ダウン症の子どもの接し方は?子育ての困難と対処法まとめ 

2016/01/18 更新
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お子さんがダウン症の場合、どう接していくべきでしょうか?何か注意しなくてはいけないことや、工夫しなくてはいけない点はあるのでしょうか。今回はダウン症の子の子育ての困難もふまえながら、それらに対する対処法も紹介していきます。

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ダウン症の子どもの生活での困難

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ダウン症とは、染色体が通常より1本多いことが原因で起こる障害です。21番目の染色体が1本多いタイプが大半であるため、「21トリソミー」と呼ばれることもあります。

ここではダウン症のお子さんを持つ親が立ち向かうことの多いとされる困難を「乳児期」、「幼児期」、「児童期以降」の3つの期間に分けてご紹介します。
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乳児期

障害のあるなしに関わらず、幼児は免疫がまだついておらず抵抗力が未発達のため、病気にかかりやすいです。さらにダウン症の子は合併症を持って生まれてくることが多いので、より注意しなくてはいけません。ただし全てのダウン症の幼児の体が弱いというわけでなく、健康体である子もいます。

ダウン症のお子さんが生まれてすぐに生じる困難が授乳です。筋肉量が少ないため、母乳やミルクを上手に吸って飲むことがあまりできません。また、同じく筋肉量が少ないという理由であまり泣けず、空腹に気づくことが難しくなります。

対処法としては、母乳より哺乳瓶の方が力を使わず飲めるため、哺乳瓶を使った授乳のみ、もしくは混合にしてあげるといいでしょう。また、哺乳瓶の穴の大きさがより大きいものを選び、少しでもミルクを飲みやすいようにしてあげるといいかもしれません。よだれ症の予防のために、母乳を推奨してくる医師もいます。まめに体調や状態をチェックし、時間をかけてゆっくり飲ませてあげるといいでしょう。

幼児期

自我が芽生えてくると、こだわりが強く頑固なために言うことを聞いてくれないということに直面することがあります。これは意志の強さやこだわりの表れです。例えば決まった服しか着なかったり、同じ道順を歩きたがったりします。家に帰ったらすぐに玄関で靴下をぬぐ、など周りから見るととても些細なことと感じますが、本人は信念として貫いている事なので、指摘しすぎるとあまり良くありません。

時には大変な事もあると思いますが、なるべく暖かく見守り、付き合ってあげる事が大切です。

また、この時期には知的発達の遅れも見られ始めます。言葉が出るのが遅い、他の子よりものんびりしている、などダウン症の子は乳児期には知的発達に数ヶ月の遅れが見られると言います。障害が軽度であれば個性の範疇と感じる方もいます。

しかし、成長するにつれ精神の発達の遅れが大きくなり、大体7~8歳程度の知能で停滞します。漠然とした話は理解する事が難しく、独り言が多いです。短期記憶は苦手ですが、長期記憶は非常に良く一度覚えたことに執着する場合もあります。

児童期以降

小学校に入学すると、授業についていくことが難しいという壁にぶつかることが多いです。ダウン症の子は、耳から理解する能力が比較的弱く、話を集中して聴く事が苦手です。集団の中での一斉の指示を理解する事が難しく動作も遅めな傾向があるため、通常のクラスでの授業についていく事が困難になります。

小学校までは、症状が軽度であれば普通学級でも楽しく学べるケースもあります。しかし、中学、高校と進むにつれ、特別支援学級や特別支援学校を選択するケースが多く見られるようになります。

また、どの期間においても言えることですが、生まれた時には特になくても、成長段階で二次障害になる可能性があります。適切な治療やサポートを受けられない場合、思春期以降にダウン症の主症状とは異なる症状や状態を引き起こしてしまうことがあります。このような症状や状態を、一般的には「二次障害」と言うことがあります。

注意すべき症状・状態には以下のようなものがあります。
・うつ病
・不安障害
・不登校やひきこもり
・アルコールなどの依存症
など

このような症状や状態が現れた場合には医療機関をあたり、適切な処置を早急に学びましょう。二次障害は上で述べたように心的要因からかかることが多いです。普段から本人が生きづらさを感じない環境を整えることで、二次障害にかかる可能性は大きく減ります。そのため周囲の人々は本人の気持ちを考えながら日々接することを意識づけましょう。これらの二次障害に対する治療の一つとしては、心理療法である認知行動療法の有効性が示されています。

ダウン症の子どもへの接し方は?子育てのコツ8選

では、ダウン症のお子さんの子育ての場合、どのような点に気をつければいいでしょうか?注意すべき点を9つ紹介したいと思います。

家での接し方のコツ

◇言葉で詳しく説明し、じっくり付き合う
ダウン症の子も反抗期がきます。最初の反抗期、「魔の2歳児」と呼ばれる時期は、自分の思いを伝えるだけの言語能力が発達していない事から起こると言われています。ダウン症の子は脳の発達、言語の発達ともに緩やかなため、3歳頃から始まり、長く続くケースが多いようです。言葉で説明し、じっくり付き合ってあげるといいでしょう。

◇こだわりを否定しない
こだわりが強く、頑固な面がありますが、それを否定するようなことはしないようにしましょう。決まった場所で決まった服を着る、決まった場所に決まったおもちゃをしまう。大人からすると些細なことではありますが、これらは本人にとってはとても大切なことなのです。

◇個性を伸ばす
ダウン症の子も他の子達と同じように、個性が大きく違います。こういう症状があればこう育てた方が良いという事はありますが、基本的には個人個人によって育て方は大きく違ってきます。筋力量が少なかったり心臓の持病を併発していれば、通常の運動はさせられません。逆に筋力が多めで持病が何もなく、知的障害も軽度であれば通常とほぼ変わらない生活ができます。中には不得意だったりできないこともありますが、その分好きなことや得意なことを伸ばせるようにしてあげましょう。

学校・学びごとに関するコツ

◇日常生活に結びつけて学ぶ
勉強によって得た知識や技術が、短編的になりやすいのが特徴です。せっかく覚えたことも、実際の生活上で応用する事が難しく、また、抽象的な説明を理解する事も難しいため、実生活での体験を伴う具体的な学習が必要になります。一般的な勉強を無理強いする事よりも、日常生活で必要な勉強をさせる事も考えてみるといいかもしれません。

◇子どもの発達に合わせた学習を受ける
通常学級ですとなかなか難しいところですが、各教科を並列的に学習するよりも、子どもの心身の発達段階や障害の程度によって学習内容を決める事も大切です。そのため、通常の学習よりも、子どもの実際の生活に役立つ知識や技術、それらを有用に活用する力を身に着けられるようにするべきです。また、社会的自立に必要な基礎力を身に着ける学習をするのもよいとされています。

友人関係のコツ

◇理解してくれる友達をつくる
知的な遅れがある子どもが最初につまずくのは、小学4年生から5年生頃が多いようです。重度の知的障害があれば、最初から特別支援学級や特別支援学校に通わせるケースが多いと思いますが、軽度であれば通常学級で勉強するケースもあります。しかし、徐々に遅れ始め、高校くらいから通常の授業についていく事が困難になっていくようです。

そういう時に大切なのは、その子のことを理解してくれる友だちです。障害があるから、という線引ではなく、その子自身の気持ちや特性を理解してくれる友人を作ることが大切です。

◇療育に通う
同じ環境の友達を作る最初のきっかけにもなるのが療育です。また、我が子の障害の程度も分かりますし、どう育てたらいいか、どのような学習が必要か等も考える良い機会となります。

また、家では何もできないと思っていたのが、療育では元気に様々な活動に積極的に取り掛かるので驚いたという話も聞きます。子どもの個性に合わせた学習の仕方を、ぜひ療育で学んでください。

◇親自身が楽しくストレスフリーに生活する
ダウン症の子はひとの気持ちを汲み、思いやりに富み、とても感受性豊かです。親がイライラしていたり、ストレスを感じているとすぐに感づいて不安になってしまいます。

マンツーマンで育児をしていては息が詰まってしまいますから、親にも同じ環境の友達をつくりましょう。療育には同じ環境の親がたくさんいます。ぜひ、自分自身のコミュニケーションの時間としても療育を活用してください。

ダウン症の子どもに接する際に注意するべきこと

ダウン症の子どもと接する際に、周りが気をつけるべき点を4つ紹介します。

1.こだわりの行動を否定しない

ダウン症の子どもは、決まった行動をとりたがります。例えば、学校の帰りはこの道を通るとか、帰宅したらすぐに靴下を脱ぐなどです。

その行動には一見意味がなさそうに見えたり、親からすると面倒くさくなったりしますが、本人にとってはとても大切なことですので、暖かく見守ってあげましょう。

2.成長はゆっくり。焦らないこと

周りの子ができるようになったことが、なかなかできないと親は焦ってしまいがちです。健常児の首すわりが4ヶ月頃とすると、ダウン症の子は6ヶ月以上かかる事もあるみたいです。でもそれもダウン症の子の特徴の一つです。焦らず見守りましょう。

3.分かりやすく伝えてあげる

ダウン症の子どもは、耳から理解すること、聞いたことを覚えてそのまま伝える事が難しいと言われています。また、抽象的な説明も理解しづらいようです。

特に小さな子どもに対してははっきり、ゆっくり、大きな声で、分かりやすい内容で話す事を心がけてあげましょう。

4.好きなことをさせてあげる

趣味や大切にしている時間をゆっくり過ごさせてあげる事も大切です。ダウン症の子は感受性が強く、ストレスを感じやすい部分があります。そのため、絵を描いたり、歌を歌ったりなど、本人が好きな活動を積極的にさせてあげましょう。

ペースを乱さず、温かく見守ってあげましょう

ダウン症の子どもは、周りの雰囲気に敏感で感受性が強く、人にたいする深い思いやりがあることが共通していると言われています。心配事があるのを隠して笑顔でいたのに「大丈夫?心配しないで」と言われて驚いた、などという話はよく聞きます。

サービス精神も旺盛で、自分が嫌な気持ちになっても我慢し、にこにこして辛さをあらわさない事もあります。そのため、ストレスをためてしまいがちです。また、自分のペースやパターンがあるので、それを崩すようなことはしない事が大切です。いつもと違う事が起こると、それに対処できなくなってパニックになってしまったりします。

周りの人は穏やかな気持ちで、ダウン症の子たちのペースを乱さないよう接してあげるといいでしょう。
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