【発達障害×熱中症】喉の渇きに気づけない、猛暑で長袖…感覚の偏りやこだわりから子どもを守るには?【小児科医アドバイスも】
ライター:発達ナビ【編集部Eye】
本格的な夏を迎えるにあたり、気になるのが子どもの「熱中症対策」です。
しかし、発達障害の特性があるお子さんの家庭では、感覚の偏り(鈍麻・過敏)やこだわりから「一般的な熱中症対策が通用しない」「本人のサポートが難しい」というケースが少なくありません。
今回は、保護者の方々のリアルな事例から見えてきた「見落とされがちな熱中症リスク」をご紹介するとともに、小児科医の藤井明子先生による専門的な解説と、家庭ですぐに実践できる具体的な対策をお届けします。
監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
小児神経専門医
てんかん専門医
子どものこころ専門医
どんぐり発達クリニック院長
喉の渇きに気づけない、猛暑で長袖……発達ナビに寄せられた「夏の4大お悩み」
発達障害のあるお子さんの場合、本人の特性が影響して「水分補給」や「衣服の調節」が難しくなることがあります。発達ナビに寄せられた、夏のリアルなお悩みを4つのリスクとしてまとめました。
1.「喉の渇き」に気づけない(感覚鈍麻)
気温が急上昇する真夏日であっても、本人の中に「喉が渇いた」という体感(内受容感覚)が起きず、自発的な水分補給ができないケースです。熱中症の危険を知識として理解していても、自身の身体のサインに気づけないため、周囲が声をかけないと汗だくのまま過ごしてしまうという声が寄せられています。
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2. 水分補給の拒否と「こだわり」の葛藤
「水を嫌って、水分補給はジュースやスープのみ。健康のために水だけに制限しようとしたら、夜まで一滴も飲まず脱水症状や熱中症になってしまった」という、こだわりとリスクの間で葛藤する声もあります。また、「このタイミング、このボトルでしか飲まない」といったルーティンへのこだわりが影響するケースもあります。
息子は自閉症で3歳です。
去年あたりから水を嫌いになってしまって、
基本的な水分がジュースやスープで困っています。
今では、唇にちょんとつける程度です。
これもこだわりなのでしょうか?
食事や水分補給として、まず水を出すのですが
飲んでくれません。その後しぶしぶジュースを出してます。このやり方が甘いのかと思って、
ジュースを徹底的にやめて、泣こうが騒ごうか水しかない!!とやってみても、夜まで本当に飲まなくて…脱水症状になるし、今日は熱中症になりました。
どうしたら水を飲めるのか、
または飲めないこだわりもあるのか?知りたいです。
家では、
レモン汁を入れたり、氷を入れてみたり、ストローをかわいくしたり、コップをかわいくしたり試してきました。スプーンひとさじも嫌がります。
かき氷のシロップ抜きは少し食べてくれます。
3. 体調不良のサインを周囲に伝えない(伝えられない)
「アレがしたい、コレが欲しい」という意思表示は激しい一方、「お腹が痛い」「だるい」といった体調不良のサインを周囲に伝えない(気づけない)ケースです。背景に自身の体調変化への鈍麻さが隠れている場合があり、保護者が気づいたときには点滴が必要なレベルまで悪化していたという事例も寄せられています。
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4. 夏の長袖・お気に入りの服への執着(感覚過敏・こだわり)
感覚の感じ方のばらつきや、特定の衣服への安心感から、「真夏でも長袖やお気に入りの服しか着たがらない」という事例です。季節外れの服装による「うつ熱(体内に熱がこもること)」のリスクと、本人のこだわりやパニックとのバランスに頭を悩ませる保護者の方が多いようです。
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なぜ一般的な対策が通用しないの?小児科医・藤井明子先生に聞く
こうしたリスクに対し、子どもたちの発達と健康に詳しい「どんぐり発達クリニック」院長の藤井明子先生に、特性を踏まえた背景についてお話を伺いました。
身体のサインへの気づきにくさや、感覚特性が影響することも
「発達障害のあるお子さんでは、一般的な熱中症対策だけでは十分でないことがあると感じます。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)のお子さんの中には、『暑い』『のどが渇いた』『疲れた』といった身体からのサインに気づきにくい場合があります。
また、水筒の水の味や温度にこだわりがあったり、帽子や冷却グッズを嫌がったりする感覚特性から、周囲が勧める対策を受け入れにくいこともあります。さらに、好きな遊びや活動に集中(過集中)すると、水分補給や休憩を後回しにしてしまうことも少なくありません。加えて、発達障害のお子さんでは自律神経機能の違いが指摘されており、体温調節や暑さへの適応に影響している可能性も報告されています。
そのため、『のどが渇いたら飲もう』ではなく、大人が時間を決めて水分補給を促したり、休憩のタイミングを具体的に示したりする工夫が大切です」
また、水筒の水の味や温度にこだわりがあったり、帽子や冷却グッズを嫌がったりする感覚特性から、周囲が勧める対策を受け入れにくいこともあります。さらに、好きな遊びや活動に集中(過集中)すると、水分補給や休憩を後回しにしてしまうことも少なくありません。加えて、発達障害のお子さんでは自律神経機能の違いが指摘されており、体温調節や暑さへの適応に影響している可能性も報告されています。
そのため、『のどが渇いたら飲もう』ではなく、大人が時間を決めて水分補給を促したり、休憩のタイミングを具体的に示したりする工夫が大切です」
本人の「大丈夫」に頼らない!家庭でできる3つの「安心な仕組み」
藤井先生によると、熱中症対策において最も重要なのは、本人の自己申告(「大丈夫」「喉は渇いていない」など)だけに頼らず、大人が「仕組み」として先回りすることだと言います。家庭で取り入れられる具体的なサポートアイデアをご紹介します。
1. 水分の可視化とリマインダーで「ルール化」する
「1時間ごとにタイマーを鳴らす」「ボトルに目盛りをつけて視覚的に量を伝える」「学校に行っている間に水筒の水をここまで飲み切る」など、水分補給のタイミングや量をルール化して促します。
どうしても水を嫌がる場合は、かき氷(シロップなし)やゼリーなど、本人が受け入れやすい形態で水分をとれるよう工夫することも有効です。
どうしても水を嫌がる場合は、かき氷(シロップなし)やゼリーなど、本人が受け入れやすい形態で水分をとれるよう工夫することも有効です。
2. 服装は安心感と涼しさを両立させる工夫を
長袖への強いこだわりがある場合は、無理に半袖にさせようとするとパニックに繋がることも。本人が納得する肌触りの「接触冷感素材」や「通気性の高いメッシュ素材」の長袖を一緒に選ぶなど、安心感と暑さ対策を両立させましょう。
また、クローゼットにはあらかじめ「その季節に合った服(夏服)」だけを入れておき、子どもが迷ったり執着したりしないよう、大人が選択肢をはじめから調整しておく工夫も効果的です。
また、クローゼットにはあらかじめ「その季節に合った服(夏服)」だけを入れておき、子どもが迷ったり執着したりしないよう、大人が選択肢をはじめから調整しておく工夫も効果的です。
3. 周囲の大人が「客観的なサイン」を観察・ルーティン化する
自分で体調の変化を伝えられない、あるいは気づけないお子さんの場合は、大人が客観的な指標でチェックしてあげましょう。
- おでこや背中の汗の量
- 顔の赤み
- 排尿の回数や色