登校渋りの原因に迫る

学校は嫌いではないかもしれない。では何が登校渋りを引き起こしているのか?

正直に言うと、心当たりがありました。
それは、『学校の後は放デイ(放課後等デイサービス)で過ごす』という流れがしんどいのかもしれないということです。
家のホワイトボードで翌日の予定を確認する時、まゆみが泣くのは決まって放デイのある日の前夜でした。

「学校でも放デイでも頑張り続けて、エネルギー切れになっているのでは」と感じ、登校渋りが目立ってきた頃にメインで利用している放デイに利用日数を減らしたいと相談していました。

私の意見は「週4の放デイ利用を週2にして、家でホッとする時間を増やしてあげたい」というもので、放デイ側は「利用中は落ち着いていて、負担になっている様子はない」「習慣づけのためにも日数を減らさないことが大事」という意見。
話し合いの結果として、放デイの時間を減らすよりも学校にいる時間を減らしてまゆみの負荷軽減を図っている状態になっていました。

放デイの意見も一理あるとは思いつつ、つらそうなまゆみを見ているのが私もつらくて、頭を悩ませている中での保育所等訪問支援だったのです。何かアドバイスをもらえればと、これらの経緯も峰岸先生に聞いてもらいました。

今後の方針立て

峰岸先生は「お母さんの話を聞く限りでは」と前置きしつつ、

「きっと、まゆみちゃんは放デイも嫌いではないんでしょうね」
「学校がイヤ、放デイがイヤ、というわけじゃなくて、二つ合わさると辛い」
「放デイの批判をする気はまったくないけれど、私は、もう少しまゆみちゃんの脳を休めてあげるのがいいと思う」

これは私の考えを補強してくれる言葉で、じゃあどうしてあげるべきかという話になりました。

実は放デイとは就学時にも利用日数で意見が分かれ、「週4で通えないのならば辞めてもらって結構です」と言われたことがありました。「どうしても週2にしたい」という私の意見を通すならば、今度こそ退所を促されるかもしれません。
こう書くと読者の方は「えらく厳しい放デイだなぁ!」と思われるかもしれません。たしかに厳しめの放デイとして地域では有名な事業所ではあるのですが、愛情と信念をもって「その子の将来」を見越して指導してくれているのもよく伝わっていました。
放デイには感謝の気持ちもいっぱいで……
放デイには感謝の気持ちもいっぱいで……
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たまに方針で衝突することはあっても、よく相談にも乗ってくれて長年お世話になっている放デイには感謝のほうが勝っています。
今は何よりもまず負荷が高い状態になっているのが心配だけど、利用日数を減らすことが許されるなら通い続けたい、でもそれが無理なら……ここの放デイを退所することになってもまゆみと私は大丈夫なのか……。

覚悟の決まらない私に、峰岸先生は言いました。

「将来的なメリットって、誰にとってのメリット?」

再び、ドキッとしてしまいました。
ドキッとするということは、おそらく痛いところを突かれたのだと思います。
私はこの話を持ち帰って、よくよく考えることにしました。

結論、未だ出ず

峰岸先生との面談はほんの数日前のことで、実はまだ結論を出せていないのです。ガッカリされたらすみません。

退所覚悟で平日の放デイ利用を減らす交渉をするべきなのか、それとも「将来のために」と今を踏ん張らせるべきなのか……
まだ迷いの中にいる私ですが、もしかすると同じようなことで悩んでいる方もいるかな?とリアルタイムかつ赤裸々に悩みを共有させていただきました。

保育所等訪問支援を利用してみて、親の立場で何より有難かったのは、「まゆみは学校が嫌いなわけではないかもしれない」という見立てをもらえたことでした。言葉で訴えられない本人の何がしんどいのかを、可能性を含めて一緒に整理してもらえて、中立の立場で助言をしてもらえたと感じています。

もしこの記事を読んでいる方の中に、「学校でしんどそうだけれど、原因が分からない」「親だけで抱え込んでいる」という方がいたら、保育所等訪問支援という選択肢があることと、利用のハードルは案外低いということを是非知っていただけたらと思います。

最後にご報告すると、峰岸先生の見立て通り、つい先日の運動会をまゆみはバッチリこなしてくれました。
練習時との落差に私は「いや、できたんかーーーーい!!」と脱力しながら、心配ばかりしてわが子のことを信じていなかったんだなぁと反省しました。

まゆみにとって登校渋りの大きな一因になっていた運動会シーズンを乗り越えたことで今後どのような変化があるか観察しつつ、まゆみの立場に立って、対応をよく考えていこうと思っています。

執筆/にれ

専門家コメント 室伏佑香先生(小児科医)

保育所等訪問支援を利用された際の、実際のコメントや感じられたことなどを共有してくださり、ありがとうございました。

今回、保育所等訪問支援を通して実際に学校でのまゆみさんの様子を見てもらえたことで、「困っている部分」だけでなく、「参加できている部分」「本人なりに頑張っている部分」「学校側が工夫している部分」も丁寧に整理されたことは、とても大きかったですね。
学校や園からは困りごとの報告が多くなりやすく、家庭では登校前後の疲れや不安定さが目立つため、保護者の方は「うまくいっていないのでは」と不安に感じることもあります。そこに第三者の専門的な視点が加わることで、お子さんの状態を少し違う角度から見直せることがあります。

また、登校渋りの背景を一緒に整理してもらえたことも、とても意味のある支援だったのではないかと思います。登校渋りは、必ずしも園や学校で嫌なことがあるためだけに起こるとは限りません。お子さんの行動や生活の流れを丁寧に見ながら原因を考え、過ごしやすいように調整することで、変化していくこともあります。

お子さんのことを最もよく知っているのは、日々一緒に過ごしている保護者や学校・園の先生方です。一方で、中立的な立場の専門職が実際の場面を観察することで、本人なりにできていることや、行動の背景、環境との関係が見えてくる場合があります。複数の立場から見えた姿を持ち寄ることで、お子さんへの理解がより深まり、支援の選択肢も広がっていくのではないかと思います。(監修:小児科医 室伏佑香先生)
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https://h-navi.jp/column/article/35031111

このコラムを書いた人の著書

今日もまゆみは飛び跳ねる ~自閉症のわが子とともに~
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(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。

※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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