【一人ひとりへのていねいな関わりとは】【箱庭】
★8月上旬に、ある女の子に「箱庭」を行っています。
そして、その子は、「箱庭」に今の心情をそのまま素直に表現してくれています。
今まで、自分が憩える場所、楽しく過ごせる場所をずっと求めて、歩き続けて来たけれど、今ようやく、それが見つかって、
今、その場所で笑顔で過ごしている風景です。
今、彼女は世界の中心(箱庭の真ん中)にいて、大人に守られ愛されていると感じているようです。
★過去の自分3人も箱庭に置いています。
・過去の自分3人は、縦1列に並んで、右上の空間の現実的な夢や願いや目標に向かって歩いています。
★そして、現在の自分は、箱庭の中心に立ち、その近くに2軒の家があります。
「これは誰の家かな?」と聞くと、
「□□と◇◇」と、6月末からこぱんと並行して通い始めた2つの児童デイの名前を挙げます。
その2つの家は、木や花に囲まれ、その敷地の右下隅には、武器を持った兵士が立っています。
「ここに兵士がいるけど、どうしてかな?」
「〇〇のこと、守ってくれてるのかな?」と聞くと、
「〇〇に話しかけてくれたり、遊んでくれたりする」と答えます。
▼ただ、もしかして、その2つの児童デイの人たちには、まだ、完全に心を開き、心を許せていないのかもしれません。
「自分の本当の姿を見せたら、嫌われたり、攻撃されたりするのでは?」
という不安や恐れを抱いているのかもしれません。
というのも、この2人の兵士は、敷地の中の方を向き、自分と向き合っているからです。
銃は自分の方に向けられていなくて、横にして持っている状態ですが、
「いつ銃を構えられて、自分に向けられるかわからない」という不安がありそうです。
人は、心地よさや愛を感じれば感じるほど、それを失いたくありません。
また、不安になります。
「これがずっと続くのだろうか?』
「私は愛される価値のある存在なんだろうか?」
「本当の私を知られたら、みんな嫌うんじゃないだろうか?」
などと思い、自分の実態を隠そうとします。
嫌われたくないし、愛を失いたくないからです。
★感受性が高く、人の雰囲気や人の表情や心の動きに敏感な◯◯ちゃんが、
とてもうれしそうに、やさしい笑顔で、帰りの送迎時の車の中で、助手席から僕に話してくれた言葉があります。
※「□□の先生はね、みんな優しくて、◯◯が行くと、一人ずつ、◯◯のところに来てくれて、笑顔で挨拶して、話しかけてくれるんだよ」
と言います。
★◯◯ちゃんがこぱんはうすさくら以外の児童デイサービスに出会え、そこに自分の居場所を見つけられたことがとても嬉しい気持ちと、
同時に、僕自身、◯◯ちゃんの言葉に反省させられました。
★僕は、〇〇ちゃんを初めとして、こぱんの子どもたち一人ひとりに、ていねいに寄り添い、向き合い、心を汲み取ることができていたか?
何十人の中の一人ということで、おざなりの関わりをしてしまったことはなかったか?
と…
★そして、そのことを、送迎の車に添乗していたスタッフに話し、翌朝のミーティングで他のスタッフにも話しています。
さらに、数日後に、こぱんの全体LINEに、
こんなメッセージを送り、共有を図っています。
…
「先日のミーティングでも話しましたが、
スタッフの方一人ひとりが、それぞれが、一人ひとりの子どもの傍に行って、笑顔で優しく声をかけましょう☺
それが子どもとのラポート(信頼関係)を作るための基礎です。
よろしくお願いします。 ただ」
※なお、先日、〇〇ちゃんのお母さんと自宅の送迎の時に話をする機会がありました。
〇〇ちゃんは、児童デイ「□□」の利用の後は、とても嬉しそうな笑顔、満足した表情で帰ってくるそうです。
ただ、かなり疲れもあるようです。今まで、こぱんから帰ってきた時には見たことがないほど、疲れ切っている感じがあるようです。
※その話をお母さんの側で聞いていた〇〇ちゃんは、
「だって、先生やみんなに変に思われたくない」と言います。
※こぱんでは、もう1年ほど生活し、素のままの〇〇ちゃんを出していますから、
「こぱんのように、いつもの〇〇を出せばいいんだよ」と〇〇ちゃんに話しかけますが、
「でも……」言います。
◆彼女のその気持ちは、とてもよく分かります。
今が幸せであればあるほど、それを失うことへの不安が強くなります。
「本当の自分を出して、嫌われれたらどうしよう…」
「この心地よさ、幸せな場所や先生や友達を失いたくない」
と思います。
だから、周りに気を配り、人に気を遣い、時に多少つらいことがあっても我慢しているのだと思います。
だから、家に帰るとどっと疲れが出てしまうんだと思います。ただ、心地よい疲れのように思います。
「大丈夫だよ。〇〇がこぱんで出しているそのままの姿を見せても、□□の先生方は、笑顔で受け止めてくれるし、ありのままの〇〇を出してくれた方が嬉しいと感じると思うよ」
と言うと、「そうかなあ…」とは言いますが、まだ、決心はつかないようです。
★「箱庭のことや今日〇〇が話してくれたことを、□□の先生に伝えたいと思うけどいいかな?」と聞くと、
「えー?!」「恥ずかしいよおー」と言いますが、拒否はしません。
「□□の先生にも、〇〇のことを沢山知ってもらいたいから、ただ先生は伝えるね」と言って、玄関でバイバイと手を振って別れています。
とても柔らかで、幼児さんのような可愛い笑顔です。
◆但田たかゆき
【一人ひとりへのていねいな関わりとは】【箱庭】
教室の毎日
23/08/18 23:04