中学になっても忘れ物は減らず……
転機になったのは中学生になってからです。自宅から遠い中学校に通うようになり、「忘れたら取り返しがつかない」という状況もしばしば起こるようになりました。同時に、親が届けることがどれほど大変かも理解してきたようです。
とはいえ、中学生になれば今度は勉強や友人関係など、考えることが一気に増えます。頭の容量は限られているのか、忘れ物まで気が回らない様子は相変わらずでした。
そこで息子が編み出した方法は……「要りそうなものは全部持って行く」という荒業!
教科書もノートも資料も、念のための道具も、とにかく全部です。
教科書もノートも資料も、念のための道具も、とにかく全部です。
ですが、それは誰に言われたわけでもなく、タケル自身が考えた工夫です。「忘れる不安」を確実に消すため重さというリスクを取った、私は息子の選択を尊重したいと思いました。
鞄の中はいつもパンパンだが......
大学院生になった現在も忘れ物がゼロになったわけではありません。ただ、学校に置いておくもの、家に予備を置くもの、必要になったら取りに帰ればいいものなど、自分なりに仕分けをしながら調整しています。完璧ではなくても、自分で考え、自分で責任を引き受けようとする姿勢はだんだんとできてきました。
大人になって発達障害が分かったという人に話を聞くと、やはり忘れ物は課題だと言います。忘れ物対策に「これが正解」という方法はないのかもしれません。
息子が成人年齢になった今は、必要以上に先回りせず、困ったときには一緒に考える。それぐらいの距離感を大切にしながら、見守っていきたいと思っています。
執筆/寺島ヒロ
執筆/寺島ヒロ
監修コメント 室伏佑香先生(小児科医)
タケルさんの忘れ物についてのエピソードやその対策について共有いただき、ありがとうございました。タケルさんのこれまでのエピソードからは、日々の大変さと同時に、ご家族が試行錯誤しながら向き合ってこられた様子がとてもよく伝わってきました。
神経発達症の方の中には、「覚えておく」「順序立てて行動する」「注意を切り替える」といった実行機能に苦手さをもつ方もいらっしゃり、忘れ物が多くなってしまうことは決して珍しいことではありません。好きなことに意識が強く向いているときには、ほかの情報が入りにくくなることもあり、「分かっているのにできない」という状況が起こりやすいのです。そのため、ご家庭での声かけや準備のサポートだけでは限界を感じてしまうことも多く、保護者の方が疲れてしまうことも少なくありません。
そのような中で印象的だったのは、タケルさん自身が「忘れる不安」を減らすために、「必要そうなものを全部持っていく」という方法を考え出したというエピソードです。重さという別の負担はあるものの、自分なりに状況を理解し、対策を考えたことはとても大切な経験だと思います。発達の過程では、完璧にできることよりも、「自分で工夫して困りごとに対処しようとする力」が少しずつ育っていくことが重要だなと日々感じております。
また、記事の最後に書かれている「必要以上に先回りせず、困ったときには一緒に考える」という距離感も、とても大切な視点だと感じました。神経発達症のお子さんの場合、忘れ物などの課題がすぐに完全になくなるわけではありませんが、成長とともに自分なりの対処法を見つけていくこともありますよね。周囲がすべてを解決しようとするのではなく、本人が試行錯誤する機会を残しておくことが、長い目で見ると自立につながることもあります。
忘れ物対策には「これが正解」という方法はなかなかありませんが、それぞれのお子さんに合った工夫を見つけながら、少しずつ経験を積み重ねていくことが大切なのだと思います。タケルさんがこれまで自分なりの方法を見つけながら歩んでこられた姿は、同じ悩みを抱える多くのご家庭にとって、大きな励みになることと思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
神経発達症の方の中には、「覚えておく」「順序立てて行動する」「注意を切り替える」といった実行機能に苦手さをもつ方もいらっしゃり、忘れ物が多くなってしまうことは決して珍しいことではありません。好きなことに意識が強く向いているときには、ほかの情報が入りにくくなることもあり、「分かっているのにできない」という状況が起こりやすいのです。そのため、ご家庭での声かけや準備のサポートだけでは限界を感じてしまうことも多く、保護者の方が疲れてしまうことも少なくありません。
そのような中で印象的だったのは、タケルさん自身が「忘れる不安」を減らすために、「必要そうなものを全部持っていく」という方法を考え出したというエピソードです。重さという別の負担はあるものの、自分なりに状況を理解し、対策を考えたことはとても大切な経験だと思います。発達の過程では、完璧にできることよりも、「自分で工夫して困りごとに対処しようとする力」が少しずつ育っていくことが重要だなと日々感じております。
また、記事の最後に書かれている「必要以上に先回りせず、困ったときには一緒に考える」という距離感も、とても大切な視点だと感じました。神経発達症のお子さんの場合、忘れ物などの課題がすぐに完全になくなるわけではありませんが、成長とともに自分なりの対処法を見つけていくこともありますよね。周囲がすべてを解決しようとするのではなく、本人が試行錯誤する機会を残しておくことが、長い目で見ると自立につながることもあります。
忘れ物対策には「これが正解」という方法はなかなかありませんが、それぞれのお子さんに合った工夫を見つけながら、少しずつ経験を積み重ねていくことが大切なのだと思います。タケルさんがこれまで自分なりの方法を見つけながら歩んでこられた姿は、同じ悩みを抱える多くのご家庭にとって、大きな励みになることと思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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