【実例紹介】「こっち向いて!」が通じない!?視覚優位な息子の特性から見つけた、「カメラ目線」の写真を撮る裏ワザ

ライター:かし りりあ
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かしりりあです。
皆さんはお子さんの写真をよく撮りますか?私はわが子の今しかない瞬間を記録に残したいと思い、よく撮影するのですが、一つ悩みがありました。それは……「子どもたちがなかなかカメラを見てくれない」ということです。

監修者初川久美子のアイコン
監修: 初川久美子
臨床心理士・公認心理師
東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち
臨床心理士・公認心理師。早稲田大学大学院人間科学研究科修了。在学中よりスクールカウンセリングを学び、臨床心理士資格取得後よりスクールカウンセラーとして勤務。児童精神科医の三木崇弘とともに「発達研修ユニットみつばち」を結成し、教員向け・保護者向け・専門家向け研修・講演講師も行っている。都内公立教育相談室にて教育相談員兼務。

家族の今を残したい、母のささやかな願い

わが家の3人の子どもたちは、特別支援学校、幼稚園、放課後等デイサービス、児童発達支援施設など、それぞれに通う場所が異なり、予定が合うことも少なく、一緒に出かける機会はあまりありません。だからこそ、家族での外出時は3人が一緒に写った写真を撮りたくなるのですが、いざカメラを向けても、みんなそれぞれ別の方向を見てしまうということがよくありました。
なかなかカメラを見てくれない3きょうだい。連写も試してみましたが、うまくいかず……
なかなかカメラを見てくれない3きょうだい。連写も試してみましたが、うまくいかず……
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後に次男かーは写真好きになり、カメラをしっかりと見てくれるようになりましたが、それでも長男りー、三男おーはなかなか意識が向きませんでした。長男りーには、視覚優位で周囲の刺激に意識が奪われやすいというASD(自閉スペクトラム症)の特性があります。また、まだ発語があまりなく、発達のゆっくりな三男おーは、「写真を撮る」ということにあまり興味を持っていないようでした。そのため、二人はカメラよりも周りが気になり、視線があちらこちらへいってしまい、どうしたらよいものかと考えていました。

気分は配信者!?長男の意外な姿が撮影のヒントに

「自分の興味の赴くまま、それぞれ違ったほうを向いている姿もうちの子たちらしいけれど、みんなが正面を向いた写真は難しいのかもしれない」と、なかばあきらめかけていた時期もありました。

しかし、私は長男りーの意外な姿を見たことがきっかけで「あきらめるのは早いのかも」と思うようになるのです。
実は踊りが好きなようで、鏡を見てこっそり踊っています
実は踊りが好きなようで、鏡を見てこっそり踊っています
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ある休日、私が洗面台へ行くと、りーが鏡に向かっていろいろな表情をしているではありませんか。声をかけたい気持ちを抑え、そっと様子を観察してみることにしました。すると、鏡に映る自分を見て手遊びをしたり、踊ったりしているのです。その様子を見ているうちに、りーは自分の姿が見えていれば意識がこちらに向くのでは……?と考えるようになりました。

そこでスマートフォンをインカメラに設定し、りーに声をかけてみました。すると……
予想は当たり、自分の姿が見えてニコニコしています!
予想は当たり、自分の姿が見えてニコニコしています!
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不思議そうにスマートフォンのカメラを見つめた後、すぐに満面の笑みを見せてくれたのです。そのまま撮影ボタンを押すまで表情を変えず、はじめてカメラ目線でニコニコ笑顔の撮影に成功することができました!

ツールを活用し、広がるコミュニケーション

それからというもの、長男りーの撮影はできるだけインカメラでするようにしました。カメラから離れすぎると意識が向かなくなりますが、それでもカメラ目線の成功率はかなり上がりました。また、三男おーにも試したところ、じっとカメラを見つめるように(まだ笑顔は少ないですが、意識は向いているようです)。

さらに、加工アプリの活用も大きな助けとなりました。りーは動物の耳がついたり、輪郭や顔のパーツの大きさが変わったりする加工アプリを気に入って、よく撮影をしています。時には音楽が流れたり、動画になったりするものも試しています。そのうちに、りーの楽しそうな様子につられて次男かー、三男おーもやってきて、なんと初めてきょうだい全員がカメラ目線の写真が撮れたのです(ありがとう加工アプリ……)!
ついに「全員カメラ目線」の写真撮影に成功。ありがとう加工アプリ……!
ついに「全員カメラ目線」の写真撮影に成功。ありがとう加工アプリ……!
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写真へのこだわりが育んだ、新たな意欲

さらに最近では「映え」を気にするようになってきた?長男りー。撮影するときにはふわふわの雪を上に投げてみたり、背景にもこだわったりと、演出に余念がありません。また、砂利を顔の下くらいに軽く投げ、石が空中に浮いている瞬間を撮影して!と、自分なりのこだわりを伝えてくれることもあります。驚くことに、写真のためなら苦手な帽子や手袋も、少しは我慢できるようです。
撮影のために頑張って?いますが、普段は寒いのも苦手です……
撮影のために頑張って?いますが、普段は寒いのも苦手です……
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カメラ目線が難しいわが子の写真をどう撮るか。特性に合わせた工夫を一つ加えることで、家族の思い出がまた一つ増えるかもしれません。この記事が、同じ悩みを持つ方の参考になれば幸いです。

執筆/かしりりあ

専門家コメント 初川久美子先生(臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち)

写真撮影に関するコラムをありがとうございます。お子さん3人がカメラ目線を送っている写真を撮る。育ち盛りで、注意や逸れやすく、また特性もあると確かに難しそうです。りりあさんの試行錯誤の中で、配信者風の行動を見つけたことから、インカメラでの撮影が向いていると気づかれたとのこと。なるほど。確かに自分の顔を見ながら撮影したほうが「コミットしている感」が上がって楽しいかもしれませんね。自分なりの決め顔で(しかもそれを確認しながら)撮れる良さもあります。加工アプリの使用や、その後演出に凝ってみるなど、「撮影って面白い」に気づいた子の成長はすさまじいですね。

ところで、動画配信者さんという存在の持つ影響は大きいなと感じます。配信者さんのように好きなものについて話す、ゲームなど遊びを実況する。単にスピーチしてと言っても渋る子が多い中で、配信者ごっこだとなぜかできてしまう。昨今の配信者さんブーム、あこがれの職業に配信者が入るような時代、配信者さんの言動から成長促進的な関わりが見つけられたらいいなと個人的には思っています。(監修:臨床心理士・公認心理師/東京都公立学校スクールカウンセラー/発達研修ユニットみつばち 初川久美子先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35030919
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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