小1・ASDの娘が2学期から不安定に。「支援級を選んだ私の責任?」一人抱え込む母が気づいた「保育所等訪問支援」への大きな誤解
ライター:にれ
Upload By にれ
知的な遅れを伴うASD(自閉スペクトラム症)の長女・まゆみは特別支援学級に通っています。1年生の1学期は問題なく過ごせていましたが、2学期以降は不安定な様子が増えていき……。
心配しながら見守っていましたが、保育所等訪問支援をお願いしてみようと決意。
今回は、わが家が保育所等訪問支援制度を利用するまでの経緯や、私が抱いていた誤解などについてお話しします。
監修: 室伏佑香
東京女子医科大学八千代医療センター 神経小児科
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
筑波大学医学部卒。国立成育医療研究センターで小児科研修終了後、東京女子医科大学八千代医療センター、国立成育医療研究センター、島田療育センターはちおうじで小児神経診療、発達障害診療の研鑽を積む。
現在は、名古屋市立大学大学院で小児神経分野の研究を行っている。
名古屋市立大学大学院 医学研究科 生殖・遺伝医学講座 新生児・小児医学 博士課程
1学期は順調だったのに……
特別支援学級に通う長女・まゆみは、2歳10ヶ月でASD(自閉スペクトラム症)の診断を受け、療育手帳は現在『中等度』の判定です。
就学相談では「特別支援学校が相応」と判定を受けましたが、頭から煙が出そうなほど悩んで特別支援学級を選択しました。
就学相談では「特別支援学校が相応」と判定を受けましたが、頭から煙が出そうなほど悩んで特別支援学級を選択しました。
わが子の未来この決断にかかっている!?自閉症娘の就学先選び、決めた矢先に教育委員会の判定で…大混乱!?
「おそらく1~2年のうちに特別支援学校へ転籍することになるだろう」と見通しをつけながらの入学で、学校の先生方と協力しながらまゆみを支えていこうと決意していました。
実際、年度の前半は先生方と連絡をよく取り合っており、学校に呼んでいただき児童向けに「まゆみはこんな子」という授業をさせてもらったこともあります。
1年生の1学期は、担任の先生から「もっと大変なのかと思っていました」と言われるほど順調でしたが……
2学期後半から少しずつ様子が変わっていきました。
情緒不安定になる日が増え、心の乱れを自己調整している?と感じることが増えてきたのです。
学校には毎日通ってくれますが、先生の話を聞くと、
実際、年度の前半は先生方と連絡をよく取り合っており、学校に呼んでいただき児童向けに「まゆみはこんな子」という授業をさせてもらったこともあります。
1年生の1学期は、担任の先生から「もっと大変なのかと思っていました」と言われるほど順調でしたが……
2学期後半から少しずつ様子が変わっていきました。
情緒不安定になる日が増え、心の乱れを自己調整している?と感じることが増えてきたのです。
学校には毎日通ってくれますが、先生の話を聞くと、
「突然泣き出す」「クールダウンスペースにこもる」「怒って机を押す」
といった今までにない行動が見られるとのことでした。
前年度から病休を取っていた支援員さんが退職され、2学期に入れ替わりの増員があったので支援は手厚くなっているはずなのに、なぜか日に日に荒れていくまゆみ……。
先生と支援員さんの困っている様子から、買ったり手作りした支援グッズを持ち込んでアレコレ試してみましたが、改善は見られません。
そのうち担任の先生がたびたび体調不良で休まれるようになり、一緒に支援を考える機会も減っていきました。
のちに早とちりだったと判明するのですが、私は「まゆみがよほどのご心労をおかけしているのでは⁉」と慌ててしまい、「特別支援学級を選んだ責任があるのだから、親として私がどうにかしなきゃ」と空回りが加速していきました。
そこで利用を考えたのが「保育所等訪問支援」です。
といった今までにない行動が見られるとのことでした。
前年度から病休を取っていた支援員さんが退職され、2学期に入れ替わりの増員があったので支援は手厚くなっているはずなのに、なぜか日に日に荒れていくまゆみ……。
先生と支援員さんの困っている様子から、買ったり手作りした支援グッズを持ち込んでアレコレ試してみましたが、改善は見られません。
そのうち担任の先生がたびたび体調不良で休まれるようになり、一緒に支援を考える機会も減っていきました。
のちに早とちりだったと判明するのですが、私は「まゆみがよほどのご心労をおかけしているのでは⁉」と慌ててしまい、「特別支援学級を選んだ責任があるのだから、親として私がどうにかしなきゃ」と空回りが加速していきました。
そこで利用を考えたのが「保育所等訪問支援」です。
保育所等訪問支援とは
「保育所等訪問支援」とは、障害のある子どもが通う園や学校へ訪問支援員が実際に見に行き、子ども本人への支援や先生方への助言を行う制度です。
名前に「保育所」とついているため未就学児向けの制度だと思われがちですが、対象は小学・中学校・児童養護施設など幅広く、集団生活を営む施設が対象となっています。家庭と学校との間に入ってもらえるので、私のような交渉下手な親にとってはとてもありがたい制度です。
以前にも、次女の転園騒動の際に保育所等訪問支援の利用を検討したことがありました。
結局、その時は利用せずに転園することにしたのですが、今こそ必要な時では⁉と、メインで利用している放デイ(放課後等デイサービス)に相談してみました。結果は……
名前に「保育所」とついているため未就学児向けの制度だと思われがちですが、対象は小学・中学校・児童養護施設など幅広く、集団生活を営む施設が対象となっています。家庭と学校との間に入ってもらえるので、私のような交渉下手な親にとってはとてもありがたい制度です。
以前にも、次女の転園騒動の際に保育所等訪問支援の利用を検討したことがありました。
結局、その時は利用せずに転園することにしたのですが、今こそ必要な時では⁉と、メインで利用している放デイ(放課後等デイサービス)に相談してみました。結果は……
なんと、「うちは小学校向けにはやっていない」という回答。
県のWebサイトから障害福祉サービス等の指定事業所の一覧が見られるのですが、そこで確認するとまゆみの利用する事業所で保育所等訪問支援を行っているところはありませんでした。そもそも、放デイの中でも保育所等訪問支援の指定を受けている事業所はかなり限られるようです。
頼れないものは仕方ありません。「やはり私が何とか対応を考えないと」と決意を新たにし、毎日のように支援を考え、まゆみの生活リズムに気を配り、意思表出の助けになればと絵カードの練習にも取り組みました。精神的にも体力的にも大変でしたが、そうするほかないと思っていました。
県のWebサイトから障害福祉サービス等の指定事業所の一覧が見られるのですが、そこで確認するとまゆみの利用する事業所で保育所等訪問支援を行っているところはありませんでした。そもそも、放デイの中でも保育所等訪問支援の指定を受けている事業所はかなり限られるようです。
頼れないものは仕方ありません。「やはり私が何とか対応を考えないと」と決意を新たにし、毎日のように支援を考え、まゆみの生活リズムに気を配り、意思表出の助けになればと絵カードの練習にも取り組みました。精神的にも体力的にも大変でしたが、そうするほかないと思っていました。
私の誤解
と、ここまでの話の中で……実は私、とんでもなく大きな誤解をしていたのです。
3学期に入って少し経ったころ、まゆみが3歳になる直前までお世話になっていた児童発達支援施設“ひだまり児童園”の“峰岸園長”(※事業所名・先生の名前ともに私の著書内での仮名です)と久しぶりにお話しする機会がありました。
数年分の積もり積もった話を聞いてもらううちに涙が溢れてきて、「特別支援学級に通わせたのは、やはり間違いだったのかもしれない。良いことも良い出会いも確かにあったけれど、結果的に本人にも先生方にもつらい思いをさせてしまっている。私の考える支援では役に立ちません」と苦しい心の内を聞いてもらいました。
静かに聞いていた峰岸先生でしたが、ふと「保育所等訪問支援は使っているの?」と問われました。
「いえ、利用中の事業所はどこも実施していなくて」と答えたところ、予想外の回答が……
「この制度、結構みんな誤解してるんですよ。保育所だけじゃなくて小学校や中学校でも対象だし、そもそも利用中の事業所じゃないとダメってわけじゃないの!放デイじゃなくて相談支援員に相談して、保訪(保育所等訪問支援)やってる事業所と保訪の契約を結ぶんですよ」
思わず、えええーーーーっ⁉と叫んでしまいました。
ということは、私は相談先を間違えて、自分で勝手に諦めて、何ヶ月も一人で背負い込んでしまっていたということに……。
驚いている私に、峰岸先生は続けました。
3学期に入って少し経ったころ、まゆみが3歳になる直前までお世話になっていた児童発達支援施設“ひだまり児童園”の“峰岸園長”(※事業所名・先生の名前ともに私の著書内での仮名です)と久しぶりにお話しする機会がありました。
数年分の積もり積もった話を聞いてもらううちに涙が溢れてきて、「特別支援学級に通わせたのは、やはり間違いだったのかもしれない。良いことも良い出会いも確かにあったけれど、結果的に本人にも先生方にもつらい思いをさせてしまっている。私の考える支援では役に立ちません」と苦しい心の内を聞いてもらいました。
静かに聞いていた峰岸先生でしたが、ふと「保育所等訪問支援は使っているの?」と問われました。
「いえ、利用中の事業所はどこも実施していなくて」と答えたところ、予想外の回答が……
「この制度、結構みんな誤解してるんですよ。保育所だけじゃなくて小学校や中学校でも対象だし、そもそも利用中の事業所じゃないとダメってわけじゃないの!放デイじゃなくて相談支援員に相談して、保訪(保育所等訪問支援)やってる事業所と保訪の契約を結ぶんですよ」
思わず、えええーーーーっ⁉と叫んでしまいました。
ということは、私は相談先を間違えて、自分で勝手に諦めて、何ヶ月も一人で背負い込んでしまっていたということに……。
驚いている私に、峰岸先生は続けました。
1歳8ヶ月でまゆみがひだまり児童園に通い出した時も暗いトンネルの中から抜け出た思いがしましたが、今また同じ気持ちで峰岸先生にお礼と制度利用の希望を伝えました。
保育所等訪問支援制度を実際に利用してみた話はまた別の機会にお話しします。
執筆/にれ
保育所等訪問支援制度を実際に利用してみた話はまた別の機会にお話しします。
執筆/にれ
専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)
保育所等訪問支援の利用を検討されるまでの経緯を共有してくださり、ありがとうございます。保育所等訪問支援では、支援者が実際に園や学校でのお子さんの様子を見てくださるため、家庭だけでは分からない生活実態や、集団の中での困りごとに気づくきっかけになると思います。また、療育の専門的な視点からお子さんの行動を観察してもらうことで、これまで見えにくかった課題だけでなく、「ここまではできている」「こういう場面では頑張れている」といった成長や強みも、より細やかに捉えてもらえることがあります。そうした視点を園や学校と共有できることは、先生方にとっても大きな助けになるのではないかと思います。
一方で、保育所等訪問支援という制度の存在自体を知らなかったり、制度について誤解をされていたりということで利用できていないケースも少なくないのだと思います。また、園や学校の先生に負担に思われないか、嫌がられないかと不安になり、利用をためらってしまう保護者の方もいるかもしれません。
必要な支援につながるまでには、制度の分かりにくさや、保護者側の心理的なハードルなど、さまざまな課題があります。にれさんに実際の経験を共有していただけたことは、同じように悩んでいるご家庭にとって、大きな手がかりになったことと思います。ありがとうございました。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
一方で、保育所等訪問支援という制度の存在自体を知らなかったり、制度について誤解をされていたりということで利用できていないケースも少なくないのだと思います。また、園や学校の先生に負担に思われないか、嫌がられないかと不安になり、利用をためらってしまう保護者の方もいるかもしれません。
必要な支援につながるまでには、制度の分かりにくさや、保護者側の心理的なハードルなど、さまざまな課題があります。にれさんに実際の経験を共有していただけたことは、同じように悩んでいるご家庭にとって、大きな手がかりになったことと思います。ありがとうございました。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
このコラムを書いた人の著書
今日もまゆみは飛び跳ねる ~自閉症のわが子とともに~
KADOKAWA
Amazonで詳しく見る
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
発達支援施設を探してみませんか?
お近くの施設を発達ナビで探すことができます