友だちがいないことは不憫?24歳自閉症息子の本音にハッとさせられて
ライター:立石美津子
現在24歳になる息子は、知的障害(知的発達症)とASD(自閉スペクトラム症)をあわせ持っています。特別支援学校高等部を卒業後は、就労移行支援の施設で3年間、就労に向けた訓練を受けました。今は、企業に契約社員として勤めており、働き始めて3年が経過しました。

監修: 鈴木直光
筑波こどものこころクリニック院長
1959年東京都生まれ。1985年秋田大学医学部卒。在学中YMCAキャンプリーダーで初めて自閉症児に出会う。同年東京医科歯科大学小児科入局。
1987〜88年、瀬川小児神経学クリニックで自閉症と神経学を学び、栃木県県南健康福祉センターの発達相談で数々の発達障がい児と出会う。2011年、茨城県つくば市に筑波こどものこころクリニック開院。
友だちをつくって遊んでほしい
現在24歳になる息子は、知的障害(知的発達症)と自閉スペクトラム症(ASD)をあわせ持っています。特別支援学校高等部を卒業後は、就労移行支援の施設で3年間、就労に向けた訓練を受けました。今は、企業に契約社員として勤めており、働き始めて3年が経過しました。
私は息子が幼い頃「友だちをつくって遊んでほしい」と思って、児童館に連れまわしたことがあります。でも「馬を水辺に連れて行っても水を飲ますことはできない」ということわざがある通り、連れて行っても、息子は友だちと戯れることはしませんでした。私はその光景を見てさらに悲しくなりました。
今回はそんな息子が大人になってからの友だち事情についてお話しします。
私は息子が幼い頃「友だちをつくって遊んでほしい」と思って、児童館に連れまわしたことがあります。でも「馬を水辺に連れて行っても水を飲ますことはできない」ということわざがある通り、連れて行っても、息子は友だちと戯れることはしませんでした。私はその光景を見てさらに悲しくなりました。
今回はそんな息子が大人になってからの友だち事情についてお話しします。
偶然見かけた息子の同級生たち
先日の土曜日のことです。
私が駅の改札にいると、4年前に卒業した特別支援学校高等部時代の息子の同級生たちを見かけました。3名とも24歳、ASD(自閉スペクトラム症)です。
その子たちの障害や性格のことは放課後等デイサービスを通して知っていたので、私は「3人で自らお互い約束して出かけるわけはないだろうな。きっと移動支援で集団で外出するんだろうな」と思いました。そしてその3名の周りを見ると、移動支援のガイドヘルパーがそれぞれの子についていました。私がガイドヘルパーとして属している事業所とは別の事業所のヘルパーの方たちのようでした。私の予想が当たったようです。
ふとその時(息子にこのことを伝えたら、息子はどんな反応をするだろう?)と思いました。幼い頃から息子は友だちと深い関係を築くことはありませんでしたが、中学、高等部で一緒だったA君とは自由で心地よい距離感を保ち、互いに気を使わずに過ごすこともありました。
私が駅の改札にいると、4年前に卒業した特別支援学校高等部時代の息子の同級生たちを見かけました。3名とも24歳、ASD(自閉スペクトラム症)です。
その子たちの障害や性格のことは放課後等デイサービスを通して知っていたので、私は「3人で自らお互い約束して出かけるわけはないだろうな。きっと移動支援で集団で外出するんだろうな」と思いました。そしてその3名の周りを見ると、移動支援のガイドヘルパーがそれぞれの子についていました。私がガイドヘルパーとして属している事業所とは別の事業所のヘルパーの方たちのようでした。私の予想が当たったようです。
ふとその時(息子にこのことを伝えたら、息子はどんな反応をするだろう?)と思いました。幼い頃から息子は友だちと深い関係を築くことはありませんでしたが、中学、高等部で一緒だったA君とは自由で心地よい距離感を保ち、互いに気を使わずに過ごすこともありました。

自閉症息子の「友達」づきあいは、母の思う「友達の定義」とは違うけれどーー息子と友達の心地よい距離感
同級生だったら、もしかしたら「友だちが気になる」という反応をするかも?と思ったのです。
「同級生が友だち同士で出かけていた」と息子に伝えてみると……
その後帰宅した私は、息子に高等部時代の同級生たちが移動支援で集団で出かけていたことは伝えずに、「○○君と△△君と□□君が一緒に出かけていたよ」と伝えてみました。もしかしたらうらやましがるかなと思ったのです。けれども、ちっともそんな様子はありません。
私は続けて「あなたも友だちと一緒に出かけたいって思わないの?」と聞いてみたのですが、息子は「一人で出かけたい」と答えました。
ASD(自閉スペクトラム症)の息子の子育てを24年間やってきた私ですが、それでも親しい友だちが一人もいない息子のことを「不憫だ」と思ってしまうことがあります。
が、しかし!
本人はそうではありませんでした。
そしてふと、「羨ましいと感じない息子自身」を、羨ましく思った自分にも気づいたのです。
私は続けて「あなたも友だちと一緒に出かけたいって思わないの?」と聞いてみたのですが、息子は「一人で出かけたい」と答えました。
ASD(自閉スペクトラム症)の息子の子育てを24年間やってきた私ですが、それでも親しい友だちが一人もいない息子のことを「不憫だ」と思ってしまうことがあります。
が、しかし!
本人はそうではありませんでした。
そしてふと、「羨ましいと感じない息子自身」を、羨ましく思った自分にも気づいたのです。