「私も友だちがいないよ」とふと思う

私自身もよく考えてみると、そのときそのとき所属しているコミュティで親しい友だちはいますが、そこを離れると自然と連絡が少なくなっていき、離れてしまうことが多いです。

学生時代の友だちも、卒業したら疎遠になりました。子育て中、保育園で一緒だったママ友とも疎遠になりました。それはきっと、特別なことではないのだと思います。

ただ、それぞれのコミュニティの中で困った時に相談できる友だち、助けてもらえそうな友だちをつくっておくことは大切だと思います。息子にも、そんなふうに「必要なときに頼れる誰か」がいればいい、と思います。

「友だちがいない」は、悲しいことなのか?

成人した息子は休日に一緒に出かけるような「親友」と呼べる友だちは一人もいません。一人行動が基本です。

幼い頃も一人遊びばかりしていて友だちと関わることはしませんでした。関わることがあっても、それは相手の持っているおもちゃが欲しいときだけでした。

私は定型発達の子どもの親目線で「友だちをつくって一緒に遊ぶことはよいことだ、楽しいことだ」という価値観を押しつけ、石ころや数字と戯れていたい息子を無理やり子どもたちの輪に入れようとしていた時期もありました。

息子が小さくても成人しても、親の価値観をごり押ししてはいけない。
それが今回の小さな出来事からあらためて学んだことでした。
執筆/立石美津子

(監修:鈴木先生より)
私が講演する時に必ず出すスライドがあります。それは、月下美人のスライドです。拙書「新訂版 発達障がいに困っている人びと」にも書いてありますが、夜に咲く月下美人にも相性の合う生物が地球上にいるのです。それはコウモリです。コウモリがつかまりやすいように月下美人は下に向かって花が咲きます。この月下美人とコウモリとの関係のように、世の中には必ず相性の合う生き物がいるはずです。神経発達症のお子さんも日本のどこかに相性が合う子や大人がいるはずだと考えています。お子さんによっては、安心できたり気が合う相手が人ではなく、動物や植物のこともあるかもしれません。 
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https://h-navi.jp/column/article/35030500

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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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