不登校から中学受験。偏差値の壁で高校受験は諦めモード?卒業後の進路は!?

ライター:あき
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わが家の息子・コチ丸は小3の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されています。
学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の私立中学に入学したコチ丸。合格したことにはひと安心でしたが、すぐにその先の進路選択がやってきました。
今回は中学卒業後の進路選択についての紆余曲折や、親子がそれぞれに行ってきたことを書いていければと思っています。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。

入学早々、進路を見据えて生活していかなくてはいけない学びの多様化学校

小3の時にASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)と診断されたわが家の息子・コチ丸は、小3から小学校卒業までほぼ不登校の状態で過ごした後、中学受験を経て学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の私立中学に入学しました。学校では入学当初から、「本校に入学した生徒は、一人ひとり通う理由もさまざまです。卒業後の進路をどうするか、早い段階から考えて行動して下さい」と言われていました。

コチ丸の通う私立中学は同じ県内に系列の私立高校があったため、そちらに進学する子が多い印象でした。コチ丸も中1の時は、そこへの進学も視野に入れており、先生方からも「コチ丸は比較的安定して学校に通えているので、そのまま進学してみんなをまとめてくれたら助かる」という、うれしい話をいただいたこともありました。

一概には言えないかと思いますが、コチ丸の通っていた中学は、「学校に毎日通えるようになること」が大きな目標であったため、基本的には宿題もなく、授業の進め方も私が公立中学に通っていた時とは全く違いました。私個人の感覚からすると、授業といっても勉強より遊びに近いのでは……?という印象でした。

いじめなどの理由で学校に通えなくなってしまったけれど、将来的には大学まで進学したいと希望している子どもの保護者の中には、高校受験を見据えて学校以外に塾に通うなどして、学習面のサポートしている方もいました。わが家はというと……中1の終わりになんとなくコチ丸が受けた全国学力テストの散々な結果を見て、一般入試での高校進学はほぼ諦めていました(笑)。
中1で受けた全国模試の散々な結果から、一般入試での高校受験はほぼ諦めていた
中1で受けた全国模試の散々な結果から、一般入試での高校受験はほぼ諦めていた
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今の高校の仕組みは?まずは親が興味を持って進路について勉強することが大切!

中1の終わりに差し掛かった頃、友だちが増えてきたコチ丸は、自分の貯めていたお年玉やお小遣いを使ってパソコンを自腹で買い、友だちとオンラインゲームをするようになりました。

中学に入って、食事と寝る時間だけはちゃんと守るという約束で、ゲームの時間制限はしなくなったので、コチ丸は帰宅後から就寝まではほぼゲームをして過ごしていました(笑)。

そして当時の私はというと、もし高校に入学するのが難しいなら違う進路も探さなくては……という思いで、時間があればインターネット検索をして、中学校から先の進路について模索していました。併せてシングルでコチ丸を育ててきていた私にとっては、それにかかる学費も大問題でした。小学校の頃は公立中学に進むことが当たり前と考えていたわが家が、中学受験をして私立中学に通っているだけでも予定外の出費だったので、ここから先はできたら「高等学校等就学支援金制度」の対象となる学校に進学して、恩恵にあやかりたいという思いも強かったです。
勉強せずゲームばかり……息子の進路が心配な母
勉強せずゲームばかり……息子の進路が心配な母
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最初は県内の私立高校に進学する道を模索していましたが、やはり受験からは逃れられず、どうしても付きまとってくるのは偏差値の問題……。そして学びは好きだけど勉強は好きではないコチ丸。興味のない勉強ばかりが続く高校に通っても続かないことだけは想像がつきました(笑)。

コチ丸自身が自発的に学びたいと思ったことを学ばなければ意味がないということと、卒業後に専門的な仕事につけるような学びができたとしたら、普通科高校以外の選択肢もありだなと思っていました。

そんな中で気になったのが、通信制高校とゲーム制作を学べる専門学校を同時に受講できる私立のA学校でした。当然学費も2倍かかりますが、高校卒業と専門学校卒業の資格が同時に取れるなら、高校以降の学費をまとめて払うと思えば、なんとかなるのでは……と思いました。私自身も高校卒業後は専門学校に進んでおり、自分の好きなことだったら勉強も頑張れるのではないかという思いもあり、ゲームが好きなコチ丸に「こんな学校があるよ」と話をしました。

同じ頃、探究心旺盛なコチ丸は、ゲームで遊ぶうちに自分でもゲームをつくってみたいという思いが芽生え始め、3Dキャラクターをパソコンでつくる勉強を始めていました。初心者向けのプログラミング教室は自宅から片道1時間以上かかる場所でしたが、コチ丸が好きなことならと通い始めることにしました。そんなタイミングだったので、ゲーム制作という仕事が想像しやすかったのか、コチ丸もA学校に興味を持ってくれました。

ADHD(注意欠如多動症)のコチ丸に負けず劣らず、せっかちな性分の私。中学受験の経験も相まって、ともかく体験入学に行ってみよう!となり、中2の早い段階から学校の説明会や体験入学には親子で何度も参加しました。

実際に学校へ行き、最新設備の整った場所で体験授業を受ければ子どもは大興奮、親のほうもついその気になるのですが、反面、そんな設備が使えたり有名人を呼んで特別講座を開いたりできるくらいの学費を払うってことだよなーと現実も見え隠れ……(笑)。

体験に来ているほかの親子の様子を見ると、ゲームが好きだから一刻も早く技術を身に付けたい!という子ももちろんいましたが、逆に現時点で中学校に通えていないから仕方なく……という親子も何組か来ていました。

体験入学を何度か重ねる中で、楽しいゲーム制作の傍ら、おまけのように説明される通信制高校のカリキュラムは意外に大変そう……自己管理が苦手なコチ丸が続けていけるのか心配でした。
気になる学校の体験入学や説明会に何度も参加。魅力的だけれど気になる点も……
気になる学校の体験入学や説明会に何度も参加。魅力的だけれど気になる点も……
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突然の進路変更!しかも全くノーマークだった進路選択に戸惑う母……(大汗)

そうはいっても時間は流れ、進路を決断する時は迫ってきます。通信制高校については親の私が一生懸命サポートするしかないな……という気持ちと同時に、もし通いきれなかったらまた考えるしかない!という気持ちの両方を持って、中2の中頃からはA学校に進むことを信じて疑いませんでした。

そんな中、わが家を揺るがす大事件が起きたのは中3の始め頃。
「俺、北海道の高校に行きたいんだよね」
と突然コチ丸に言われたのは今でもハッキリと覚えています。

「北海道」!「高校」!

まさに青天の霹靂です。何を今さら?(大汗)という思いも正直ありましたが、コチ丸の思いを聞き、意思がしっかりしているのを確認した上で担任の先生にも相談をしました。ここでもわが家のせっかちな性格が功を奏し(?)、それから2週間後には北海道行きの飛行機に乗っていました(笑)。

なぜ突然北海道の高校だったのか……。コチ丸がその高校に興味を持ったきっかけ、そしてその後の受験までの道のりについては、また改めて書かせていただきます。
予想もしなかった息子の進路希望に衝撃を受ける
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執筆/あき
(監修:藤井先生より)
私立のA学校に行くのかなと読み進めていたのですが、最後の最後に北海道とは驚きました。あきさんが、コチ丸さんの思いに寄り添いながら学校選択をされていたことで、コチ丸さんも心強かったのではと思いました。今はWebサイトで全国の学校の情報を集めることができるようになりましたが、実際に体験授業を受けたり、見学したりするのはとても大切ですね。北海道の高校についての続きも気になります。楽しみにしております。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030385
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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