伝説の「爆音ライブで爆睡」事件と、ドラムとの出合い

極めつけは、これも同じ頃、私の大好きなアーティストのライブにコチ丸を連れて行った時のこと。「ママの大好きなアーティストの良さをコチ丸にも分かってほしい!」と勇んで連れて行きましたが、開演した瞬間、コチ丸は両耳をぎゅっと押さえて「うわあああ」という顔に。

「え!そういう感じ!?でももうちょっと聴いたら絶対良くなるから我慢してくれ!」と見たかったアーティストそっちのけで心の中で念じましたが、耐えきれない思いが爆発したのか、コチ丸はその轟音の中、1時間もしないうちに椅子に横になり眠ってしまったのです……。

「こんなうるさい中で寝られるって……(大汗)」と当時は思いましたが、多分脳が限界を超えた刺激を遮断するための防御反応だったのでしょう。今思えば申し訳ないことをしました……。

ところが、不思議なものです。そんな「音に敏感すぎる男子」が、数年後にハマった特技は、なんと「ドラム」でした。他人が出す予測不能なノイズは苦痛でも、自ら響かせる爆音は、心地よい刺激だったようです。良い師匠に出会えたこともあり、ドラムはその後のコチ丸の人生に欠かせないものとなりました。
限界を超えたせい!?ライブではまさかの爆睡
限界を超えたせい!?ライブではまさかの爆睡
Upload By あき

みんな違って、みんな「自分は普通」

今年、あの「ライブで爆睡」から10年を経て、同じアーティストのライブへコチ丸と共にリベンジ参戦する予定です。今は私より音楽に詳しくなり、ドラマーに成長したコチ丸なら、もう耳をふさいで寝てしまうこともないでしょう。

振り返れば、私の今のパートナーは「音がないと眠れない」と言い、私はその横で「無音じゃないと絶対無理」と言って、彼がつけっぱなしのインターネット動画をいつ消そうかと眠りに落ちる瞬間を伺う毎日。定型発達だ、発達障害だと言ったところで、結局のところ、人間はみんな感覚がそれぞれズレているものです。

自分の「当たり前」を押しつけると、相手にとっては「痛み」や「拷問」になることもある。 育児を通じて、私はコチ丸に「世界の見え方は、人の数だけあるんだよ」という、当たり前だけど忘れがちな教訓を叩き込まれました。

かつて「光が痛い」と言って逃げ回っていた小さな男の子は、今では「ママ、重いから持つよ」と米袋を担いでくれる最強の荷物持ちです。お子さんの「困った行動」の裏には、私たちが想像もできない「理由」が隠れているかもしれません。そう思えるだけで、明日の育児が少しだけ優しく、あるいは笑えるものになることを願っています。

私はこれからも、コチ丸の独特なフィルターを通した「面白おかしい世界」を、隣で笑いながら観察していこうと思います。でも、コチ丸からしてみたら、「この家で一番変わってるのはママ。さらにその上はばぁば。俺は常識人間」だそうです。わが家の血筋って……。
感じ方は人それぞれ。息子にとっては祖母と母のほうが「変わり者」!?
感じ方は人それぞれ。息子にとっては祖母と母のほうが「変わり者」!?
Upload By あき
執筆/あき

(監修:初川先生より)
コチ丸くんとあきさんの感覚の違い、そしてコチ丸くんの感覚過敏についてのコラムをありがとうございます。スーパーの光が目に刺さって痛いと言葉にしてくれたこと、コチ丸くんすごいですね。よくぞ言ってくれたと思います。刺激の受け取り方(感覚)は、ひとそれぞれですが、子どもの場合、それが不快だとしても「どう不快、どうつらいのか」を言葉にすることは難しい場合が多かろうと思います。言葉にすること自体の難しさもありますが、苦手な刺激がいっぱい入ってきた場合に体中がその不快な刺激で満たされてしまうために言葉にするどころじゃないのもあると思います。教室で隣のクラスの授業まで聞こえていたら、それは集中できませんよね。そうしたことを言ってくれて、初めて周囲の人は「なるほど、そうだったんだね」と理解できるところです。本人が感覚刺激の不快さに苦しんでいるだけでも、周囲からすると、「落ち着きがない」とか、授業を聞きたくないから(あるいは怠けで)取り組みが悪いのではと、実際とは違う想像を巡らせてしまうことも多々あると思います。もしかして環境や刺激が本人にとってつらいものなのでは?という視点を持てるだけで、かける言葉も変わり、できる工夫や対応も変わっていくことと思います。「もしかして、この音(光、触り心地)つらい?」と聞いてみていただければと思います。
前の記事はこちら
https://h-navi.jp/column/article/35030876
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。

ADHD(注意欠如多動症)
注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
ライフバナー

追加する

年齢別でコラムを探す


同じキーワードでコラムを探す



放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所をお探しの方はこちら

コラムに対する投稿内容については、株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設、商品及びサービスの利用を推奨するものではありません。投稿された情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。コラムに対する投稿内容は、投稿者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。「やらせ」は発見次第厳重に対処します。