学期の時点ではまだひらがなが読めなかったしのくんは、名札を見てもお友だちの名前が分からず……。相手に話しかける時には「ねえねえ」と声をかけたり、お友だちの肩をトントン叩いたりするしかありませんでした。
2学期になり、しのくんはひらがなを読めるようになりました。ところが、2学期になったタイミングで、ひらがなだった名札の表記が漢字になり、またお友だちの名前が読めなくなってしまいました。「やっとひらがな覚えたのにな……」と私は残念な気持ちになりましたが、学校のルールなので仕方がありません。
また、この頃、家に帰ってくると学校での出来事を話してくれるようになりましたが、「それを誰としたの?」と質問しても「しのくん誰かわからへんねん」とよく言っていました。
学校での面談の際に、担任の先生にお友だちの名前をまだ覚えてられていないことを相談したところ……クラスでお友だちの名前を覚えられていないのはしのくんだけということが判明して、さらに落ち込みました。
「しのくんの名前をみんなは覚えてくれているのに……」と私の焦りは募るばかりです。
また、この頃、家に帰ってくると学校での出来事を話してくれるようになりましたが、「それを誰としたの?」と質問しても「しのくん誰かわからへんねん」とよく言っていました。
学校での面談の際に、担任の先生にお友だちの名前をまだ覚えてられていないことを相談したところ……クラスでお友だちの名前を覚えられていないのはしのくんだけということが判明して、さらに落ち込みました。
「しのくんの名前をみんなは覚えてくれているのに……」と私の焦りは募るばかりです。
学校生活のルーティンが覚えられない!
しのくんは入学してしばらく経っても、なかなか学校生活のルーティンが身につかず、次の授業の準備や移動の時などに、先生の声掛けが必要な状態でした。しかし、1学期が終わる頃には学校生活の一連の流れを理解したようで、みんなと一緒に行動できるようになってきていました。
ところが2学期になってみると、それまで積み重ねていた学校生活のルーティンが完全にリセットされていました。先生によるとしのくんは、学校についてすぐにやることや、移動教室での持ち物などすべて忘れているということでした……。
なんとかしなければ!と焦った私は、毎日夜に翌日学校についたらやることと、移動教室の時の持ち物をしのくんと確認するようにしました。
同時に、担任の先生も対策を講じてくれていました。私が学校での面談の際に教室に行ってみると、なんと先生がしのくんの机に「やることリスト」を貼ってくれていたのです!
家庭と学校での工夫が功を奏したのか、しばらくすると、しのくんはルーティンを取り戻すことができました。しかし、これからまた休み明けや進級の際にはサポートが必要そうだな……と感じています。
ところが2学期になってみると、それまで積み重ねていた学校生活のルーティンが完全にリセットされていました。先生によるとしのくんは、学校についてすぐにやることや、移動教室での持ち物などすべて忘れているということでした……。
なんとかしなければ!と焦った私は、毎日夜に翌日学校についたらやることと、移動教室の時の持ち物をしのくんと確認するようにしました。
同時に、担任の先生も対策を講じてくれていました。私が学校での面談の際に教室に行ってみると、なんと先生がしのくんの机に「やることリスト」を貼ってくれていたのです!
家庭と学校での工夫が功を奏したのか、しばらくすると、しのくんはルーティンを取り戻すことができました。しかし、これからまた休み明けや進級の際にはサポートが必要そうだな……と感じています。
周りが見えていない?マイペースすぎる日々
しのくんの学校は集団登校ですが、しのくんはとてもゆっくり歩くので、私が手をつないで引っ張らないとみんなのペースについていけないため、今でも付き添って登校しています。
学校でも上の空になりがちで、授業中に先生の話が分からなかった、給食が食べ終わらなかった……と不安になるような話をよく聞きます。音楽の授業など、自分の興味があることには集中できますが、苦手な国語の時間は特に話を聞いていない様子……。
先生の目が届きやすいように一番前の席にしてもらってますが、どうやら前だけしか見えないことで、余計に周りの動きに気づきにくくなっているのか、一人の世界に入っていきがちのようです。
学校でも上の空になりがちで、授業中に先生の話が分からなかった、給食が食べ終わらなかった……と不安になるような話をよく聞きます。音楽の授業など、自分の興味があることには集中できますが、苦手な国語の時間は特に話を聞いていない様子……。
先生の目が届きやすいように一番前の席にしてもらってますが、どうやら前だけしか見えないことで、余計に周りの動きに気づきにくくなっているのか、一人の世界に入っていきがちのようです。
ただし、宿題については「疲れた―難しいー」といってなかなか取り組めないことが多いものの、「先生に怒られたくない」という気持ちはあって、その日のうちにできなかった宿題は翌朝早起きしてやるなど、頑張っています!
大きな問題ではないけれど、小さな困りごとがいろいろとあるしのくん。低学年の今は何とかついていけていますが、これから周囲との差が出てくるのでは……と不安に思うこともあります。
幸いなことに担任の先生に理解があり、月に一回は面談の機会をいただき、こまめに情報共有ができているので、家庭と学校で連携しながらこれからもサポートしていきたいと思います。
大きな問題ではないけれど、小さな困りごとがいろいろとあるしのくん。低学年の今は何とかついていけていますが、これから周囲との差が出てくるのでは……と不安に思うこともあります。
幸いなことに担任の先生に理解があり、月に一回は面談の機会をいただき、こまめに情報共有ができているので、家庭と学校で連携しながらこれからもサポートしていきたいと思います。
執筆/keiko
(監修:室伏先生より)
しのくんの小学校入学後の困りごとについて共有くださり、ありがとうございました。
名前を覚えられない理由には、文字の読みが難しいことのほかにも、お顔の特徴を捉えにくい、興味関心がお友だちよりも自分の好きなことに向いてしまう、などさまざまあり、お子さんによって異なります。お名前が分からなくてもご本人が困っていない様子で、周りのお子さんとコミュニケーションが取れているのであれば、見守ってあげるのもよいことだと思います。お名前を呼べなくても、声をかける、肩を叩く、など試行錯誤してコミュニケーションを取れることはとても大切なことです。ご本人がお友だちのお名前を覚えたいという希望や、名前が分からないことでの困りごとがあるようであれば、担任の先生にお願いをして、集合写真などを利用して保護者の方がお友だちのお顔とお名前を把握し、ご自宅で少しずつ覚えていくのもよいでしょう。
困りごとはありつつも、お友だちとのコミュニケーション、学校生活のルーティン、宿題に、と一生懸命頑張られているしのくんのお姿、本当に素晴らしいです。これからもしのくんの学校生活が楽しいものでありますように、私も応援しております。
しのくんの小学校入学後の困りごとについて共有くださり、ありがとうございました。
名前を覚えられない理由には、文字の読みが難しいことのほかにも、お顔の特徴を捉えにくい、興味関心がお友だちよりも自分の好きなことに向いてしまう、などさまざまあり、お子さんによって異なります。お名前が分からなくてもご本人が困っていない様子で、周りのお子さんとコミュニケーションが取れているのであれば、見守ってあげるのもよいことだと思います。お名前を呼べなくても、声をかける、肩を叩く、など試行錯誤してコミュニケーションを取れることはとても大切なことです。ご本人がお友だちのお名前を覚えたいという希望や、名前が分からないことでの困りごとがあるようであれば、担任の先生にお願いをして、集合写真などを利用して保護者の方がお友だちのお顔とお名前を把握し、ご自宅で少しずつ覚えていくのもよいでしょう。
困りごとはありつつも、お友だちとのコミュニケーション、学校生活のルーティン、宿題に、と一生懸命頑張られているしのくんのお姿、本当に素晴らしいです。これからもしのくんの学校生活が楽しいものでありますように、私も応援しております。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。