特別支援学校を卒業後に直面する支援の切れ目。18歳以降もわが子に伴走してくれる相談支援事業所を選ぶ大切さ
ライター:立石美津子
障害のある子どもが成長し、学校を卒業したあとも安心して暮らしていくために大切な「相談支援専門員」とのつながり。25歳になった知的障害(知的発達症)を伴うASD(自閉スペクトラム症)の息子を育てる中で感じた、成人後も長く伴走してくれる支援者と出会う大切さや、新しい土地でサポートを築くための工夫をお伝えします。
監修: 渡部伸
行政書士
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
慶應義塾大学法学部卒後、出版社勤務を経て、行政書士、社会保険労務士、2級ファイナンシャルプランニング技能士などの資格を取得。現在、渡部行政書士社労士事務所代表。自身も知的障害の子どもを持ち、知的障害の子どもをもつ親に向けて「親なきあと」相談室を主宰。著作、講演など幅広く活動中。
親なきあと相談室主宰
社会保険労務士
大切だと思う相談支援専門員とのつながり
転勤の多いご家庭で障害のあるお子さんを育てている場合、大きな負担となるのが、「支援体制を何度も一から作り直さなければならないこと」です。
療育手帳や受給者証の手続き、放課後等デイサービス探し、病院探し、相談支援事業所との契約など、新しい土地へ引っ越すたびに、すべてゼロからのスタートになります。
ようやく地域のことが分かり、信頼できる相談支援専門員や事業所、病院とのつながりができた頃には、また転勤で別の土地へ行かなければならない。その繰り返しです。
この苦労は、転勤のないご家庭にはなかなか想像できないものだと思います。残念ながら、この問題に「こうすれば解決する」という万能な答えはありません。新しい地域へ行ったら、その土地でまた一から支援体制を築いていくしかないのが現実です。
その中でも、私が最も大切だと思うのが「相談支援専門員とのつながり」です。現在、全国的に相談支援専門員は不足しており、利用したくても担当してもらえない地域も少なくありません。しかし、それでも諦めずに探し続けることが大切です。
療育手帳や受給者証の手続き、放課後等デイサービス探し、病院探し、相談支援事業所との契約など、新しい土地へ引っ越すたびに、すべてゼロからのスタートになります。
ようやく地域のことが分かり、信頼できる相談支援専門員や事業所、病院とのつながりができた頃には、また転勤で別の土地へ行かなければならない。その繰り返しです。
この苦労は、転勤のないご家庭にはなかなか想像できないものだと思います。残念ながら、この問題に「こうすれば解決する」という万能な答えはありません。新しい地域へ行ったら、その土地でまた一から支援体制を築いていくしかないのが現実です。
その中でも、私が最も大切だと思うのが「相談支援専門員とのつながり」です。現在、全国的に相談支援専門員は不足しており、利用したくても担当してもらえない地域も少なくありません。しかし、それでも諦めずに探し続けることが大切です。
成人後も伴走してくれる事業所を選ぶ
なぜなら、本当に相談支援専門員の存在が必要になるのは、お子さんが18歳を過ぎ、学校を卒業してからだからです。18歳までは、何か困ったことがあれば学校へ相談できます。特別支援学校の先生方は福祉制度にも詳しく、関係機関との連携も取ってくれます。
ところが卒業すると、その支援は一気になくなります。「学校がある」ということが、どれほど大きな支えだったのかを、多くの保護者が卒業後に実感します。「特別支援学校時代は、良い意味で親である私たちの方が『過保護』にされていた」と多くの保護者が口にします。
さて、学校を卒業した後は、生活の中心が福祉サービスへ移ります。
「就職先を探したい」
「今通っている事業所が合わないので別の事業所へ移りたい」
「グループホームを探したい」
「利用できる福祉サービスについて知りたい」
そんなときに相談に乗り、必要な機関へつないでくれるのが相談支援専門員です。介護の世界でいうケアマネジャーのような存在と考えると分かりやすいでしょう。本人や家族の希望を聞きながらサービス等利用計画を作成し、さまざまな福祉サービスとの橋渡しをしてくれる重要な存在です。
わが家の場合は、息子が6歳から18歳まで利用していた放課後等デイサービスを運営する事業所が、相談支援事業所も併設していました。そのため、6歳から現在25歳になるまで、ずっと同じ事業所にお世話になっています。途中で相談支援専門員は退職などにより何度か交代しましたが、事業所が変わらなかったため、子どもの成長や特性を継続して理解してもらえていることは、とても大きな安心につながっています。
この経験から、相談支援事業所を探す際には、「子どもだけでなく成人後も継続して支援してくれる事業所なのか」を確認しておくことをおすすめします。
というのも、18歳までを対象とした障害児相談支援だけを行っている事業所の場合、高等部卒業と同時に契約が終了し、新たに成人を対象とする相談支援事業所を探さなければならないケースがあるからです。
せっかく長年かけて築いた信頼関係や、お子さんの特性を理解してくれている担当者とのつながりが途切れてしまうのは、ご家族にとって大きな負担になります。
もちろん、地域によっては選択肢が少なく、希望どおりの事業所を選べないこともあります。しかし、もし選べる状況であれば、「18歳以降も継続して担当してもらえるか」という視点を持って相談支援事業所を選ぶことは、お子さんの将来を考えるうえで非常に大切だと思います。
ところが卒業すると、その支援は一気になくなります。「学校がある」ということが、どれほど大きな支えだったのかを、多くの保護者が卒業後に実感します。「特別支援学校時代は、良い意味で親である私たちの方が『過保護』にされていた」と多くの保護者が口にします。
さて、学校を卒業した後は、生活の中心が福祉サービスへ移ります。
「就職先を探したい」
「今通っている事業所が合わないので別の事業所へ移りたい」
「グループホームを探したい」
「利用できる福祉サービスについて知りたい」
そんなときに相談に乗り、必要な機関へつないでくれるのが相談支援専門員です。介護の世界でいうケアマネジャーのような存在と考えると分かりやすいでしょう。本人や家族の希望を聞きながらサービス等利用計画を作成し、さまざまな福祉サービスとの橋渡しをしてくれる重要な存在です。
わが家の場合は、息子が6歳から18歳まで利用していた放課後等デイサービスを運営する事業所が、相談支援事業所も併設していました。そのため、6歳から現在25歳になるまで、ずっと同じ事業所にお世話になっています。途中で相談支援専門員は退職などにより何度か交代しましたが、事業所が変わらなかったため、子どもの成長や特性を継続して理解してもらえていることは、とても大きな安心につながっています。
この経験から、相談支援事業所を探す際には、「子どもだけでなく成人後も継続して支援してくれる事業所なのか」を確認しておくことをおすすめします。
というのも、18歳までを対象とした障害児相談支援だけを行っている事業所の場合、高等部卒業と同時に契約が終了し、新たに成人を対象とする相談支援事業所を探さなければならないケースがあるからです。
せっかく長年かけて築いた信頼関係や、お子さんの特性を理解してくれている担当者とのつながりが途切れてしまうのは、ご家族にとって大きな負担になります。
もちろん、地域によっては選択肢が少なく、希望どおりの事業所を選べないこともあります。しかし、もし選べる状況であれば、「18歳以降も継続して担当してもらえるか」という視点を持って相談支援事業所を選ぶことは、お子さんの将来を考えるうえで非常に大切だと思います。
新しい地域で支援とつながるための2つのアプローチ
だからこそ、私は「相談支援専門員とのつながりは必ずつくっておいたほうがいい」と考えています。
転勤で引っ越しを繰り返すご家庭は、そのたびに新しい地域で相談支援事業所を探さなければなりません。都市部であれば事業所の数も比較的多く、選択肢があります。
一方、地方では相談支援事業所や放課後等デイサービスそのものが少なく、相談支援専門員も不足しているため、担当してもらえるまで何か月も待つことも珍しくありません。
だからこそ、新しい土地へ引っ越したら、できるだけ早く自治体の障害福祉課へ相談に行くことが大切です。一度相談して終わりではなく、必要であれば何度でも足を運びましょう。
「相談支援専門員を探しています」
「利用できる事業所はありませんか」
「空きが出たら連絡をいただけませんか」
遠慮せず、積極的にお願いしてください。待っているだけでは、なかなか状況は変わりません。
また、その地域の親の会や保護者同士の集まり、学校のPTAなどに参加することもおすすめです。行政では得られない情報を、実際にその地域で生活している保護者から教えてもらえることがあります。
「あそこの事業所は評判がいい」
「もうすぐ空きが出るらしい」
「この相談支援専門員は親身になってくれる」
さらに、「子どもが18歳を過ぎても、そのまま継続して担当してもらえる事業所なのか」という情報も、先輩保護者から聞けることがあります。こうした生きた情報は、地域のつながりの中から入ってくることが少なくありません。
転勤族のご家庭は、本当にご苦労が多いと思います。それでも、受け身で待つのではなく、自ら情報を集め、人とつながり、支援を求めていく姿勢が何より大切です。少し図々しいと思うくらい積極的に動いてちょうどいいのです。
障害児支援は、「知っている人が得をする世界」と言われることがあります。制度があっても、知らなければ利用できません。支援があっても、つながらなければ受けられません。
だからこそ、新しい土地では一日でも早く地域とのつながりを作り、相談できる人を見つけることが、お子さんの将来を支える大きな力になります。
転勤は避けられなくても、その土地で信頼できる支援者とのご縁を一つひとつ積み重ねていくことが、結果としてお子さんとご家族の安心につながっていくと思います。
執筆/立石美津子
転勤で引っ越しを繰り返すご家庭は、そのたびに新しい地域で相談支援事業所を探さなければなりません。都市部であれば事業所の数も比較的多く、選択肢があります。
一方、地方では相談支援事業所や放課後等デイサービスそのものが少なく、相談支援専門員も不足しているため、担当してもらえるまで何か月も待つことも珍しくありません。
だからこそ、新しい土地へ引っ越したら、できるだけ早く自治体の障害福祉課へ相談に行くことが大切です。一度相談して終わりではなく、必要であれば何度でも足を運びましょう。
「相談支援専門員を探しています」
「利用できる事業所はありませんか」
「空きが出たら連絡をいただけませんか」
遠慮せず、積極的にお願いしてください。待っているだけでは、なかなか状況は変わりません。
また、その地域の親の会や保護者同士の集まり、学校のPTAなどに参加することもおすすめです。行政では得られない情報を、実際にその地域で生活している保護者から教えてもらえることがあります。
「あそこの事業所は評判がいい」
「もうすぐ空きが出るらしい」
「この相談支援専門員は親身になってくれる」
さらに、「子どもが18歳を過ぎても、そのまま継続して担当してもらえる事業所なのか」という情報も、先輩保護者から聞けることがあります。こうした生きた情報は、地域のつながりの中から入ってくることが少なくありません。
転勤族のご家庭は、本当にご苦労が多いと思います。それでも、受け身で待つのではなく、自ら情報を集め、人とつながり、支援を求めていく姿勢が何より大切です。少し図々しいと思うくらい積極的に動いてちょうどいいのです。
障害児支援は、「知っている人が得をする世界」と言われることがあります。制度があっても、知らなければ利用できません。支援があっても、つながらなければ受けられません。
だからこそ、新しい土地では一日でも早く地域とのつながりを作り、相談できる人を見つけることが、お子さんの将来を支える大きな力になります。
転勤は避けられなくても、その土地で信頼できる支援者とのご縁を一つひとつ積み重ねていくことが、結果としてお子さんとご家族の安心につながっていくと思います。
執筆/立石美津子
専門家コメント 渡部 伸先生(行政書士・親なきあと相談室主宰・社会保険労務士)
立石さん、とても大切なご指摘ありがとうございます。障害者相談支援法が定める福祉サービスを利用するためには、「サービス等利用計画」が必要になります。この計画は自分でつくることもできますが(セルフプラン)、専門の事業者に依頼することで、福祉サービスに詳しい相談支援員に現在の状況や希望などを伝え、どんな支援が必要かアドバイスを受けながら、作成することかできます。この事業が計画相談支援です。
日々の生活の中では、相談支援事業者の必要性を感じる機会は少ないかもしれませんが、グループホームを探す、通所施設を変更するなど、ライフスタイルの変化が必要になったときには、とても頼りになる存在です。また、定期的にアセスメントを行い継続的に支援してくれるので、障害者の「親なきあと」の生活を支える重要な役割を担う可能性があります。
現在セルフプランで計画作成している、就労していてあまり福祉サービスを使っていないといった理由で、相談支援事業者と契約していないという方もいらっしゃいますが、立石さんのおっしゃる通り、本人の将来を支えてくれる大切な事業です。できるだけ早めにつながるようにしてください。(監修:行政書士・親なきあと相談室主宰・社会保険労務士 渡部 伸先生)
日々の生活の中では、相談支援事業者の必要性を感じる機会は少ないかもしれませんが、グループホームを探す、通所施設を変更するなど、ライフスタイルの変化が必要になったときには、とても頼りになる存在です。また、定期的にアセスメントを行い継続的に支援してくれるので、障害者の「親なきあと」の生活を支える重要な役割を担う可能性があります。
現在セルフプランで計画作成している、就労していてあまり福祉サービスを使っていないといった理由で、相談支援事業者と契約していないという方もいらっしゃいますが、立石さんのおっしゃる通り、本人の将来を支えてくれる大切な事業です。できるだけ早めにつながるようにしてください。(監修:行政書士・親なきあと相談室主宰・社会保険労務士 渡部 伸先生)
このコラムの著者親子がモデルの本
発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年 (中公文庫)
中央公論新社
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立石流 子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方
すばる舎
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動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな
小学館
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育ててわかった 発達障害の子の就学・就労・自立の話
第三文明社
Amazonで詳しく見る
じゅもんで おぼえる ひらがなブック
高橋書店
Amazonで詳しく見る
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
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