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療育現場で見えた『リアクション』の大切さ

オンライン会議で、誰かが一生懸命に話している。画面には何人もの顔が並んでいるのに、誰も表情を動かさず、うなずきもせず、ただ静かにこちらを見ている。話している側に立つと、その沈黙は思っている以上に重いものです。実は、仕事ができる人ほど知っています。うなずくことは、ただの癖ではなく、相手を助ける小さな技術なのだと。



うなずくだけで、会議の空気は変わる

普段の療育トレーニングや就労支援の中で、利用者さんと対話をしながら、就職に向けた準備を一緒に進めています。

その中で、ビジネスマナーの本にはあまり大きく書かれていないけれど、現場では本当に大事だと感じることがあります。

それは、うなずくことです。

特に、オンラインミーティングではこの力がとても大きい。

Zoomなどのオンライン会議では、画面上に参加者の顔が並びます。話している人からすると、その小さな画面の中にいる一人ひとりの反応を、実はかなり見ています。

そこでまったくリアクションがない人がいると、話している側はとても話しづらくなります。

もちろん、本人は真剣に聞いているのかもしれません。集中しているからこそ、表情が動かないのかもしれない。

でも、相手から見るとそれは伝わりません。

無表情で、うなずきもなく、相槌もない状態が続くと、話している人はだんだん不安になります。

「伝わっているのかな」

「退屈なのかな」

「今の説明で合っているのかな」

「何か引っかかっているのかな」

そんなふうに、余計な気を使わせてしまうのです。

一方で、聞いている側が少しうなずくだけで、空気は変わります。

「うん」と反応する。軽く首を縦に振る。表情で受け取っていることを示す。

それだけで、話している人は安心できます。

「あ、伝わっているんだな」

「ここは理解してもらえているんだな」

「ここは少し補足した方がいいかもしれないな」

そうやって、話し手は相手の反応を見ながら話を調整できます。

会話は、一方的に話すものではありません。聞いている側の反応も含めて、会話は成り立っています。

だから、うなずくことは小さなことのようでいて、実は相手を助ける行為です。

うなずきは、「あなたの話を受け取っています」という静かなサインです。

仕事ができる人は、このことをよく分かっています。

ビジネスマンとして優秀な人、リーダーとして信頼されている人ほど、会議中のリアクションを意識的にしています。

オンラインでも、対面でも、相手が話しやすくなるように反応している。

私が以前勤めていた会社の上場企業の社長も、オンライン会議でしっかり相槌を打っていました。さらにその前にいた会社の社長も同じでした。

立場が上の人ほど、ただ黙って聞いているのではなく、相手が話しやすい空気をつくっていました。

それは大げさなことではありません。

特別なスキルでもありません。

ただ、相手の話に対してリアクションするだけです。

でも、その「だけ」ができる人とできない人で、印象は大きく変わります。

うなずける人は、相手の立場に立てる人です。

話している人が今どう感じているか。自分がどんな反応をすれば、相手が話しやすくなるか。

そこに少し意識を向けられる人です。

つまり、利他的な姿勢がある。

そして、できる人はそこを見ています。

「この人は分かっているな」

「場の空気を読めるな」

「相手を安心させることができるな」

そう思われる人は、自然と信頼されていきます。

逆に、どれだけ真面目に聞いていたとしても、反応がなければそれは相手には伝わりません。

参加しているように見えない。関心がないように見える。協力する姿勢が薄いように見える。

本人にそのつもりがなくても、そう受け取られてしまうことがあります。

ここが、仕事の怖いところでもあります。

能力だけではなく、場にどう参加しているかも見られている。

特に会議では、ただ座っているだけでは評価されにくい。

まずはしっかりリアクションすること。

次の段階として、何かしら一回は発言すること。

質問でもいい。確認でもいい。感想でもいい。自分の理解を言葉にして返すことでもいい。

そうやって「私はこの場に参加しています」という姿勢を示す人は、やはり上がっていきます。

これはオンラインミーティングに限った話ではありません。

普通の会議でも、打ち合わせでも、面談でも同じです。

話を聞く姿勢は、想像以上に相手に伝わっています。

そして、聞く姿勢が良い人は、それだけで周囲に安心感を与えます。

一方で、リアクションしない人は、知らないうちに線引きされてしまうことがあります。

厳しい外資系の会社などでは、会議で発言しない人に対して、「いるだけなら帰っていい」「参加しなくていい」と言われることもあります。

それくらい、会議に参加するということは、ただその場に存在することではありません。

反応すること。考えること。必要なら発言すること。

その場に貢献する姿勢が求められます。

でも、最初から難しい発言をしようとしなくてもいいのです。

まずは、うなずくことからでいい。

相手の話を聞いていると分かるように、表情を少し動かす。理解したところで首を縦に振る。大事な場面で相槌を打つ。

それだけで、相手の話しやすさは変わります。

そして、あなた自身の印象も変わります。

仕事ができる人は、話す力だけではなく、相手に話させる力を持っています。

その第一歩が、うなずくことです。

とても簡単な意識です。

けれど、簡単だからこそ差がつきます。

ビジネスマナーではなかなか教えてくれないかもしれません。けれど、現場では見られています。経営者も、リーダーも、周りの人も見ています。

この人は、相手を安心させられる人か。

この人は、場に参加できる人か。

この人は、話し手のことを考えられる人か。

うなずくだけで、変わることがあります。

会議の空気が変わる。相手の話しやすさが変わる。自分への信頼も変わる。

だからこそ、オンラインミーティングで画面の向こうの誰かが話し始めたら、少しだけ意識してみてください。

ただ聞くのではなく、聞いていることを伝える。

その小さなうなずきが、あなたを「ただ参加している人」から、「場を良くする人」に変えていきます。
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