【奈美さんインタビュー】「きょうだい児」という大きな主語からこぼれ落ちてしまうもの
ーーイベント、お疲れ様でした!良太さんとの軽妙な掛け合いが楽しく、今も温かな余韻に包まれています。先ほど「私たちは普通の姉弟」というお話がありましたが、世間からの「大変そう」「弟を支えて立派だ」というイメージに当てはめられることへの戸惑いもあったそうですね。今はその言葉をどう捉えていますか?
奈美さん:ずっと分からないというか……ただ、障害の有無に関わらず、家族の誰かのために自分が犠牲になるということは、あってはならないことだと考えています。
どれだけ家族を愛していても、自分のやりたいことや、家族以外の愛する人と一緒にいられる幸せを「家族のせいで奪われた」となってしまったら、どこかで家族を絶対に恨んでしまう。誰かが犠牲にならないとどうにもならないことは、積極的に外に助けを求めてほしいし、それを差し出せる社会であってほしいです。
「私が幸せじゃない社会、おかしいだろう」という想いでずっと生きてきたので、「きょうだい児」であることに、「大変でしょ?」「苦労したよね」と言われるのは、本当にピンとこなくて。しかも、きょうだい「児」じゃないですか。子どものときの私、マジで何も苦労していないんですよ(笑)。大人になってから、おばあちゃんの認知症など複合的な問題で大変になることは多かったですが。私の中では、「きょうだい児」は「難民」と言われる感じに近いかもしれません。言葉とイメージがあまりに固定化されているというか。それに、「困ってるんでしょ?」と聞かれても、意外と私はうまいこと生きてこれたしな、という想いが強い。社会にあるイメージが大きすぎて、自分とは全然違う人の話をされている感覚なんです。
奈美さん:ずっと分からないというか……ただ、障害の有無に関わらず、家族の誰かのために自分が犠牲になるということは、あってはならないことだと考えています。
どれだけ家族を愛していても、自分のやりたいことや、家族以外の愛する人と一緒にいられる幸せを「家族のせいで奪われた」となってしまったら、どこかで家族を絶対に恨んでしまう。誰かが犠牲にならないとどうにもならないことは、積極的に外に助けを求めてほしいし、それを差し出せる社会であってほしいです。
「私が幸せじゃない社会、おかしいだろう」という想いでずっと生きてきたので、「きょうだい児」であることに、「大変でしょ?」「苦労したよね」と言われるのは、本当にピンとこなくて。しかも、きょうだい「児」じゃないですか。子どものときの私、マジで何も苦労していないんですよ(笑)。大人になってから、おばあちゃんの認知症など複合的な問題で大変になることは多かったですが。私の中では、「きょうだい児」は「難民」と言われる感じに近いかもしれません。言葉とイメージがあまりに固定化されているというか。それに、「困ってるんでしょ?」と聞かれても、意外と私はうまいこと生きてこれたしな、という想いが強い。社会にあるイメージが大きすぎて、自分とは全然違う人の話をされている感覚なんです。
そもそも、家族の問題って本当に複雑じゃないですか。愛と憎しみが同時に存在するし、人によって事情も感情もまったく違う。それを「きょうだい児」という一つの大きな主語でくくって「一気にケアしましょう」とすること自体、少し雑というか、良くないよねという気持ちがあります。
私がエッセイで書いているのは、大きな言葉では絶対にくくれない、個人的で複雑な、でも確かにある感情です。大きな言葉って大きな感情(イメージ)を伴ってしまうから、そこから外れる人はつらいですよね。
よく「岸田さんもきょうだい児ですよね」と共感を求められると喋るんですけど、結局「岸田さんは恵まれていますね、私とは関係なかった」と言われて終わることもあって。でも、その気持ちもめっちゃ分かるんです。
私がエッセイで書いているのは、大きな言葉では絶対にくくれない、個人的で複雑な、でも確かにある感情です。大きな言葉って大きな感情(イメージ)を伴ってしまうから、そこから外れる人はつらいですよね。
よく「岸田さんもきょうだい児ですよね」と共感を求められると喋るんですけど、結局「岸田さんは恵まれていますね、私とは関係なかった」と言われて終わることもあって。でも、その気持ちもめっちゃ分かるんです。
ーーご家族とのエピソードを多く執筆される中で、あえて「書かない」と決めていることや、守っている境界線はありますか?
奈美さん:本人が「あえて言っていないんだろうな」ということを書くのは、絶対にやめています。
以前、母のお風呂の給湯器が壊れたことをnoteに書いた際、はじめて母から「書かないでほしかった」と言われたことがありました。読者の方から「お湯をかしてあげる、ここの銭湯なら入れるよ」など、たくさん心配の連絡をいただいたのですが、“車椅子の人がどうやってお風呂に入るのか”ということを知られるのは、母にとってはコンプレックスだったみたいで。私からすれば「(車椅子生活が長いけど)まだそこを気にしていたんだ」と思いましたが、母の中にはバラされたくない、まだ自分でも受け入れられていない部分があるんだなと。
9割のことは「何を書いてもいい」と言われていますが、そういう私でも想像しきれない、本人の内側にある繊細な部分は大切に守っていきたいと思っています。
奈美さん:本人が「あえて言っていないんだろうな」ということを書くのは、絶対にやめています。
以前、母のお風呂の給湯器が壊れたことをnoteに書いた際、はじめて母から「書かないでほしかった」と言われたことがありました。読者の方から「お湯をかしてあげる、ここの銭湯なら入れるよ」など、たくさん心配の連絡をいただいたのですが、“車椅子の人がどうやってお風呂に入るのか”ということを知られるのは、母にとってはコンプレックスだったみたいで。私からすれば「(車椅子生活が長いけど)まだそこを気にしていたんだ」と思いましたが、母の中にはバラされたくない、まだ自分でも受け入れられていない部分があるんだなと。
9割のことは「何を書いてもいい」と言われていますが、そういう私でも想像しきれない、本人の内側にある繊細な部分は大切に守っていきたいと思っています。
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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