「好き」を原動力へ!多様な学びの最前線「日本LD学会第34回大会」レポート。阿部利彦大会会長インタビューも【アーカイブ配信中】
ライター:発達ナビ編集部
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2025年10月18日・19日の2日間にわたって日本LD学会の第34回大会が開催されました。一般公開講演会、特別講演、8つの大会企画シンポジウム、4つのワークショップ、8つの学会企画・各委員会企画、72の自主シンポジウム、その他多数のポスター発表や常設展示等が行われ約4,000名の来場がありました。この記事では大会初日の10月18日の様子を中心に、大会会長・星槎大学大学院教授の阿部利彦先生への取材や、子どもたちの学びや育ちのために真摯に向き合う支援者の方たちの実践や研究の一端をお伝えします。
「好き」を原動力へ!多様な学びの最前線「日本LD学会第34回大会」レポート
2025年10月、日本LD学会の第34回大会が開催されました。
18日・19日の2日間にわたって国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された大会では、 一般公開講演会、特別講演、8つの大会企画シンポジウム、4つのワークショップ、8つの学会企画・各委員会企画、72の自主シンポジウム、その他多数のポスター発表や常設展示等が行われ、約4,000名の来場がありました。
大会の参加者は、研究者・教育や発達支援に携わる人だけでなく、特性があるお子さんの保護者や大学生など幅広く、シンポジウムや体験型ワークショップ、ポスター展示など、さまざまな切り口で発達特性がある子どもたちの学びや生活をどう支えるかについて考える機会となる、多様な学びの場でした。
この記事では、その大会の熱気あふれる様子をレポート。また、大会会長である星槎大学大学院教授の阿部利彦先生にも取材をいたしました。大会初日の10月18日の様子を中心に、子どもたちの学びや育ちのために真摯に向き合う支援者の方たちの実践や研究の一端をお伝えします。
なお、一部講演・シンポジウムについては、2025年11月下旬よりアーカイブ配信が予定されています。会場に足を運べなかった方も、主要なシンポジウムをご自宅で視聴できます。
※DSM-5における学習障害は現在「SLD・限局性学習症」と呼ばれるようになりましたが、この記事では大会名に合わせて「LD・学習障害」と記載しています。
※アーカイブ視聴の申し込み詳細は日本LD学会第34回大会Webサイトをご確認ください。
18日・19日の2日間にわたって国立オリンピック記念青少年総合センターで開催された大会では、 一般公開講演会、特別講演、8つの大会企画シンポジウム、4つのワークショップ、8つの学会企画・各委員会企画、72の自主シンポジウム、その他多数のポスター発表や常設展示等が行われ、約4,000名の来場がありました。
大会の参加者は、研究者・教育や発達支援に携わる人だけでなく、特性があるお子さんの保護者や大学生など幅広く、シンポジウムや体験型ワークショップ、ポスター展示など、さまざまな切り口で発達特性がある子どもたちの学びや生活をどう支えるかについて考える機会となる、多様な学びの場でした。
この記事では、その大会の熱気あふれる様子をレポート。また、大会会長である星槎大学大学院教授の阿部利彦先生にも取材をいたしました。大会初日の10月18日の様子を中心に、子どもたちの学びや育ちのために真摯に向き合う支援者の方たちの実践や研究の一端をお伝えします。
なお、一部講演・シンポジウムについては、2025年11月下旬よりアーカイブ配信が予定されています。会場に足を運べなかった方も、主要なシンポジウムをご自宅で視聴できます。
※DSM-5における学習障害は現在「SLD・限局性学習症」と呼ばれるようになりましたが、この記事では大会名に合わせて「LD・学習障害」と記載しています。
※アーカイブ視聴の申し込み詳細は日本LD学会第34回大会Webサイトをご確認ください。
※ボタンをクリックすると日本LD学会第34回大会公式Webサイトに遷移します
開会式は、大会会長・阿部利彦先生の言葉から幕をあける
開会式では、第34回大会の大会会長である、星槎大学大学院教授の阿部利彦先生が、この大会に際しての思い、子どもたちへの思いを語られました。続いて、理事長 海津亜希子先生による挨拶がありました。LD学会の会員数は1万2,000人をこえる中、実施プログラムにもさまざまな検討があったことなどのお話がありました。
大会場では、開会式はもちろん、シンポジウム開催時も壇上での発言がUDトークでスクリーンに字幕表示され、細やかな配慮を感じることができました。
大会場では、開会式はもちろん、シンポジウム開催時も壇上での発言がUDトークでスクリーンに字幕表示され、細やかな配慮を感じることができました。
大会会長阿部利彦先生(星槎大学大学院教授)に、今大会についての思いを聞く
大会開催の舞台裏で、大会会長をつとめる阿部利彦先生にその思いを伺いました。
(発達ナビ編集部、以下ーー):今大会の開催に際しての思いを教えていただけますか?
阿部利彦先生(以下、阿部):困っている子どもたちを主役にした、子どもを中心においた大会にしたいと考えて企画してきました。発達特性、学び方に特性のある子どもたちが、定型発達に近づければいいのではなく、どの子もその子らしく学びやすく、生きやすい環境をどう整えるのか?という視点を大切にしています。その子の課題だけにシングルフォーカスせず、学びの環境との相互作用で考えていくことが大切だと思っているんですね。そういった思いを込めて企画してきました。
大会企画シンポジウムでは、幼児期から就労・自立までを網羅したテーマで構成しました。そこで軸となっているのは「自己理解」「セルフアドボカシー(※)」です。自己理解は、合理的配慮を勝ち取っていくためにも必要だと考えています。
編集部注:セルフアドボカシーとは「自己権利擁護」を意味し、障害や困難のある当事者が、自分の利益や欲求、意思、権利を自ら主張することです。
学ぶというのは、やはり楽しくないと身につきづらい。ですから、今大会に参加される方々にも楽しんでいただけるしかけをたくさん設定させていただいています。
阿部利彦先生(以下、阿部):困っている子どもたちを主役にした、子どもを中心においた大会にしたいと考えて企画してきました。発達特性、学び方に特性のある子どもたちが、定型発達に近づければいいのではなく、どの子もその子らしく学びやすく、生きやすい環境をどう整えるのか?という視点を大切にしています。その子の課題だけにシングルフォーカスせず、学びの環境との相互作用で考えていくことが大切だと思っているんですね。そういった思いを込めて企画してきました。
大会企画シンポジウムでは、幼児期から就労・自立までを網羅したテーマで構成しました。そこで軸となっているのは「自己理解」「セルフアドボカシー(※)」です。自己理解は、合理的配慮を勝ち取っていくためにも必要だと考えています。
編集部注:セルフアドボカシーとは「自己権利擁護」を意味し、障害や困難のある当事者が、自分の利益や欲求、意思、権利を自ら主張することです。
学ぶというのは、やはり楽しくないと身につきづらい。ですから、今大会に参加される方々にも楽しんでいただけるしかけをたくさん設定させていただいています。
ーーシンポジウムも、大きな会場で2つ同時に開催されますし、本当にたくさんのワークショップも企画されていますよね。どれも参加したいけれど、全部まわりきれないほどです。
阿部:これだけ多くのワークショップが開催されるのはLD学会でも初めての試みです。感覚過敏、UDフォント、TRPGなど、さまざまな体験型ワークショップもご用意しています。
ーー学会には1万2,000人の会員がいらっしゃるそうで驚きました。そして、今大会には4,000人が参加されるとのこと。どのような立場の方が多いのでしょう?やはり教育関係の方なのでしょうか。
阿部:さまざまな立場の方に参加をいただいています。全国LD親の会の会員の方や、星槎親の会の保護者の皆さん、当事者学生の方も参加しています。制限を設けず、いろいろな方に参加いただいて、学び合っていただける機会にしたいと考えています。
また、ここで学んだことに何か一つの正解があるわけではないとも考えています。それぞれ心に留まったことをそれぞれの現場ー学校や支援機関や、ご家庭などーに持ち帰っていただいて、それぞれの最適解を見つけていっていただけたらと思っています。
ーーご家族や学生さんの参加もあるのですね。
阿部:大会の運営では、星槎国際高校の先生方を中心に、星槎の先生方がスタッフとして数多く参加しています。
大会で配布しているうちわは、星槎国際高校の生徒中心に行われたイラストコンテストの受賞作品がデザインされています。また、星槎国際高校にはキッチンカーのゼミがあるのですが、ゼミに参加している生徒によるキッチンカーも会場前に出店し、お弁当屋やカレーを販売しています。こうした取り組みが、子どもたちにとっても学びの機会のひとつとなればと考えています。
阿部:これだけ多くのワークショップが開催されるのはLD学会でも初めての試みです。感覚過敏、UDフォント、TRPGなど、さまざまな体験型ワークショップもご用意しています。
ーー学会には1万2,000人の会員がいらっしゃるそうで驚きました。そして、今大会には4,000人が参加されるとのこと。どのような立場の方が多いのでしょう?やはり教育関係の方なのでしょうか。
阿部:さまざまな立場の方に参加をいただいています。全国LD親の会の会員の方や、星槎親の会の保護者の皆さん、当事者学生の方も参加しています。制限を設けず、いろいろな方に参加いただいて、学び合っていただける機会にしたいと考えています。
また、ここで学んだことに何か一つの正解があるわけではないとも考えています。それぞれ心に留まったことをそれぞれの現場ー学校や支援機関や、ご家庭などーに持ち帰っていただいて、それぞれの最適解を見つけていっていただけたらと思っています。
ーーご家族や学生さんの参加もあるのですね。
阿部:大会の運営では、星槎国際高校の先生方を中心に、星槎の先生方がスタッフとして数多く参加しています。
大会で配布しているうちわは、星槎国際高校の生徒中心に行われたイラストコンテストの受賞作品がデザインされています。また、星槎国際高校にはキッチンカーのゼミがあるのですが、ゼミに参加している生徒によるキッチンカーも会場前に出店し、お弁当屋やカレーを販売しています。こうした取り組みが、子どもたちにとっても学びの機会のひとつとなればと考えています。
ーーすばらしい取り組みだと思います。今大会では、アーカイブ配信もあります。大会に参加できなかった方も、ご自宅などで、大会企画シンポジウムなどは視聴ができますよね。
阿部:どれも魅力的な、学びとなるものばかりです。日本でも最先端の内容をお伝えできていると自負しています。ぜひ皆さんに見ていただけたらと思っています。
今大会ではさまざまなシンポジウムやワークショップなどが行われましたが、そのいくつかを取材しました。会場の熱気や意義ある研究発表についてレポートします。
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