数年前、父が死ぬ間際になってはじめて、僕の子育てをしているときの父と母の関係、母の心情を知ったが、その時の僕には知る由もない。
あの頃の僕は、見た目には身体も大きく、態度もキカナそうに見えたけれど、気が弱かったと思う。僕が行っていた保育園は、別の地域の保育園で、近所の子はあまりいなかった。だから、友だちに気を遣い、合わせていたという記憶がある。
今までの人生の中で、嘘をついたことは、結構ある。
そして、記憶の中にある最初の嘘が、この5歳の時の嘘だ。
保育園の先生についた嘘。そして、母に問いつめられて何て答えたかは覚えていない。母にも最初は嘘をついたのか、それとも正直に白状したのか……。
保育園の先生にどうして嘘をついてしまったのか、やっぱり、はっきり思い出せない。ただ、友だちとのやりとりで、何かあったように思う。自分も持ってこなかったと言わざるを得なかった何かが……。お金を持ってこなかった友だちといっしょに、お金を持ってこなかった人の列に並んだのかもしれない。
先生に優しく聞かれて、涙が出たような記憶もある。
…… 次回に続く ……
◆但田たかゆき
②【嘘をつくということ~5歳の時に僕がついた嘘】〜その2
教室の毎日
23/02/22 00:25