放課後等デイサービス

エンタメ療育スタジオ Rough&Diamondsのブログ一覧

  • 土日祝営業
NEW

ラフダイ合宿が教えてくれた、偏食を解く鍵

嫌いなものを目の前にするとき、眉間に皺、心は固く、胃まで固まる。でも、誰かと笑っているときはどうだろう。同じ皿が、少し違って見える。苦手よりも「楽しい」が勝つ場をつくると、子どもは自分の中の壁を、静かに跨いでいく。私はその瞬間を、食卓で何度も見てきた。

偏食の相談を受けるたびに、情報の海の広さに驚かされます。感覚過敏のこと、脳の特性と記憶のこと、食べ慣らしのプロトコル、食材の切り方や盛り付けの工夫。どれも大切で、どれも試みる価値がある。けれど、私たちが現場で繰り返し目にするのは、別のシンプルな力です——環境が変わると、食べられるようになる。

私たちは2泊3日の合宿を定期的に実施しています。子どもたちは発表会に向けて練習し、同じ目標に向かって汗をかく。事前アンケートでアレルギーや偏食の傾向は丁寧に確認します。「白いものしか食べません」「野菜は無理です」——その言葉を受け止め、できる限り配慮します。それでも、合宿の時間は「みんなで何かをつくる」時間で、食事もその一部です。食卓は、練習と休憩のあいだに生まれる「場」になります。

不思議なことは、その場で起こります。みんなでテーブルを囲み、笑いながら今日のがんばりを振り返る。箸が進む子も、進まない子も、同じ輪にいる。苦手意識がある子ほど、最初は椅子の縁に座り、皿の端を見つめる。でも、隣の子の「これうまい!」に笑って、話に混ざった瞬間、目の前の野菜が「課題」から「話題」に変わる。空気が柔らかくなると、口も柔らかくなる。「僕、ちょっと食べてみる」。その声は小さいけれど、誇りの色をしている。

一度食べられたからといって、翌日から何でも食べられるわけではありません。それでも、その一口が持つ意味は大きい。「無理」が「できるかも」に変わる体験は、食べ物の種類を増やす前に、心の選択肢を増やします。私たちが繰り返し目にするのは、「苦手より楽しいが勝つ」という瞬間です。仲間と過ごすことで、食事が「戦いの場」から「共有の場」へ移動する。その移動が、偏食の扉を少し開ける。

母さんが驚く場面は何度もありました。「うちの子、食べてる!」。その声には安堵と驚きと、少しの涙が混ざっています。もちろん、家庭に戻ればまた固くなる夜もあるでしょう。けれど、合宿で得た「できた」という記憶は、次の挑戦の土台になる。偏食に向き合うとき、技術や理論に加えて「場づくり」を計画に入れてみてください。たとえば——

食事を「みんなでやる活動」に埋め込む(遊びや学びの延長線上に置く)
目標を共有する仲間と一緒に食べる(同じ方向を向いた空気を用意する)
成功を大げさに褒めるのではなく、自然に喜ぶ(誇りを内側に育てる)


「うまくやる」よりも「一緒にやる」。場の力は、意志の力の肩を優しく叩きます。偏食は、口の問題だけでなく、場との関係の問題でもある。だからこそ、環境を変えると、食べ物との関係も変わる。視点を少し動かすだけで、子どもが自分で動き出す余白が生まれる。

私たちの合宿は、食事のための訓練ではありません。けれど、食卓はいつも練習の一部になる。発表会に向けて積み上げる小さな成功と、その合間の笑いが、子どもたちの内側で「食べる」という行為の意味を更新する。偏食は“直す”より“ほどく”。ほどけるためには、固く結んだ場所から少し離れて、違う風の通る場に身を置いてみること。そこで、苦手より楽しいが勝つ——その瞬間を、私たちは何度も見てきたのです。
チェックアイコン

現在この施設は、発達ナビでの問い合わせを受け付けていません。
近隣施設をまとめてお問い合わせしませんか?

【無料】発達ナビ会員登録して便利にサービス利用!
会員登録するとこんなに便利!
  1. 気になる施設を自分だけのリストに保存
  2. 問い合わせ時に一部情報入力が不要
  3. 送迎有無などのこだわり条件を保存
  4. コラムやQ&Aが読み放題
無料会員になる

掲載情報について

施設の情報
施設の情報は、株式会社LITALICOの独自収集情報、都道府県の公開情報、施設からの情報提供に基づくものです。株式会社LITALICOがその内容を保証し、また特定の施設の利用を推奨するものではありません。ご利用の際は必要に応じて各施設にお問い合わせください。施設の情報の利用により生じた損害について株式会社LITALICOは一切責任を負いません。


利用者の声
利用者の声は、施設と関わりをもった第三者の主観によるもので、株式会社LITALICOの見解を示すものではありません。あくまで参考情報として利用してください。また、虚偽・誇張を用いたいわゆる「やらせ」投稿を固く禁じます。 「やらせ」は発見次第厳重に対処します。


施設カテゴリ
施設のカテゴリについては、児童発達支援事業所、放課後等デイサービス、その他発達支援施設の3つのカテゴリを取り扱っており、児童発達支援事業所については、地域の児童発達支援センターと児童発達支援事業の両方を掲載しております。