「洗濯は全部ここでやる」

冷静に計算してみると、家庭で洗濯しても「タダ」ではありません。洗濯機本体、電気代、水道代、洗剤代。また引っ越すとなると運ぶことや捨てることも考えなければいけません。それに、洗濯槽の掃除や、洗剤のストックを切らさないようにすることも、私にはそれなりの負担でした。
その点、コインランドリーは常に最新型に入れ替えられ、思い立った時にふんわり乾いた服を一気に仕上げてくれます。洗剤を自分で買う必要も、洗濯槽を洗う必要もないのです。それを思えば、意外とコスパは悪くないのかもしれない、と思いました。それで、思いきって「洗濯は全部ここでやる」と決めました。

コインランドリーなら、わが家の子どもでも洗濯できる

それから3年経ち、また息子の進学に併せて引っ越しをすることになったのですが、その時も「コインランドリーの近く」を条件に家を探しました。
コインランドリーなら放り込んで回収するだけなので、子どもたちも洗濯に行ってくれるようになり、私一人にかかっていたプレッシャーが減りました。
子どもたちも自分で行くようになったので、コインランドリーの店内に貼ってある「染み抜きのコツ」とか「靴下は予洗いしておくときれいになる」などのペーパーを読んで、ちょっとずつ洗濯のテクニックを覚えてやってくれるようになり、嬉しい副産物となりました。
洗濯を私が一手に担当していた時は、漫画のネタを考えていても「洗濯もの溜まってないかな」「今日は子どもがどれだけ洗濯物をつくるだろうか」と考えては気を散らせていました。天気のいい昼間に干す時間を合わせねばという制限もありますし、実際の作業にかかる時間を捻出するコストもばかになりません。私にとって、洗濯のことを頭から追い出すことができたのは本当に大きかったのです。
お父さんも巻き込み、ついに洗濯から完全離脱!
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Upload By 寺島ヒロ
ここでお伝えしたいのは、コインランドリーはコスパが良いとか、全自動洗濯機を買えばいいとかいうことではありません。「洗濯機が家にあるのが当たり前」「家にいるお母さんが洗濯をやる」といった「常識」にとらわれなくてもいいんじゃないかということです。
誰かの当たり前が、自分たちの当たり前とは限らない。そんな柔らかい発想で、生活の工夫を重ねていけたらいいなと思っています。

執筆/寺島ヒロ
(監修:新美先生より)
お洗濯事情の話題から、常識にとらわれない生活の工夫のための発想の転換についてご提案くださりありがとうございます。
発達障害があると、感覚の偏りなどから服関連のこだわりがさまざま出てくることも多くて、それによりお洗濯も振り回されることがありますよね。こだわりを尊重するために子どもが小さいうちは保護者が頑張ることになりますが、年齢が上がってきたら自分のこだわりを実現するために自分でも頑張ってもらうというのは自立に向けても大事な視点です。
家庭の日常のお洗濯をコインランドリーで賄うというのは、考えたこともない発想でした。こういう、発想の転換をすることで、一人ひとりの特性を尊重しながら、誰かが大変になり過ぎず、家族みんながスムーズに生活できる工夫って素敵だと思います。常識とかコスパとかの一般的な物差しじゃなく、暮らしているその人が、楽だ、安心だ、スムーズだと実感できることを大事にしていきたいですね。目からウロコのエピソードを聞かせていただき感謝です。
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https://h-navi.jp/column/article/35030604
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。

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