こんにちは、発達支援Laboランプです。
ここでは、定期的に療育支援に関連するテーマについて、理論的な背景と合わせて発信をしています。
今回のテーマは「自分自身の『属性』や『形質』の大切さ」です。
発達支援に携わる者として、支援の質を高めるためには、支援対象者への理解だけでなく、自分自身の「属性」や「形質」についての深い理解が欠かせません。支援者としての「属性」や「形質」は、私たちがどのように支援を行い、どのように他者と関わるかに大きな影響を与えます。それは、支援者が持つ価値観や信念、経験、そしてコミュニケーションスタイルが、支援対象者にどのように伝わり、影響を与えるかを左右する要因となります。
この「属性」や「形質」の理解を深めるために、心理学的なフレームワークである「ジョハリの窓」を活用することが非常に有効です。ジョハリの窓は、自己認識と他者認識の関係性を四つの領域に分けて考えるツールで、内省と自己覚知を促進する手助けとなります。
1. 開放の窓(Open Area)
開放の窓とは、自分も他者も知っている「自己」の部分を指します。この領域が広がるほど、支援者と支援を受ける側の間に透明性と信頼が生まれます。たとえば、支援者が自分の専門知識や経験、価値観をオープンにすることで、支援対象者やその家族は安心感を持ち、より積極的に支援を受け入れることができます。自己開示が進むことで、この開放の窓が拡大し、双方のコミュニケーションが円滑になるのです。
2. 盲点の窓(Blind Area)
盲点の窓は、自分では気づいていないが、他者には見えている部分です。たとえば、支援者が無意識のうちに行っている言動が、支援対象者に不快感を与えていることに気づかないことがあります。こうした盲点を減らすためには、フィードバックを積極的に受け入れる姿勢が不可欠です。支援者同士のミーティングやスーパービジョンを活用し、自分の盲点に気づき、それを修正することで、支援の質を向上させることができます。
3. 隠蔽の窓(Hidden Area)
隠蔽の窓は、自分は知っているが、他者には隠している部分です。支援者として、全てをオープンにする必要はありませんが、適切なタイミングで自己開示を行うことで、信頼関係を深めることができます。たとえば、自分自身の過去の経験が支援対象者の状況と重なる場合、その経験を共有することで、相手に「共感」を示すことができます。しかし、この領域をどう扱うかは慎重であるべきです。開示する内容やタイミングを誤ると、逆に支援関係を損なうリスクもあります。
4. 未知の窓(Unknown Area)
未知の窓は、自分も他者も知らない部分です。この領域は、私たちが新しい経験や挑戦に取り組むことで開拓されます。支援者としても、自己成長の機会を常に求め、新しいスキルや知識を身につけることが重要です。内省を通じて、自分が未だ発見していない強みや弱みを見つけることで、未知の窓を縮小し、新たな支援のアプローチを模索することができます。
内省と自己覚知の重要性
ジョハリの窓を活用する際には、内省と自己覚知が欠かせません。内省とは、自分自身の行動や思考を振り返り、そこから学びを得るプロセスです。自己覚知は、内省を通じて得られた自己に対する深い理解を指します。支援者が自己覚知を深めることで、自分の「属性」や「形質」が支援にどのように影響を与えているかを理解し、より効果的な支援を提供できるようになります。
たとえば、ある支援者が「自分は常に冷静で理論的である」という自己認識を持っている場合、内省を通じて、実際には感情的な反応を示す場面があることに気づくかもしれません。このような気づきを通じて、自己覚知が深まり、支援者としての対応がより柔軟で適切なものになるのです。
支援における自分自身の「属性」や「形質」を理解し、それを支援に活かすことは、支援者としての成長と支援の質の向上に直結します。ジョハリの窓というフレームワークを通じて、自己を深く見つめ、他者との関係性を再評価することで、支援者としての新たな一歩を踏み出すことができるのではないでしょうか。内省と自己覚知を大切にし、常に自分自身の成長を追求する姿勢を持ち続けることが、より良い支援を提供するための鍵となるのではないかと考えています。
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第31回「自分自身の『属性』や『形質』の大切さ」
支援の背景
24/08/21 14:55