障害のある人の働き方って?【2.就労を目指した訓練】

次に、一般企業へ就職するための訓練や就職活動のサポートを行っているサービスを紹介します。

就労移行支援

就労移行支援とは障害のある人を対象に、一般企業へ就職するための訓練や就職活動自体へのサポートを提供しているサービスです。

働くために必要な体調管理や自己理解、ビジネスマナー、業務のスキルなどを身につける訓練や応募書類の添削、模擬面接、面接への同行などの就職活動のサポートのほか、働いた後の定着支援も行っています。標準利用期間は2年間ですが、状況によっては最大1年間の利用期間延長もあります。

就労継続支援と違って事業所内で働くわけではなく、給与や工賃はありません。また、前年度の世帯収入によっては利用料金がかかる場合もあります。障害者手帳がなくても利用できることもありますが、自治体の判断にもよるため、気になることがある方は自治体の障害福祉窓口で確認してみるといいでしょう。
参考:障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/1-4-2.pdf
福祉的就労と就労移行支援
福祉的就労と就労移行支援
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職場適応訓練

職場適応訓練とはハローワークの紹介により実際の職場で訓練を行うことで作業環境への適応を促進し、スムーズな就職に結びつけることを目的とした障害者雇用促進法における制度のことです。

利用者には雇用保険の基本手当などが支給され、企業には訓練費の支給があるなど、双方にメリットがある制度となっています。訓練期間は原則6か月以内ですが、重度障害のある人や中小企業で訓練を受ける場合などは1年以内となっています。
参考:職場での訓練を受け入れる時は 職場適応訓練費|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/d02-1.html

自立訓練(機能訓練・生活訓練)

自立訓練とは地域で自立した生活を営むための訓練やリハビリテーションなどを提供するサービスです。

自立訓練の中にはさらに機能訓練と生活訓練の2種類があり、機能訓練ではリハビリテーションなど身体機能の維持回復を目的としたサービスが多く、生活訓練では金銭管理やコミュニケーションなどの生活し得ていくために必要となる知識やスキルの取得のサポートが多くなっています。

主な目的は生活に必要なスキル取得などですが、就職のための自己分析や就職活動のサポートなどを行っている事業所もあるほか、自立訓練卒業後の進路として就労移行支援や就労継続支援を選択する人もいます。
参考:自立訓練(生活訓練)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/06/dl/s0604-7b_0008.pdf
参考:「自立訓練(機能訓練、生活訓練)の実態把握に関する調査研究」報告書|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000521833.pdf

障害のある人の働き方って?【3.障害者雇用/一般就労】

ここでは障害のある人が選択できる働き方についても紹介します。

障害者雇用

障害者雇用とは障害者雇用促進法に基づいて、企業が従業員に対して一定の割合で障害のある人を雇用する制度のことです。この割合は法定雇用率と呼ばれており、2025年度の一般企業の法定雇用率は2.5%となっており、2026年には2.7%となることが決まっています。

あらかじめ障害のことを伝えて就職するので、働く側にとっては特性に応じた配慮が受けやすいといった特徴があります。ただ、障害者雇用で働くには障害者手帳の取得が条件となっているため、取得していない場合は障害福祉窓口や主治医などにご相談ください。

また、障害者雇用と合わせて特例子会社という言葉を聞いたことがある人もいると思います。特例子会社とは障害のある人が働くための一定の条件を満たした子会社のことで、特例子会社で障害のある人を雇用した場合は親会社の雇用とみなされます。働く側にとっては、自分以外にも障害者雇用で働く人が多く、配慮などの整備が整っているというメリットがあります。
参考:事業主の方へ|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html
参考:令和5年度からの障害者雇用率の設定等について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001039344.pdf

一般就労

障害のある人が一般企業や公的機関などと雇用契約を結んだうえで働くことを、一般就労と呼んでいます。障害者雇用と異なり、基本的にほかの従業員と同じ勤務条件で働く雇用形態です。

ただ、一般就労でも職場に障害を伝えて働く方法もあります。この場合も、合理的配慮自体は受けることが可能ですが、障害者雇用と比べて職場の環境が整っておらず希望通りとはいかない場合もあります。

障害者雇用、障害を開示しない一般就労、障害を開示した一般就労、いずれもメリットデメリットがあるため、働き方で迷っている方はハローワークなどの支援機関で相談してみてもいいでしょう。
参考:働き方を考えよう|徳島発達障がい総合サイト
https://www.pref.tokushima.lg.jp/hattatsu/hanamizuki/5018243/5018535/
参考:合理的配慮指針(概要)|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000083347.pdf

就労後に受けられる支援って?就労定着支援とジョブコーチ支援とは

障害のある人への就労支援は就職するまでだけでなく、就職した後に安定して働くことを目的とした支援もあります。

就労定着支援

就労定着支援とは就労移行支援などを利用して就職した人を対象に、長く安定して働くことを目的としたサービスです。定期面談や職場での困りごとがあった際の調整などを行い、必要に応じて企業側へ働きかけも行います。

就職後すぐに受けることができるわけではなく、6か月経過していることが利用の要件となっています。また、就労定着支援の利用期間は最大3年間となっており、終了後は地域の支援機関などに引継ぎが行われます。
参考:就労定着支援の実施について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001240305.pdf
参考:障害福祉サービスにおける定着支援の流れイメージ|東京都福祉局
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/06_31teityaku-nagare

ジョブコーチ支援

ジョブコーチ支援とは障害のある人が就職後に職場で働きやすくなるように、専門の職場適応援助者(ジョブコーチ)を派遣するサービスです。ジョブコーチは障害のある人の特性や職場の状況に応じて、本人や職場の人にアドバイスなどを行い、職場定着を促していきます。利用する場合の窓口はこのあと紹介する地域障害者職業センターです。
参考:職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/06a.html
次ページ「就労に関する支援サービスってどんなものがあるの?」

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