こんにちは。 療育センターエコルドはぐみのおうち かすがいで、理学療法士をしています、内山隆範です。
7月も後半に入り、いよいよ子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりますね。おうちの中で裸足で過ごす時間が増えるこの時期、お子さまの「歩き方」を見ていて、ふとこんな疑問や不安を抱いたことはありませんか?
「家の中を歩くとき、いつもバレリーナのように『つま先立ち』で歩いている」 「『かかとをつけて普通に歩きなさい!』と注意しても、気づくとまたつま先でピョンピョン跳ねるように歩く」 「このままつま先歩きを続けていたら、足の骨が変形したり、アキレス腱が短くなったりするんじゃないかと心配…」
日々の療育の現場でも、そして我が家の子育ての中でも、この「つま先歩き(尖足歩行:せんそくほこう)」についてのご相談は、本当によく寄せられるお悩みのひとつです。
「ふざけて歩かないの!」「ちゃんとペタッと足をつけて!」 何度も注意しているのに一向に直らない我が子を見て、「わざと親の言うことを無視しているのかな?」「私の歩き方の教え方が悪かったのかな…」と、密かに思い悩んでしまうお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。 お子さまがつま先歩きをしているのは、決して「ふざけている」からでも、「親の気を引きたいワガママ」だからでもありません。
これには、足の裏の感覚センサーと、脳が求める刺激による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。
なぜ、「かかと」をつけて普通に歩くことができないのか?
大人の目には「ただの変なクセ」に見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような感覚のエラーや強い欲求が起きています。
① 床の質感が痛くて不快!(足の裏の触覚過敏)
これまでの記事でもお風呂や砂場の際にお話ししましたが、発達に凸凹のあるお子さまの中には、皮膚のセンサー(触覚)が過敏すぎる子がいます。 大人にとっては普通のフローリングやカーペットも、感覚過敏のお子さまにとっては「細かいトゲが刺さるようなチクチク感」や「耐えられないほどのネチャネチャ感」に感じられることがあります。そのため、床に触れる面積を極限まで減らそうとする本能的な自己防衛として、つま先だけで歩いているのです。
② 足の筋肉を「ピーン!」と張って安心したい(固有受容覚の欲求)
つま先立ちをすると、ふくらはぎから太ももにかけての筋肉が「ピーン」と強く突っ張りますよね。 自分の身体の輪郭(ボディスキーマ)が曖昧で不安を感じやすいお子さまにとって、この「筋肉と関節が強くロックされる感覚(固有受容覚)」は、自分の身体の存在を確かめるための強烈な精神安定剤になります。つま先で歩いてふくらはぎに強い圧力をかけることで、無意識に脳を落ち着かせようとしているのです。
③ 揺れや上下運動の刺激が欲しい(前庭覚の探求)
つま先でピョンピョンと跳ねるように歩く子は、耳の奥にある揺れを感じるセンサー(前庭覚)の刺激を求めているケースが多いです。かかとをついた「すり足」よりも、つま先歩きの方が視界が上下にフワフワと揺れるため、脳が必要としている刺激を自分で作り出している状態です。
今日からおうちで即実践!「つま先歩き」を和らげる実用アプローチ
「かかとをつけなさい!」と無理やり足を床に押し付けることは、過敏な足裏に激痛を走らせたり、お子さまの安心感を奪ったりする逆効果になります。 今日から、以下の3つのアプローチで、足の裏の感覚を優しく育てていきましょう。
1. 無理に直さず「足裏の過敏さ」をマッサージで取る
足の裏が過敏な子には、毎日のお風呂上がりなどに「ギュッギュッ」と少し強めの圧で足の裏全体をマッサージしてあげてください。くすぐるような「軽いタッチ」は絶対にNGです(過敏さを悪化させます)。 手のひら全体でかかとからつま先までをしっかりと包み込むように圧迫することで、脳の警戒アラームが解除され、床に足をつくことへの恐怖感が薄れていきます。
2. 遊びの中で自然にかかとをつく「恐竜さん・ゾウさん歩き」
言葉で「かかとをつけて」と言うのではなく、遊びの模倣(マネっこ)を使います。 「ドシーン!ドシーン!重たいゾウさんが通るよー!」と、お母さんが大げさにかかとから足を踏み鳴らして歩くのを見せ、一緒にマネして遊んでみてください。関節に強い衝撃(固有受容覚)が入ることで脳が満足し、自然とかかとを使って歩く感覚を学習できます。
3. アキレス腱を自然に伸ばす「坂道遊び」
つま先歩きが長く続くと、ふくらはぎの筋肉が硬くなり、アキレス腱が短くなって本当に「かかとがつけない足」になってしまうリスクがあります。 これを防ぐために、公園のすべり台を下から歩いて登ったり、おうちで布団を丸めて作った「お山」を登り降りしたりする遊びを取り入れてください。上り坂を歩くときは、物理的にどうしてもかかとをついてアキレス腱を伸ばさなければならないため、遊びながら自然とストレッチができます。
専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン
成長とともに感覚が統合され、自然とかかとをついて歩けるようになることが多いですが、以下のような状態が見られる場合は、骨格の変形や日常生活への支障が出るため、専門的なアプローチが必要です。
* 意識して「かかとをつけて立って」と伝えても、アキレス腱が硬く突っ張ってしまい、物理的にかかとを床につけることができない。
* つま先歩きでバランスが取りづらく、何もない平らな場所でも頻繁に転んで顔や頭を怪我してしまう。
* 外で靴を履いている時も常につま先歩きで、すぐに足の痛みを訴えて歩けなくなる。
このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。 エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、トランポリンでしっかり足裏全体でジャンプする遊びや、様々な質感のマット(芝生風、凸凹など)の上を歩いて足裏の感覚を育てるサーキット運動など、身体の根っこからアプローチするプログラムを行っています。
毎日、ピョンピョンと不安定に歩く我が子の足元を見つめ、「将来、歩き方がおかしくなったらどうしよう」と不安を抱えながら見守っているお母さん、本当にお疲れ様です。 お子さまは決してふざけているわけではなく、自分の過敏なセンサーや感覚の欲求と、一生懸命に折り合いをつけようとしているだけなのです。
「うちの子のつま先歩き、もしかして感覚のアンバランスが原因かも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、お子さまがしっかりと大地を踏みしめて歩んでいけるようサポートしてまいります。
【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!
そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
* 保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
* 理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
* 公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
* 大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。 エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。 教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。
求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範
7月も後半に入り、いよいよ子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりますね。おうちの中で裸足で過ごす時間が増えるこの時期、お子さまの「歩き方」を見ていて、ふとこんな疑問や不安を抱いたことはありませんか?
「家の中を歩くとき、いつもバレリーナのように『つま先立ち』で歩いている」 「『かかとをつけて普通に歩きなさい!』と注意しても、気づくとまたつま先でピョンピョン跳ねるように歩く」 「このままつま先歩きを続けていたら、足の骨が変形したり、アキレス腱が短くなったりするんじゃないかと心配…」
日々の療育の現場でも、そして我が家の子育ての中でも、この「つま先歩き(尖足歩行:せんそくほこう)」についてのご相談は、本当によく寄せられるお悩みのひとつです。
「ふざけて歩かないの!」「ちゃんとペタッと足をつけて!」 何度も注意しているのに一向に直らない我が子を見て、「わざと親の言うことを無視しているのかな?」「私の歩き方の教え方が悪かったのかな…」と、密かに思い悩んでしまうお母さんたちのお気持ち、痛いほどよく分かります。
でも、理学療法士(身体と脳の専門家)として、そして同じ子育てに奮闘する親として、まず一番に大切な事実をお伝えさせてください。 お子さまがつま先歩きをしているのは、決して「ふざけている」からでも、「親の気を引きたいワガママ」だからでもありません。
これには、足の裏の感覚センサーと、脳が求める刺激による、明確なエビデンス(医学的根拠)が存在します。
なぜ、「かかと」をつけて普通に歩くことができないのか?
大人の目には「ただの変なクセ」に見えますが、お子さまの身体と脳の中では、以下のような感覚のエラーや強い欲求が起きています。
① 床の質感が痛くて不快!(足の裏の触覚過敏)
これまでの記事でもお風呂や砂場の際にお話ししましたが、発達に凸凹のあるお子さまの中には、皮膚のセンサー(触覚)が過敏すぎる子がいます。 大人にとっては普通のフローリングやカーペットも、感覚過敏のお子さまにとっては「細かいトゲが刺さるようなチクチク感」や「耐えられないほどのネチャネチャ感」に感じられることがあります。そのため、床に触れる面積を極限まで減らそうとする本能的な自己防衛として、つま先だけで歩いているのです。
② 足の筋肉を「ピーン!」と張って安心したい(固有受容覚の欲求)
つま先立ちをすると、ふくらはぎから太ももにかけての筋肉が「ピーン」と強く突っ張りますよね。 自分の身体の輪郭(ボディスキーマ)が曖昧で不安を感じやすいお子さまにとって、この「筋肉と関節が強くロックされる感覚(固有受容覚)」は、自分の身体の存在を確かめるための強烈な精神安定剤になります。つま先で歩いてふくらはぎに強い圧力をかけることで、無意識に脳を落ち着かせようとしているのです。
③ 揺れや上下運動の刺激が欲しい(前庭覚の探求)
つま先でピョンピョンと跳ねるように歩く子は、耳の奥にある揺れを感じるセンサー(前庭覚)の刺激を求めているケースが多いです。かかとをついた「すり足」よりも、つま先歩きの方が視界が上下にフワフワと揺れるため、脳が必要としている刺激を自分で作り出している状態です。
今日からおうちで即実践!「つま先歩き」を和らげる実用アプローチ
「かかとをつけなさい!」と無理やり足を床に押し付けることは、過敏な足裏に激痛を走らせたり、お子さまの安心感を奪ったりする逆効果になります。 今日から、以下の3つのアプローチで、足の裏の感覚を優しく育てていきましょう。
1. 無理に直さず「足裏の過敏さ」をマッサージで取る
足の裏が過敏な子には、毎日のお風呂上がりなどに「ギュッギュッ」と少し強めの圧で足の裏全体をマッサージしてあげてください。くすぐるような「軽いタッチ」は絶対にNGです(過敏さを悪化させます)。 手のひら全体でかかとからつま先までをしっかりと包み込むように圧迫することで、脳の警戒アラームが解除され、床に足をつくことへの恐怖感が薄れていきます。
2. 遊びの中で自然にかかとをつく「恐竜さん・ゾウさん歩き」
言葉で「かかとをつけて」と言うのではなく、遊びの模倣(マネっこ)を使います。 「ドシーン!ドシーン!重たいゾウさんが通るよー!」と、お母さんが大げさにかかとから足を踏み鳴らして歩くのを見せ、一緒にマネして遊んでみてください。関節に強い衝撃(固有受容覚)が入ることで脳が満足し、自然とかかとを使って歩く感覚を学習できます。
3. アキレス腱を自然に伸ばす「坂道遊び」
つま先歩きが長く続くと、ふくらはぎの筋肉が硬くなり、アキレス腱が短くなって本当に「かかとがつけない足」になってしまうリスクがあります。 これを防ぐために、公園のすべり台を下から歩いて登ったり、おうちで布団を丸めて作った「お山」を登り降りしたりする遊びを取り入れてください。上り坂を歩くときは、物理的にどうしてもかかとをついてアキレス腱を伸ばさなければならないため、遊びながら自然とストレッチができます。
専門家(療育)に相談を考えてほしいサイン
成長とともに感覚が統合され、自然とかかとをついて歩けるようになることが多いですが、以下のような状態が見られる場合は、骨格の変形や日常生活への支障が出るため、専門的なアプローチが必要です。
* 意識して「かかとをつけて立って」と伝えても、アキレス腱が硬く突っ張ってしまい、物理的にかかとを床につけることができない。
* つま先歩きでバランスが取りづらく、何もない平らな場所でも頻繁に転んで顔や頭を怪我してしまう。
* 外で靴を履いている時も常につま先歩きで、すぐに足の痛みを訴えて歩けなくなる。
このようなときは、どうかご家庭だけで抱え込まず、私たち専門家を頼ってください。 エコルドはぐみのおうちでは、理学療法士としての知見をフルに活かし、トランポリンでしっかり足裏全体でジャンプする遊びや、様々な質感のマット(芝生風、凸凹など)の上を歩いて足裏の感覚を育てるサーキット運動など、身体の根っこからアプローチするプログラムを行っています。
毎日、ピョンピョンと不安定に歩く我が子の足元を見つめ、「将来、歩き方がおかしくなったらどうしよう」と不安を抱えながら見守っているお母さん、本当にお疲れ様です。 お子さまは決してふざけているわけではなく、自分の過敏なセンサーや感覚の欲求と、一生懸命に折り合いをつけようとしているだけなのです。
「うちの子のつま先歩き、もしかして感覚のアンバランスが原因かも?」と思われた時は、いつでもエコルドはぐみのおうちへお気軽にご相談ください。専門家として、全力でお子さまと保護者様に寄り添い、お子さまがしっかりと大地を踏みしめて歩んでいけるようサポートしてまいります。
【求人のお知らせ】一緒に働く仲間を募集しています!
そして最後に、エコルドから大切なお知らせがございます。
おかげさまで、現在大変多くの利用者様にご愛顧いただいており、子どもたち一人ひとりとより深く、丁寧に向き合っていくために、新たな「児童指導員」の仲間を募集することとなりました。
私たちは、単に「預かる」場所ではなく、今日お話ししたような身体のメカニズムや脳科学のエビデンスに基づいた療育を何よりも大切にしています。そのため、以下のような専門的な資格やバックグラウンドをお持ちの方の力を必要としています。
* 保育士・幼稚園教諭:子どもの発達段階を理解し、日常の遊びや関わりから成長を促せる方。
* 理学療法士(PT)・作業療法士(OT):姿勢や動き、粗大・微細運動の分析と、身体の根っこからのアプローチに強みをお持ちの方。
* 公認心理師・臨床心理士:子どもたちの心の動き、感覚統合の特性、そして保護者様への心理的サポートに専門性をお持ちの方。
* 大学または大学院で心理学を専修する学科・研究科を修了された方:心理学の知見を、実際の療育現場で活かし、探求したい方。
「まだ経験が浅くて不安……」という方も、ご安心ください。 エコルドでは、私のような理学療法士をはじめ、異なる専門性を持つスタッフがチームとなり、日々の療育についてエビデンスを元にディスカッションし、共に学び合う文化があります。あなたの専門性を、子どもたちの「できた!」の笑顔に変える場所が、ここにあります。
また、現在上記の資格取得を目指して勉強中の学生の皆さん。 教科書で学ぶ理論が、実際の療育現場でどのように子どもたちの身体や心の変化に繋がるのか、その「生きた学び」を、エコルドで一緒に体感してみませんか?アルバイトやインターンシップからのスタートも大歓迎です。
子どもたちの無限の可能性を信じ、身体の土台から人生を豊かにするサポートをしたい。そんな熱い想いをお持ちのあなたと、一緒に働ける日を楽しみにしています。
求人の詳細やご応募、ご見学については随時受け付けております。
ページ内の【電話でのお問い合わせ】または【問い合わせフォーム】より、お気軽にご連絡ください。まずは見学だけ、という方も歓迎です!
療育センターエコルドはぐみのおうち かすがい
理学療法士 内山 隆範