算数対策にやったスモールステップ。1週間で効果が出始めて……!

息子は算数も苦手でした。1年生の夏休み明けぐらいにWISC検査をしたところ、短期記憶が低めであることが分かったため、まずは記憶のトレーニングができればと、家で神経衰弱をするようにしました。最初は3ペア(6枚)でスタート。最初は全然覚えられませんでしたが、1週間後にはすぐに終わるようになり、徐々に枚数を増やしていきました。「4枚増えただけでちょっと難しくなるねー」といいながらやりました。
カードが増えていくほど正解率は下がりますが、8ペアくらいでやるようになった頃あたりから、くり上がりの計算がスムーズになったり、生活面でも、次の日の準備だったり、自分の生活リズムを声掛け無しでできるようになっていったなと記憶してます。最終的にはトランプ全部を使って遊ぶまでになりました。この練習のおかげで、繰り上がりの計算がスムーズになり、生活面でも次の日の準備やスケジュール管理が少しずつできるようになりました。

先生からの謝罪と、息子用の宿題プリントの誕生

宿題の取り組みも工夫しました。書くこと自体にエネルギーを使ってしまうため、計算問題は私が代わりに書いて、息子は計算に集中できるようにしました。また、2年生になると宿題が増え、毎日20問こなすのは難しくなったため1日3問や5問に分け、遅れた分は週末に取り戻す方法を取りました。

ですが宿題をやるのに毎日2時間以上かかるのです。本人が頑張りたい気持ちと集中できない葛藤から日付が変わる0時すぎてから寝ることもあり、このままではパンクしてしまうと2年生の1学期の終わりの面談で先生に相談をすることにしました。
宿題をやるのに毎日2時間以上……。このままではパンクしてしまうと先生に相談をすると
宿題をやるのに毎日2時間以上……。このままではパンクしてしまうと先生に相談をすると
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先生曰く「20分程度で終わる見込みで宿題を出している」と教えてくれました。私は20分なら息子は国語、算数合わせて7問くらいしか解けませんと伝え「もし、時間があれば発達支援の先生と会っていただけないでしょうか」とお願いしてみたのですが、先生は前向きな感じではありませんでした。残念な気持ちになりながらも(先生も忙しいから……)となんとか自分を納得させ夏休みを過ごしましたが、2学期、先生から謝罪の言葉とともに、毎日7問〜10問程度の息子用の宿題のプリントを用意いただけることになりました。このおかげで息子も少しずつ達成感を得ながら取り組めるようになり、先生には感謝しかありません。

ちなみに、テストはまったく気にしませんでした。テストでの結果よりも、日々のスモールステップを優先させ続けました。

「もうやりたくない。逃げてもいい?」「面倒くさいからやる……」息子の頑張りと、中学生になった今

息子から「もうやりたくない。逃げてもいい?」と聞かれた事もあります。そんなときは「いいよ」と答え、「逃げ道にもこんな道があるよ」と前向きな提案をするよう心掛けました。例えば、言葉の意味が分かれば、特段生活するうえで問題ないし、漢字が書けなくてもタブレットですぐ見つけられる、むしろ、漢字が書ける書けないなんて将来を見たらなんの問題もない!という調子です。ですが、「今、漢字を辞めるということに納得できているなら、お母さんは先生と話するよ」というと、「面倒くさいからやる……」と息子が頑張っていました。

中学2年生になった今は、塾にも通っています。スモールステップを積み重ねた結果、学習の遅れを取り戻すことができました。ADHD(注意欠如多動症)の特性は先生にも伝え、特に切り替えが苦手でスケジュール管理が難しいことを共有し、提出物の一覧を作ってもらったり、通級指導教室で一緒にスケジュールの確認をしてもらうといったサポートを受けています。

自分が子どもだった時の事も思い出しながら、『息子の中の好きなものを壊さない様に』を大切にしてきましたが、失敗もたくさんしたなぁ……と反省もあります。感情的に怒ってばかりの時、「お母さんは、僕がこれをできるようになったらニコニコになる?」と聞かれてハッとしました。その後発達支援施設でペアトレを受けて学び、そのおかげで感情的に怒ることはほとんどなくなりました。

これからも、息子の好奇心を潰さないように関わることを大切にしながら、成長を見守っていきたいと思います。
エピソード提供/かたっぽ
イラスト/keiko

(監修:森先生より)
お子さんの学習の壁を乗り越えた体験談をありがとうございます!
「できること」「できないこと」を見極め、日々試行錯誤しながら向き合ってスモールステップで対策を積み重ねてきたのですね。お子さんが自信をつけながら学習の遅れを取り戻し前向きに頑張っていることは、きっと多くの方にとって励みになるはずです。

発達障害の傾向があるお子さんには、「記憶をすることに困難がある」「じっとしていられない」「好きなものには集中できるが、それ以外では注意が散漫」といった傾向がみられることがあります。ワーキングメモリ(短期記憶)が弱かったり、視覚処理に課題があると、漢字の細部を捉えるのが苦手だったり、文字と意味を切り離して理解することが難しいことがあります。
視覚情報と意味づけが混ざりやすいこともありますので、お母さんが「あいうえお表」のイラストで混乱に気づき、音を分解する練習を取り入れたのは、的確なアプローチです。アプリなどを活用し、音声付きで漢字を学ぶと、視覚と聴覚の両方で記憶が定着しやすくなりますよ。

さて、お子さんが「もうやりたくない」と感じるのは脳の疲労が関係しています。お母さんが「逃げてもいい」と受け止めつつ前向きな提案をしたのは、感情を安定させ、やる気を引き出す素晴らしい対応ですね。疲れたときは「5分休憩」を挟むルールを設け、その間に好きな音楽を聴く、軽く体を動かすなど、「リセット時間」を意識的に取ると集中力が回復します。

発達障害の傾向のあるお子さんには、環境調整が大変重要です。学校の先生や支援者に「視覚的なスケジュール表」を作ってもらうようお願いすると良いでしょう。色分けやアイコンを使うと、見やすさがアップします。また、スマートフォンのリマインダー機能を活用し、提出物の締め切りや塾の予定を音声通知で確認する習慣をつけると、切り替えが苦手でも対応しやすくなります。

「好奇心を潰さない」ことを大切にされている姿勢は、お子さんにとって最高の支えです。興味や好きなものを活かすことは脳のドーパミン(やる気ホルモン)を増やし、学習や生活のモチベーションにつながります。これからもお子さんのペースに寄り添いながら、成功を一緒に喜ぶ時間を積み重ねられるよう、応援しています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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