高校生活での人間関係とこれから……

初対面時の自己紹介も工夫するように
初対面時の自己紹介も工夫するように
Upload By もっつん
幼少期から人との距離感が近すぎてハラハラする場面がたくさんあったタクですが、高校生になった現在では一気に踏み込んでしまうことはだいぶ減り、相手の様子を見ながらかかわろうとする姿が増えてきたと感じています。失敗もたくさんしてきましたが、中学・高校生活の中で「親友」と呼べる子もできて、つながりの質も変わってきたように思います。

その変化の背景には、家庭での地道なコミュニケーションの積み重ねもありました。高校入学前には、父親からも「いきなり距離を詰めると壁を作られることもあるんだよ」と何度も話してもらい、人間関係の動画などもたくさん一緒に見て、イメージを共有するようにしました。さらにタク自身も工夫をしていて、入学してすぐの自己紹介の時、「僕ってちょっとお調子者なところがあるんだけど、先に謝っとくね!ごめんね(笑)」と自分から軽く伝えたそうです。そうしたユーモアが、まわりの子に「面白い」と受け止められて、自然と受け入れてもらえたようです。

もちろん、これからも人間関係でつまずくことはあると思います。でも、タクの特性によって誰かに感謝されたことや助けになったことがたくさんあったことを私はずっと覚えていたいし、タクにも伝えたいと思っています。人との関係は、いつも簡単ではないけれど。それでも、タクはタクらしく、ゆっくりでも自分のペースで前に進んでいる。そんな姿に、私もたくさんの勇気をもらっています。
執筆/もっつん
(監修:新美先生より)
タクさんのお友だちとのかかわり方について、幼少期から高校生時期までの変化・成長を聞かせてくださりありがとうございます。
人との距離の取り方に困難さがある場合、小さい頃は「人懐っこい」と慕ってもらえる機会が多くても、年長するに従い、周囲が困惑したり、浮いてしまうことがありますね。
もっつんさんは、自ら会話の練習相手になったり、絵本を使って学んだりと、ご家庭でSST(ソーシャルスキルトレーニング)的な取り組みをされて、丁寧にコミュニケーションを積み上げてこられたというのは素晴らしいです。また、友だち付き合いでつまずいた場合に備えて、視野を広げる、世界を広げるような機会を意識的に増やすというのも、とても素敵なサポートですね。タクさんは、高校生になった今は対人スキルもずいぶん成長し、親友もできているとのこと、うれしいですね。
もちろん人にもよりますが、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)があって対人関係に困難がある場合、小中学生ぐらいがもっとも、同年齢の方とのギャップが大きくハラハラする時期で、高校生年代ぐらいになるとだいぶ成長してきて、折り合いをつけたり、距離を測ったりといったことが意識できるようになる方も多いように思います。小中学生の時期に、対人面で大きく傷つくことがなく、コミュニケーション面でのサポートが乏しすぎてご本人が十分に守られないということがなければ、ご本人なりに、対人・コミュニケーションスキルを身につけていけることが多いかと思います。対人関係の不器用さは焦り過ぎずに温かく見守り、お子さんの対人レベルに見合った分かりやすく具体的な対処法を段階的に練習したり、うまく行かない面をサポートしたりしていくことが大切かと思います。
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https://h-navi.jp/column/article/35030568
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
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